あと1年早く見つけていたら・・・後悔が生んだ”がん防災” 両側乳がんになりました88

みなさん”がん防災”という言葉をご存知でしょうか?

2人にひとりががんに

2人に一人ががんになる時代。
”がん”は誰にでも突然やってくる災害のようなものだ、いつかかるかわからないがんに備えてほしい、と腫瘍内科医の押川勝太郎先生が提唱しているのが”がん防災”。

押川先生の監修で”がんと働く応援団”のみなさんが作ったのは現役世代のための『がん防災マニュアル』。
クラウドファンディングなどもされて作られている、というお話は目に、耳にすることが多く、とても気になっていました。

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今回はこれを制作された”がんと働く応援団”の副理事・野北まどかさん(49歳)のお話です。

野北さんは2018年の8月に人間ドックで発覚して、47歳で乳がんと診断。外資系の企業にお勤めで忙しく、前の年の人間ドックは受診せず。進行がんと診断された後は、手術、放射線治療・抗がん剤治療などを受けました。

その後、ある会合で現在、代表理事を務める卵巣がんサバイバーの吉田ゆりさんと出会い、2人で”がんと働く応援団”を立ち上げました。
「がんに負けない組織・人を増やす」というビジョンをもち、活動をされています。
今は患者さんでカウンセラー・キャリアコンサルタントなどの資格を持つ人も含む、15人ほどの仲間がいます。

野北さん『治療が終わって一段落した時に仕事を辞めてしまったんですね。今まで通り、仕事一筋で生きていく生き方じゃなくて生き方を探したいなっていうのがあって。
振り返ると治療だけじゃなくて、がんに関する情報を集めるのが大変だったですし、自分は10年以上前の古い間違った生存率を調べてしまっていた。告知された瞬間に、知りたい情報がまとまっていないと実感したのです。』

正しい知識をもつ機会がなかった為に、がんになった瞬間にあわてることになった経験が今の活動の原点です。

会社から大きな仕事を任されているタイミングだった野北さん。
”あと1年早く見つけていたら、軽く済んだんだろうなっていうのは凄く思った”とその後悔も振り返ります。

手術をして抗がん剤治療などの治療を受けても仕事のパフォーマンスを下げないというのは想像以上に大変です。
誰も言ってくることはないかもしれないけどそのイメージから”戦力外通告”になりそう、と不安になる人も多い局面。

”がんと働く”がライフワークになったのも、ご自身の経験からです。

野北さん:『私も抗がん剤やりながら仕事をすることによって、全然思ったように仕事ができなかったんですよね。
その後放射線治療なども続き、気持ちが落ちた上に無理に頑張り続けた疲れがのしかかってきたことも仕事を辞めたきっかけです。』

がん=死、もう仕事はできない、終わりだ、など世の中には様々な無意識の偏見があると思います。他者にとっても自分自身にとっても、です。”びっくり退職”とも言われていますが、無理だと思って、あらかじめ辞めてしまう、あるいは相談もできずに諦めて辞めてしまう方が後をたちません。

【がん防災マニュアル】の中では、職場の理解で続けている方や辞めてから転職された方など様々な事例がのっています。
『仕事辞めたからって世の中の終わりじゃない のも含めておきたかったから』という野北さんの思いです。

がんの人への無理解。これはがんになったこと以上に患者さんを苦しめます。

野北さん:『治療に専念したほうがいいのでは、と善意なのかもしれませんが退職を促されたと感じられたという話も聞きます。
周りの皆さんから偏見をもって接せられたら、やっぱりなかなかカミングアウトもすごく難しいなって。』
マニュアルには”かけてはいけないNGワード”も書かれています。

【自分だけはがんにならない自信がある】

さらに、自分だけはそうならない、思っている人は多いと思います。私自身もそうでした。

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働き盛りでがんと診断される方は増加傾向です。でもなかなか自分事にはならない。

”がん防災マニュアル”は企業で働く現役世代に向けて、検診の大切さだけではなく、がんの正しい知識、治療の選択、医療費支援制度、仕事との両立までをカバーした内容になっています。
地震の前に”避難マニュアル”を見るように、がんになる前に読んで欲しいという思いが込められています。

でも少しでも備えられていたら、仕事もお金も生き方も、もっと選択肢が増えるのではないかと思うのです。

私も中身を拝見したのですが、待ってました!という内容。
手に取ってもらいやすく読みやすい文章とレイアウトになっています。数ページ読むだけでも”がん”に対するそのイメージが変わると思います。

興味をもって読んでいただけますし、会社の人事担当や同僚にがんを患う方がいる方、ご家族、すべての方に・・・。読んでいただけると気づきがあると思います。

がんと働く応援団のWEBページから無料でPDFの申し込みができます。紙冊子も数に限りはありますが無料配布もあるそうです。是非お手元に。

【がんと働く応援団 現役世代のためのがん防災マニュアル】

https://www.gh-ouendan.com/ganbousai

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がんとともに、、、。

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この記事を書いたのは

阿久津友紀

乳がん患者さんが治療中に被災したら? 『防災の心がまえ』をもとに『女性の病と防災』を考える おっぱい2つとってみた作者とHTB森アナウンサーが本音トーク 
https://youtu.be/AO8Xzebt0Ys

『おっぱい2つとってみた がんと生きる、働く、伝える(北海道新聞社刊)10月6日発売

おっぱい2つとってみた がんと生きる、働く、伝える

「LINE特集 「失われる自分らしさ」。乳がんになった私たちの3年間。例え、心が折れそうでも…」
https://news.line.me/detail/oa-htbnews/bt2o2l9r6cfc

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ピンクリボントーク【ホルモン治療の副作用と簡単ヨガ】 
https://youtu.be/gOOiLPH-n2I

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ピンクリボントーク 患者と家族と社会 ~生きてくのに必要なコト~
アーカイブ配信:無料
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第4弾の”がん患者さんとココロ” 北海道の斗南病院の精神科長で登録精神腫瘍医の上村先生に伺いました。アーカイブは
https://youtu.be/D-j4RrGSgkw

これまでの動画は・・・
【乳がん】おっぱい2つとってみた

HTBノンフィクション おっぱい2つとってみた
【2020年日本民間放送連盟賞 番組部門 テレビ報道番組優秀賞受賞】
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https://sciencefestival.jp/event/breast-cancer/

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