コロナの影響をうけた音楽業界。
今年もコロナの影響を受けた私たちの生活。日常が戻ることを来年には期待したいところです。
「音楽」も影響を大きく受けた業界の一つ。緊急事態宣言下でコンサートが中止・延期となり、関連する売上は一時ほぼゼロに。ライブハウスだけでなく音響や照明、舞台など、ステージ制作に携わる企業やフリーランスも窮地に立たされました。
今も苦しい状況が続いていますが、立ち止まっているばかりではありません。オンライン配信とリアルイベントを組み合わせた新たな形や、音楽活動を支援する取組みが広がっています。
今回は「北海道のエンターテインメントやアーティストをサポートしたい」と有志で活動する映像チーム『HE'S Project:ヒーズプロジェクト』を紹介します。
映像チーム『HE'S Project:ヒーズプロジェクト』とは!?
「エンタメ業界の苦しい状況をなんとかしたい」とHE'S Projectを立ち上げたのは、北海道のテレビ局やイベント会場などで活躍する株式会社北海道共立の星野挙(あぐる)さん(30)です。
星野さんは映像やイベントを演出する「照明」専門のプロ。
実は、私がMCを務める情報番組イチオシ‼で、共に働く仲間の一人でもあります。
日々の放送や取材に立ち会うなどの通常業務も抱える中で、独自にこのプロジェクトを始めたと聞いた時、私はその熱量にとても感銘をうけました。改めて『HE'S Project:ヒーズプロジェクト』を立ち上げたきっかけや想いを伺いました。
オンラインでもLIVEに負けない迫力を!
2020年の5月、新型コロナの拡大でライブやイベントが続々中止になる中、照明・音響など裏方を仕事とする仲間は自宅待機が続き、倒産してしまった道内イベント会社もありました。
裏方と同様に、出演者やアーティストの苦しい状況も耳にするようになりました。東京ではアーティストが個人でオンライン配信する取り組みも見かけるようになりましたが、特にインディーズアーティストも多い北海道では、配信イベントをしても収益の見立てがつかないことや、そもそも「オンライン配信をするための機材がない」という悩みも抱えていました。
そこで、プロの音響や照明、カメラマンの仲間を募り、北海道のエンタメをサポートする活動をしたい!と思い立ちました。
プロの映像チームでライブの躍動感を届ける
同世代の同業他社を誘ってスタートした活動。主なメンバーは現在11人ほど。この1年半で、道内在住・またはゆかりのあるアーティストのライブ映像、42本を制作し、YouTube上で公開しています。
最新のライブ配信は「HE'S LIVE ~beyond~ SNARECOVER×栞寧」
これは延期となっていたライブの再公演で、リアルとオンラインの両方でやりたいと、アーティストからの相談を受けたのだそう。
会場に選んだのは、開放感のあるオシャレな空間でネット環境が整っている「サツドラ8条店のBOOK LOUNGE」。こうしたイベント会場の手配から、セッティング、進行や撮影、配信まで全てを行いました。
暗いステージに浮かび上がるアーティストの横顔と白いギター。
弾き語りの演奏を、月のような白いライトが照らし、音楽に合わせて変わる照明の強弱や青やオレンジ色の光で、映画をみているかのような映像に。息づかいも聞こえるような音と、かっこいいカメラワークで、会場に居なくてもライブの臨場感を味わえます。
照明の仕事の面白さは「表現の自由さ」なのだそう。
音楽を聞いて、照明のプランニングをたて、構成を紙に書いて、コンピューターに打ち込んでデータを作って再生していく。そうした光の演出によって、見る人の心に響くステージを作り上げています。ライブハウスや舞台では照明100台を駆使することもあるそうです。照明の世界、興味深いですね。
最初はボランティアでスタートした活動ですが、今では依頼も入るようにもなってきたと言います。将来は「北海道での音楽フェスを支えられるようになりたい」と語ってくれました。
森さやかの思うコト
ウィズコロナで疲れた心には、やっぱりエンタメは必要です。
音楽は時に、自分の気持ちを代弁してくれたり、今の気持ちに寄り添ってくれたりするもの。北海道のエンタメを無くすわけにはいきません。エンターテインメント業界は、人を楽しませるのが目的の業種です。困難なことがあっても、周囲を巻き込み、前向きに取り組んでいく姿勢こそが、人を楽しくさせるのだと思います。
テレビも負けずに、様々なトライを続けていきたい。
星野さんの情熱に、私も意欲をかき立てられました。