2月5日まで様々なセッションが行われたCancerXのWorld Cancer Week2022.
そのオープニングでは今、解決すべきがん領域における課題を仕分けした18項目のCancer Agendaを発表。そのアジェンダを組み合わせながら、課題解決に向けて各セッションが行われました。
https://drive.google.com/file/d/1eU8RA6XqxX6PDVs8D359A6eLic33oNH6/view
2回目は『教育』をレポートします。
CancerX『教育』
【登壇者】
浅野 大介 (経済産業省商務・サービスグループ サービス政策課長(兼)教育産業室長)
佐藤 健太 (お茶の水女子大学附属高等学校 保健体育科教諭 / 同大学非常勤講師)
モデレーター : 鈴木 美慧 (CancerX理事 / 学校法人聖路加国際大学聖路加病院遺伝診療センター 認定遺伝カウンセラー)
現役の高校生も参加
〜みんなで考えよう、これからのがん教育の進め方〜と題し、多様性に気づく、偏見につながらないがん教育とはどんなものなのか。2022年の春から始まる高校のがん教育を前に現役の高校生が参加しました。われらが北海道からは札幌の新陽高校の生徒さんも参加。みなさんから率直な『がん教育』に対して思うことの発言がありました。
今年の春から始まる高校のがん教育どうする?
先行して進めているお茶の水女子大学付属高校の事例が説明されました。『健康を保持・増進するように情報をえて理解し、利用するための動機づけと能力を決定する認知的・社会的スキル』=ヘルスリテラシー。
このヘルスリテラシーの育成が急務、です。
佐藤さん『ヘルスリテラシーの育成を目標としている。講義だけではなく、ペアになって調べたりすること、考えることで関心を高める。データを入れて、これからどう読み取れるのかも入れ込みながら、その力をはぐくむようにしている』
がん教育となると、途端に暗くなったり、自分には無関係だと思ったり、指導者側の先生の理解度でも違いがあることが課題と言われています。
佐藤さん『ヘルスリテラシーを実際に体験する活動。調べて、お互いに共有させる。あとは実生活に反映させる意識や声掛けが大事。その後の調べ学習では多岐にわたるテーマが出てきたのは発見だった』
授業を受ける前とその後の変化についてのアンケートも共有されました。
高等学校におけるがん教育~自校事例の紹介~ より 佐藤 健太 (お茶の水女子大学附属高等学校 保健体育科教諭 / 同大学非常勤講師) 作成
結果、”がんは身近な病気である、そう思う”という生徒が68%から98%に。
”身近な人と話し合う”とした人は授業前35%から79%になったことも特筆すべき点です。
がんに対する意識や考えの変容と行動への意識の両方で『早期発見(検診の必要性)』、『がん検診を受けるための動機付け』が高まっている可能性があると報告。
『がん患者への理解が深まる』としたのが68%からほぼ全員ともいえる98%に増え、がん教育はその可能性を持った題材であることが再確認できた、と報告されました。
佐藤さんは今後は遺伝や倫理的な観点からがんをとらえさせたりできればと話しました。一方で苦労した点として、当事者や家族を亡くした生徒がいる場合の配慮、
退出したいと申し出た生徒の避難場所の確保、など様々な配慮を必要とすることも挙げられました。やはりここが大きな課題だといえます。高校生など向けのe-ラーニングの教材を作るなど、学びの未来の姿を目指して様々な取り組みをされている浅野さんからは●●教育はやめた方がいいのではないかという大胆な提案がありました。
浅野さん 『●●教育と言われる、●●についての教育、今回で言えばがんについての教育、だけではなく、がんを入り口にした探求、健康とか生命など含めた取り上げ方がいいのではないか。』と話します。
どういうアプローチがいいのか、高校生に聞きたい。
浅野さんが取り組まれているのは『未来の地球学校』。学校を超えて学びあおうとするプログラム。学びの未来の姿は、社会課題・生活の課題に向き合って論点を見つけて、論点を知って、チャレンジしていく。論点を見つけてから、答えを見つけていく。これまでとは逆の学びを目指しているそうです。(北海道では2020年度に旭川農業高校・倶知安農業高校などが参加)
浅野さん『興味を掘り下げていこうと。がんって何なの?ウイルスって何?何がリスクなの?これは思い込みかもしれないけど、これは思い込みではない、といろいろ深堀していきたいと思っている。高校生からすると、どんなものがいい切り口なのか、遠慮することなく教えてほしい。』
高校生はがん教育をどうとらえている?
