「北海道産日本酒と北海道のチカラの掛け算」という取り組み
今注目の北海道の日本酒。酒店や飲食店で目にしたり、飲んだことがある方も多いのではないでしょうか?
現在、北海道酒造組合に加盟している日本酒の酒蔵は16蔵になります。
雪融けの伏流水、そして良質な酒米を原料とした道産日本酒は各酒蔵それぞれが個性を活かし、美味しさを追求、道民に愛されています。
日本酒は地産地消のお酒ともいわれていますが、その消費に垣根などあるわけがありません。
日本の長きにわたる文化でもある「日本酒」と「北海道」という世界でも際立ったブランド力を掛け合わせて、新たな北海道の魅力を全国に、そして世界にも発信して行きたいと考える酒蔵もいます。
酒蔵の歴史はそれぞれに個性を研磨してきた歴史でもあります。
これまで道内各地に点在する酒蔵はそれぞれ独自の酒づくりやマーケティングで美味しいお酒を世に出してきました。そこには「門外不出」、根強いオリジナリティがあり、他の蔵元との「コラボレーション」という言葉などあり得ない世界でした。
『北酒(きたさけ)』・・・生まれた新たな展開
今までのそれを「縦軸」と考えると「北海道の日本酒」というコンセプトで「横軸」を作り、各酒蔵が同じコンセプトながら独自の発想や製造工程で同じブランド名のお酒を製造したら、酒蔵それぞれの魅力とともに北海道全体の日本酒のブランドアップにもつながるはずだ、そう考えました。
北海道の日本酒=「北酒(きたさけ)」というブランドを作り、このブランドをプラットフォームに北海道のチカラ(魅力)の掛け算を考えたのです。
いまや世界的にも希少となっている熟成用ミズナラ樽。質の高い北海道産ミズナラで日本酒用のオリジナル樽を作りました。
ウィスキーの熟成工程に欠かせないという木樽、特にミズナラ材は香りが強く、日本酒そのものの特徴を殺してしまうのではと敬遠されるのが本来の考えでしょうが、あえてこの壁に挑戦。
少し「スモーキー」で美味しい新たな日本酒を道内の酒蔵で順に製造して行こうという各酒蔵が一つになるストーリーを考え、これで「横軸」が完成しました。
田中酒造外観
まず最初に小樽市の「田中酒造」がトライ、「北酒」第一号が出来ました。続いて増毛町の「国稀酒造」が取り組みました。どちらもこれまでにない少し香ばしさが口に広がる新たな北海道の日本酒が出来上がりました。
まだスタートしたばかりの取り組みなので販売数にも限りは有りますが、愛飲家がその時出会った「北酒」を一本口にして、その酒蔵や北海道の日本酒全体に興味を持ってもらう、そんなブランドアップにつながって欲しいという思いです。
現在、旭川市の「高砂酒造」が三蔵目として「北酒」に取り組んでいます。
これから、さらに北海道の日本酒の魅力を発信していきます。
文:西村 順一(サビーナプレミアムショップ代表)