『AIの時代を生きる』ってどういうこと?大切なのは何か 

『AIの時代を生きる』

よく聞く言葉、AI(人工知能)。コンピューターサイエンスと認知心理学、教育学を組み合わせて、よりよく社会で生かしていくのかを研究しておられる女性。公立はこだて未来大学の教授・美馬のゆり先生の新刊です。

未来をデザインする創造力と共感力 というサブタイトルがついています。

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AIは自分で学習してどんどん賢くなっていき、便利な暮らしへの期待が高まる一方で、よく将棋などでAIが勝ったことがニュースになり、AIで人の仕事がとって変わられるのではないか、なんて不安な声も聞こえてきます。

そんなAIのこれまでとこれから、人間とAIの付き合い方などを解説したのが『AIの時代を生きる』です。

先生の本書内にハッとしたフレーズがあります。

”膨大なデータをもとに学習していくので、そのもととなるデータに偏りや誤りがあったらどうでしょう”

確かに・・・
極端にいうと、リーダーを決めるというAIがあったとすると、過去にリーダーが男性が多かったから、男性という答えが導き出されてしまう、そういうことです。

”過去の歴史には人を差別したり、偏見に満ちた呼び方や考え方が多くありました。バイアスのかかった過去の膨大なデータをそのまま学習させれば、大きな誤った結果を導いてしまうことになるからです。”

ゾクッとしました。人がやらなければならないことはまだまだある、と実感しました。

このほか、コロナ禍で身近に感じられた変化などを例に2021年、今のAIの時代の立ち位置をわかりやすく書かれています。そして、20年後の未来への考え方も。

サブタイトルにもありますが、ちょっとしたことに気づく、周りを見渡してみることで『共感力』を高めること。そこから感じるアイディアを技術で創造していく、そんな未来こそが人が生きやすい世の中になるのではないかと感じました。

のゆり先生はAIと共生する社会の未来を考える機会を提供してくれるのは本質を問う”哲学”と”生きることを考える”家庭科と書かれています。それはなぜなのか・・・読むとかなり納得。ジュニアのみなさんだけでなく、大人のほうが深く考えさせられる一冊です。

そして、読むと励まされている気持ちになれます。”チャンスというバスが来たら乗ってください。違ったら降りて別のバスに乗ればいい。” また一歩踏み出せそうです。

美馬のゆり先生からのメッセージ

『最近「共感」あるいは「共感力」が話題になっていますが、本書では「創造力」も重要だとしています。それは、「共感」からそこにある問題を見つけ、認識し、なぜそうなっているのかを考え、横たわっている問題を明らかにし、仲間を見つけて解決法を見つけていく、作っていくという「創造力」が必要だということです。そこにAIは大きな力を与えてくれる可能性があります。』

【紹介した本】
AIの時代を生きる
未来をデザインする創造力と共感力(岩波ジュニア新書)
美馬のゆり 著

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この記事を書いたのは

SODANE編集部

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