新幹線開業の裏で いさりび鉄道5年の軌跡 

 https://youtu.be/lmO4Gz4-ALo

<2021年3月25日イチオシ!!放送とあわせてお読みください>

■歓喜に沸いたその裏で…

2016年3月26日。

道民が夢にまで見た北海道新幹線の開業。

 私はまだ入社前で大阪の大学に通っていましたが、道内が歓喜に沸き、きっと依田アナウンサーは誰よりも大はしゃぎだったことがブログからも推察されます。

【依田アナウンサーのガタゴト日誌→】

https://www.htb.co.jp/announcers/yoda/2021/03/27_100934.html

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しかし、この日走り出したのは北海道新幹線だけではありません。

道南以外の方は意外と知らない、小さな鉄道会社も一歩を踏み出していました。

■赤字見え見えの並行在来線

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道南の四季を表した色とりどりの車体が海沿いを走る道南いさりび鉄道です。

 5年前、北海道新幹線の開業で並行在来線として経営分離されたJR江差線のうち、五稜郭駅から木古内駅の37.8キロを引き継ぎました。開業時点で10年後にはおよそ23億円の赤字が見込まれる中での開業でした。

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 それでも通勤通学など生活に欠かせない地域の交通を守るため、あの手この手で5年の歩みを進めてきました。

■日本一貧乏な観光列車「ながまれ海峡号」

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 いさ鉄と言えば日本一貧乏な観光列車として一躍全国区となった「ながまれ海峡号」。地域情報発信列車という名前で地域住民が演出を行い、地域が分かる、伝わる観光列車を作ろうと導入されました。決して都会の大きな鉄道会社が持つような豪華な観光列車ではありませんが、地域と一緒になり独自の取り組みを続けています。

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例えば車内の照明を消して函館の夜景や漁火を楽しむ「夜景列車」や、平成から令和へと元号をまたぐ特別列車、さらにはアツアツのおでんを食べる「おでん列車」まで…。いつも大盛況です。

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しかし、そんな道南いさりび鉄道にも試練が襲い掛かります。新型コロナウイルスです。

道南いさりび鉄道・川越英雄社長

「去年3月の緊急事態宣言が発令された時は学校も休校になっていましたので定期券で利用される学生の定期収入はゼロになったし、通勤客の利用定期も相当落ち込んでやはり大きな影響がありました。」

頼みの綱のながまれ海峡号もおよそ半年間運休しました。

さらに課題は他にも…。沿線自治体の過疎化です。

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道南いさりび鉄道が走る函館市、北斗市、木古内町はこの5年でいずれも人口が減少。

こうした背景もあり、利用者数は開業から5年間右肩下がりが続いています。

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■頼みの綱は貨物列車

その多額の赤字を補っているのがJR貨物からの線路の使用料です。本州と道内を結ぶ貨物列車は全て道南いさりび鉄道の線路を通ります。その本数は1日およそ40本。道南いさりび鉄道の列車本数よりも多いのが実情です。そのため、JR貨物が道南いさりび鉄道に支払っている線路使用料も年間13億円~14億円と高額。道南いさりび鉄道の収入全体の8割近くを占めています。

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■地域なくして鉄道の存続なし

決して裕福ではない道南いさりび鉄道の最大の応援団は地域住民です。

雪国の鉄道会社にとって大きな負担になる冬の線路の除雪。道南いさりび鉄道では、なんと地元の農家などがパートナー社員となり除雪を行っています。沿線地域との関わりなくして、道南いさりび鉄道の存続はありません。

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開業5周年を機にはじめたお得な1日切符では、道の駅などでの優待をつけることで沿線地域への人の流れを作る工夫をしました。

道南いさりび鉄道・春井満広さん

「ただ列車に乗ってくださいでは魅力として伝わりづらい部分もありますので、ぜひその先の地域のお店や見どころを回っていただく。

それが当社として未来につながるし地域の未来にもつながると思っています。」

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時代の変化とともにまた1つ、また1つと地図から消えていく北海道の鉄道。そんな時代に道内唯一の第三セクター鉄道として、道南いさりび鉄道は地域と共に成長を続けています。

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この記事を書いたのは

HTB・喜多和也

映画「しあわせのパン」の暮らしに憧れて北海道に来たパン好き記者。パンシェルジュ。

報道部記者として看護学院パワハラ問題や手話をテーマにしたドキュメンタリーを制作。
2024年5月~社会情報部イチモニ!ディレクター


https://www.htb.co.jp/news/harassment/

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