4月4日、イチオシ‼ニュース特集で放送した企画が大きな反響を呼んでいます。「朝起きたら突然手足が動かない…年間数例の珍しい病気に襲われた女の子 SNSで伝えたい思いとは?」です。
主人公は旭川に住む渡邊葉月ちゃん(10)。2年前の3月3日朝、目が覚めた葉月ちゃんはベッドから立ち上がれないことに気づきます。手足が動かないのです。病院で下された診断は「毛様細胞性星細胞腫」。子どもの脳にできることが多い腫瘍の一種ですが、葉月ちゃんの場合は首の中の脊髄にできてしまい、神経を圧迫。首から下に脳の指令が伝わらず、手足が動かないばかりか、呼吸も出来なくなってしまいました。こうしたケースは非常にまれで、国内では年間数例しかないということです。
緊急手術で命は取り留めましたが、寝たきりに。人工呼吸器をつけるために気管を切開し、声を出すこともできなくなりました。学校には行けず、友達にも会えない生活。そんな厳しい状況にも関わらず、明るく何でも前向きに挑戦する葉月ちゃん。その姿、笑顔が、多くの人の心を動かし、たくさんのコメントが寄せられています。
“なんて強い子なんだ 葉月ちゃんが一番辛いはずなのに、周りを勇気づけようとしてる姿が心に刺さる 早く良くなって欲しい”
“まだ小さいのに、声がでなくなり、体も思うようにならなくなったのに、こんなに笑顔でいることに涙が止まりません。今、私も治療中で、辛いことばかり続き、気持ちが落ちてましたが、葉月ちゃんをみて、私も頑張らなきゃ!と思えました!ありがとう!どうか、声が出せるようになりますように。素敵な笑顔ありがとうね!”
(YouTubeに寄せられたコメントより)
渡邊さん一家が取材を受けてくれた理由の一つに、「外の世界とつながりたい」という思いがありました。2年もの間、学校に行けなかった葉月ちゃん。新型コロナの感染拡大もあって、自宅を訪れる人は非常に限定的です。本来であれば多くの友達に囲まれて成長するはずだった娘のため、少しでも多くの人とSNSなどを通じて交流したいという思いが、ご両親にもあったのだと思います。
葉月ちゃんの日常を発信している母・千香子さんのインスタグラムは、放送をきっかけにフォロワー数が増え、毎日多くのコメントが寄せられています。(@chikako.watanabe.1272)「世の中に伝えたい」という葉月ちゃんのお手伝いができたこと、彼女の魅力がより多くの人に伝わっていることを、スタッフ一同うれしく思っています。
母・千香子さんのインスタグラムより
葉月ちゃんと知り合うきっかけをくれたのは、北海道を拠点に活動するアーティストSatolyさん。障がいのある子どもたちをアートで癒したいと、世界各地を飛び回っている女性で、2年前にイチオシ‼で紹介しました。「触れるアートで世界をつなぐ…元看護師アーティストの挑戦」(2020年6月4日放送)
Satolyさんから深夜に届いた1本のメール。そこには、オンラインで一緒に絵を描いている葉月ちゃんのことが書かれていました。いつも笑顔で、本当はつらい状況のはずなのに逆に笑わせてくれる…、そんな内容でした。メールには、葉月ちゃんの満面の笑みの写真も添付されていました。その笑顔のパワーたるや…。すぐにでもお話を伺いたいと、速攻でお返事しました。
Satolyさんのインスタグラムより(@satolyartworld)
4月には札幌で開かれたSatolyさんの個展に、葉月ちゃんが描いた絵も展示。YouTubeでイチオシ‼の特集を見て、沖縄からわざわざ来てくれた人もいたそうです。今後、次の展示会に向けてSatolyさんと葉月ちゃんで一緒に絵を描くとのこと。楽しみです。
この春から2年ぶりに学校に通い始めた葉月ちゃん。当面、元の学校ではなく養護学校への通学となります。自宅での学習から一歩前進ですが、介護が必要な葉月ちゃんのような子どもが学校に通うためには、行政による移動支援のあり方など様々な課題もあります。
HTB報道部では旭川支局を中心に今後も葉月ちゃんの取材を続け、道内外の皆さんにお伝えできればと思っています。