ナムちゃん『なぜ、がん教育関心持ったかというと親ががんになったから。強制的に考えざるを得ない状況になった。去年のラジオ番組を通して(※去年のCancerXでの高校生たちの取り組み)、どれだけ(がんに対して)偏見を持っていたかを学ぶことができた。誰にでもわかる正しい情報を発信しなくてはと思った。一高校生としてはどうやったら関心しめすか、は当事者意識が大事。疑問をもってもらうことが大事かも。』
たくあん『身近にはいないのですけれど、知らないことを知ることは必要なこと。自分自身も当事者になる可能性があると、周りも僕も対策していければ。』
野良猫三四郎『がん教育にあたって、いろんな方が関心をもってもらうのかは共通性・共感かなと。自分にどういう関連性があるのか、利益はあるのか、と自分で見出せるような教育にできれば。』
ゆうちゃん『学校のボランティアで小児がんなどの長期入院のお子さんとZOOMしたり、勉強したりしている。研修会で子供ががんにかかったお母さんの話を聞いたり、長期入院をしている子供の話を聞いた。学校の授業はがんそのものとか予防とかは学べるが、実際にかかった人、身近にいる人のお話でもっと理解を深められると思う。自分がかかった、家族がかかったときにどういった行動をとったらいいかを身近に感じられると思う。』
けいてぃー『人によってはがんについては、他人事としてとらえてしまうかもしれない。実際にがんになった方が登壇したりしたほうが現実的に学べるかもしれないと思う。』
ハリネズミ『高校一年で生物の授業で調べた。当事者意識や知識は得ていた。元患者さんに話をしてもらう機会が小中高とあった。そのときは話を聞いて、感想を書いたものを提出して、終わりだった。その聞いた話をみんなで議題にしてディスカッションをしたり、クラスのみんなで話し合ったり、調べたりしてもらうのを設けたらいいのかなと。』
TOTO『授業で調べることもして、実際に経験された方にも話を聞くと関心も持てて、興味を持つことができるのでは。医療的な面じゃなくて、心理的な面が気になる。』
りんりん『私も回りにいない。あまり興味がない。もしかしたらいつなるかはわからないし、小学校中学校とかがんについて学ぶのは早いことではない。学ぶことで救える命もあるので必要。学ぶにあたっては、家族がなったらどう支えるかを学びたい。』
you『祖母ががんになったんですけど、なおったんで、危機感がなかった。生物の時間を通じて、がんっていうものの仕組みに興味を持ったのはある。』
ほうれんそう『父親が胃がんになった、小学2年生のときだった。父親が入院するとき、ショックは少なかった。そのときはわからなかった。母親に最近、そのときの話を聞いた。(母は)最初は本人の口から言われたときに動揺して、医者に言われて絶望を味わったという。(がんには)マイナスイメージがある、一瞬でも死がよぎる。昨日まで普通の人が一緒にいた人が、いない。私はそういう経験をしたくない。がんというもので、予防できるのであれば確率を減らしたい。知らなかったらなんで知らなかったんだと後悔するとつらいので。』
ヒマラヤ『小学4年生のときに母親が乳がんに。ほんとに死ぬんじゃないかと考えた。入院が終わって、どんどん治っていく感じを見てそんなに死を感じることもなかった。でもがんといったら死のイメージ、偏見ある。もっと正しくみんなに伝えて、しっかりとした情報を伝えられる教育をしてほしい、と。』
私も北海道のがん教育のプログラムを受けましたが、本当にまだまだ受け入れる学校側の意識も難しいのではないかと実感しています。
がん教育ではなくてがんから深堀する教育の在り方。SNS含めたメディアリテラシーも叫ばれていますが、情報があふれているからこそ必要な正しい情報をどう集めたらいいのかを早い段階から体系的に学んで、学んだことを武器にしていくことが必要だと思います。
がんを知っていくための教材。CancerXでは高校生と一緒に学ぶ教材を作っていく活動も始めていくそうです。期待がかかります。
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#WCW2022
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#WorldCancerDay
#CloseTheCareGap
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