今年4月、北海道南部の江差町にある道立看護学院で教師による学生へのパワーハラスメント疑惑が明るみに出ました。
HTBが取材を進めたところ、信じがたい証言の数々そして新たな疑惑が浮かんできました。
「先生が持っているペンでぶっ刺すぞだったり」
「暴行したくなるとか、殴る蹴るをしたくなるとか」
「顔も見たくない、私の授業には一切出てほしくないって」
HTBに寄せられた証言の数々。
こうした言葉は本当に教師から学生に向けられていたのか。
こうした言葉は学び舎にあふれていたのか。
江差町にある道立江差高等看護学院。
地域医療を担う看護師を育てる3年制のこの学校で、教師によるパワーハラスメントを受けて学生が留年や休学、退学に追い込まれているという訴えが相次いでいます。
「腹パンチというか実際やられた時に娘も腹がウッとなった」
「行き過ぎというよりもこれは犯罪なんでしょうかね」
「ここを改めるべきではないかという建設的なものではなくあなたは頭がおかしい」
「あなたはおかしい」「あなたはおかしい」と責めていく」
「死にたいという言葉が何度も出るようになって、じゃぁ死ぬよりは休んだ方がいいよね?という感じで」
中には、友人とのトラブルが原因で書くことになった反省文を何度もやり直しを迫られ30回以上書いたという学生もいます。
被害を訴える保護者で結成した父母の会によりますと、去年入学した19人のうち進級できたのはわずか9人だけです。
「使ったものもありますし一回も使わなかった教科書も何個かあります」
真新しい教科書を手に語る19歳の男性。
去年4月、看護師を志し学院に入学しました。
「持病を持っていて札幌の大学病院で入院した時に受け持っていた看護師が男性の方で僕もこういう看護師になりたいなと思って選びました」
しかし、その未来はわずか1年で絶たれることに。
「指導中に先生が持っているペンでぶっ刺すぞだったり、実習中にあなたはガキンチョですかとか、自分にとって結構ショックな言葉をたくさんもらいました」
教師から日常的に浴びせられる暴言。
男性は精神的に追い詰められ、今年3月退学をする決断をしました。
江差看護学院では多くの学生が留年や休学、退学に追い込まれています。
「○○副学院長」
「〇〇先生も出てきて一緒になって」
「みんな○○先生の右ならえになってしまって」
取材を進める中で、多くの被害者から出てくる「副学院長」の名前。
「学院長という兼務している人がいて、その方が一番の権限を持っているはずが全く動いていなくて、とにかく副学院長が一番というところに問題があるのではないですかね」
学院長をトップに、副学院長、教務主幹などからなる道立看護学院。
しかし、学院長は振興局の部長や保健所の所長も兼務していて普段学院には常駐していません。
「暴行したくなるとか、殴る蹴るをしたくなるとか、あなたは看護師になる価値はないなど結構言われたので」
学校の実質的トップによるパワハラへの関与は本当にあったのか。
にわかに信じがたいことですが、この副学院長を巡っては、新たな疑惑も浮上しています。
江差高等看護学院でパワーハラスメントをしていたとされる副学院長は、2年前まで紋別の高等看護学院に勤めていました。そこでもパワーハラスメントの訴えが上がっています。
遠く離れたオホーツクの紋別市に勤務していた時にも同様の問題が起きていたことが分かってきました。
「『死ね』とか『殺すぞ』とかそういうのは日常的に冗談のように言っている先生は本当にいました」こう話すのは5年ほど前に紋別市にある道立看護学院を卒業した女性です。
「副学院長なんかは『あんたたち退学にするよ』とか、『あんたたちみたいなバカには言っても分からない』とかは口癖のように言っていました」
紋別看護学院では退学後に自殺を考え、数年絶った今でも心療内科に通い、精神安定剤を飲んでいる元学生もいます。
「人生をぶち壊しにされて看護師になるどころか、自分の健康すら損なって生きていけなくする、人の人生をおもちゃにして遊んでいるような感じです」
こうした状況について、学校はどう思っているのか。
一体なぜ、そして、どうして、このような状況が生まれたのか。
「教員の言動等につきましては、現在、第三者調査委員会において調査中であり回答については、差し控えさせていただきます」
実際にハラスメントにあたる行為があったのかはいま第3者調査委員会が調査中です。
ただ、明らかなのは看護の世界を志して入学をした多くの学生がその希望ある未来を絶たれている状況にあるということです。
HTBでは情報提供を募集しています。
「看護学院疑惑」「HTB」で検索してホームページにアクセスし、声をお寄せください。
https://www.htb.co.jp/news/harassment/
この問題については6日、7日のイチオシでも詳しくお伝えする予定です。