北海道のブランドが新しい価値のために・・・
北海道・旭川市の木製家具ブランド『カンディハウス』と砂川市の馬具・革製品ブランド『ソメスサドル』。どちらもその技術と自然素材を生かしたライフスタイル製品を生み出しています。
この2社による新ブランド『COSONCO QS(コソンコクス)』が10月に誕生します。
デザイナーに倉本仁さん、アートディレクターに谷内晴彦さんを迎えました。
2社の木材・皮革など製造過程で生じる端材を積極的に取り入れ、『玩具でも置物でもない』日常の日々に、心豊かに、空間をおだやかにする、アートオブジェが生まれています。
7月下旬に行われた展示会にはそのブランドの意味となりたちがわかる演出が。
木目や節の具合により、強度が弱く、家具には適さない木材。
繊維の締まりが不十分でカバンや、安全性も担保しなくてはいけない馬具には向かない皮革など質のよい大きめの端材も出てしまうとか。両社とも長年にわたり、材料を使い切る模索をすすめているものの端材の有効活用は課題だったといいます。
デザイナーの倉本仁さんはその端材のクオリティの高さに驚き、端材とよんでいいものではないとさえ感じたそうです。
カンディハウス・ソメスサドルとも情報交換ができる間柄として友好関係にあり、共に製品を作り上げて販売した経験もあります。
しかし、今回はそれだけではなく、コラボレーションを超えてデザイナー・アートディレクターとともに新しい価値を模索、かけ算の思考でプロジェクトは進んでいます。
いいものを作ろう、という過程で出てしまう端材をリサイクルより『アップサイクル』。さらにそれを超える『一点もののアートオブジェ』を作ることを目指しています。
世界でひとつのアートオブジェ
『COSONCO QS(コソンコクス)』の製品はこの世にひとつとして同じものは存在しません。革の色も木目の出方もその時々で変わります。
目の前の端材から順番に製品に取り入れて、試行錯誤の末、出来上がったオブジェです。
シマエナガ・エゾユキウザギ・エゾリス・キタキツネ。
北海道の自然に住む動物がモチーフに。この部分が木でこの部分が革なんだ・・・。木と革が美しく融合し、まるでその動物が目の前にいるかのような出来上がり。その創意工夫に驚きます。
デザインをかたちにするため、まずカンディハウスの職人が木を加工、これにソメスサドルの職人が革を加工して仕上げるそうなのですが、発表に至るまでは時間がかかり、その仕上がりには細部に至る苦労もあったとか。
自然だけではない、Townシリーズのオブジェにもこだわりが。
見ているだけで心が落ち着きます。
都会の景色であるはずのものが自然素材の木材と皮革でこんなにもおだやかな気持ちになるのだろうかと感じるのではないでしょうか。
その真骨頂ともいえるのが『Rocking horse』。まさに最高の木馬です。
ブランド名『コソンコクス』にはアイヌ語で『遠く離れた土地でコミュニケーションする』の意味があります。
アートディレクターの谷内晴彦さんは2社のベースである旭”川”・砂”川”、そしてその2つをつなぐ”川”に注目。ものづくりの姿勢を認め合うことから始まった壮大な物語と思いを込めています。
ブランドカラーはグリーン。ロゴは2社に共通する道具である『小槌』をCとQで挟んでいます。
パッケージにも端材の革を使用しています。
創業者時代からのご縁がつながり、昨年の社長交代(どちらの社長も染谷さん!これもご縁)でその思いがさらに加速。新しい価値へと昇華させた『コソンコクス』。
『COSONCO QS(コソンコクス)』は10月デビュー。実店舗や大量の在庫を抱えず、専用のECサイトを中心に世界の市場へ向けて販売する予定です。
北海道から世界へ、新しい取り組みから目が離せません。