警戒ステージ2から3 不安な症状あるなら電話相談がまず一歩! 小野江医師の呼びかけ【新型コロナ:医療機関を受診するにあたり】

さて、発熱や咳などの症状が出てきた場合にはどうするか。

 基本は今年の春先と同じです。持病のない若い方の場合、もし自分で様子をみられる程度の軽い症状であれば、水分をしっかり摂りながら保温安静・自宅療養するようにしましょう。もし医療機関を受診したとしても処方される薬はその風邪を「治す」ものではなく、症状緩和のためのものです(ウィルス性の風邪を「治す」薬はありません、もし発明したらノーベル賞だなんてよく言われます)。

 薬の要らない程度の症状であれば、寒い中出かけて並んで待合室で待ってまでも受診をする必要はありませんし、むしろ受診先で他人に風邪(新型コロナを含む)をうつすリスク、逆に自分がうつされるリスクを増やすばかりです。医療機関は色々な対策をして感染予防に充分注意していますが、それでもリスクを完全になくすことは出来ません。

 医療機関は危険地帯と心得て下さい。だって症状のある人が集まってくる場所なのですから。

 ただし高齢者や重篤な持病のある方、小さなお子さんや妊婦さんなど重症化リスクの高い方たちは状況が違います。早めに医療機関へ相談した方がいいかもしれません。可能であればあらかじめ、通常の受診時に主治医とどうするか相談しておくと良いです。

まずは電話相談を!

 最近医師会から、症状がでたらまずかかりつけの医療機関に電話で相談するようお知らせがあったかと思います。気になる症状が出た・続いた時、一番初めはいつもかかっているところに電話相談をする。よく覚えておいて下さい。そのうえで、その医療機関を受診するか他のところを案内してもらって受診するかを決めることになります。

 電話をせずにいきなり受診した場合、そこの医療機関は発熱や咳などの患者さんに対応できないかもしれません。通常であれば対応できるけれども似たような患者さんが殺到して対応できなくなっている可能性もあります。また医療機関側も、新型コロナ疑いの患者さんを他の患者さんと接触しないように誘導するための準備があります。ご理解下さい。

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 最初の流行の時、中国の武漢やアメリカのニューヨークで患者が激増した理由にも、心配になった患者さんが医療機関や検査施設に殺到して「密」な状態になったことがあるだろうと言われています。その通りだと思います。

 なお、受診時のマスク着用や手のアルコール消毒も必須ですのでよろしくお願いします。自分が危険地帯に赴く意識、自分が他人にうつさない配慮、です。皆が気を付ければ皆のリスクが低くなるのです。

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この記事を書いたのは

小野江 和之

医師、医学博士。札幌南高校卒、北大医学部卒。1971年生まれ。 医療法人社団 緑稜会 みどりクリニック医師。 2004年愛知県の某大学病院へ赴任。医療を取り巻く情勢の変化や様々な体験から一念発起、2007年北大ロースクールへ進学。子連れ学生であったため、修習期間中の資金確保目的で2009年休学して外務省へ入省、中米ホンジュラスへ赴任。2011年帰国を果たすもロースクールを自主退学、2020年6月より現職場。道外からみた北海道、業界外からみた医療業界、海外からみた日本。視点の多様性がいかに重要であるかひしひしと感じます。弁護士さん方とともに、医療と法律にまたがる各種問題解決についても携わっています。

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