油断しないで! 飲み過ぎ食べ過ぎ─────夏は痛風の季節です。

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控えるのはビールだけではなく...。


先日受けた健診のときに、尿酸値が高いと言われました。
その後、病院へ行って調べてもらいましたが、やっぱり尿酸値が高かったです。どうしたらいいでしょうか?

やはり尿酸値が高いまま放っておくのは良くないですよ。
尿酸値が高いと発症するおそれがあるのは「痛風」です。
関節の痛みが生じます。"風が吹いても痛いから痛風"、などと言われるくらいです。
「尿酸値」が高ければ高いほど、そんなリスクが上がるので注意してください。

どうして痛風の発作が起こるのですか?

関節液内にも血液中と同じく尿酸があります。
血液の「尿酸値」が上がると関節の中の「尿酸」も増えるのです。
「尿酸」は本来水に溶けにくいので、濃くなると溶けきれなくなって、
結晶になって関節内に沈着してしまうんです。
関節を覆う膜を刺激して関節炎を起こすのです。これが「痛風」です。

血管の中でも結晶ができます。血管の壁を傷付けて炎症を起こします。
これが動脈硬化のリスクになって、将来的には脳梗塞や心筋梗塞などの
重大な病気を引き起こすのです。
腎臓に沈着すると「痛風腎」を生じることがあります。
おしっこの流れ道に沈着すると、「腎結石」や「尿管結石」などの原因にもなるので
気を付けましょう。

では尿酸値を下げるためにはどうしたらよいのですか?

「尿酸」はおしっこから排泄されます。おしっこが出る量が減ると数値が上がるので
水分の摂取量を増やすことが大事です。おしっこがちゃんと流れると沈着もしづらいのです。
とくに夏場は汗をかくので脱水になりがちです。おしっこの量が減るから注意して下さい。
脱水の時は血液が濃くなるので、さらに尿酸値が上がります。

ぜひ「食べ過ぎない」「飲み過ぎない」ことを意識して下さい。
ほかのメタボリック症候群に関連した疾患と同様、体重を減らすことが大事です。

食事に関しては、タンパクの摂取源として、魚より肉が「尿酸値」は上がりやすいので注意して下さい。

お酒の飲み過ぎも、「尿酸値」を上昇させてしまうので気をつけて欲しいです。
アルコールは利尿作用があるので脱水になりやすいです。
たとえ"プリン体"の多いビールを避けても、お酒を飲み過ぎたら意味がないのです。
飲む量は大事です。

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痛風は遺伝の要素が大きい。

そして「運動しなさい」ってよく言われますよね。
「運動」は、筋トレみたいな無酸素運動より、ウォーキングやスイミングなどの有酸素運動の方が有効です。
無酸素運動はむしろ「尿酸値」を上げる原因にもなってしまいます。
「筋肉をつけるためにはとにかく肉」という人は要注意、「尿酸値」急上昇のもとになります。

それでも尿酸値が下がらない時には薬を使っていくことになります。

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「薬はなるべくのみたくない」はダメ。

「尿酸値」の高い人は遺伝要素が大きい場合が多いので、
「薬はなるべくのみたくない」などと言わず、しっかり数値を下げて痛風発作、そのほか色々の発症を防いだ方がいいと思います。

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この記事を書いたのは

小野江 和之

医師、医学博士。札幌南高校卒、北大医学部卒。1971年生まれ。 医療法人社団 緑稜会 みどりクリニック医師。 2004年愛知県の某大学病院へ赴任。医療を取り巻く情勢の変化や様々な体験から一念発起、2007年北大ロースクールへ進学。子連れ学生であったため、修習期間中の資金確保目的で2009年休学して外務省へ入省、中米ホンジュラスへ赴任。2011年帰国を果たすもロースクールを自主退学、2020年6月より現職場。道外からみた北海道、業界外からみた医療業界、海外からみた日本。視点の多様性がいかに重要であるかひしひしと感じます。弁護士さん方とともに、医療と法律にまたがる各種問題解決についても携わっています。

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