スカイスポーツの聖地滝川市でグライダーの若手リーダー「ソアリスト」を育てる「ユースグライダーキャンプ 2022」が開催 | 未来のグライダー界へ紡ぐ6日間

北海道滝川市は広大な土地と、航空管制の制約の少なさという条件が整った"スカイスポーツが盛んな街"。

市内にある「たきかわスカイパーク」は全国トップクラスの設備を備え、日本中からグライダー愛好者が集まります。

特に、透明度の高い北海道の澄んだ空のもと、豊富な上昇気流を楽しめると人気です。


グライダーはエンジンを持たずに空を飛ぶ「航空機」。

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ウィンチや飛行機で牽引して浮き上がり、上昇気流を使って上空まで高度を上げ(ソアリング)、そこから滑空することで長い距離を飛行します。

この上昇気流が北海道の中でも特に豊富に発生するのが、まさにここ、滝川市なんです。

太陽の光で地面とともに暖められた空気が生む熱上昇流(サーマル)に加え、山から風が吹くような状況で生まれる山岳波(ウェーブ)が発生するのもこの土地の特徴です。

国内唯一のグライダーの街で行われた「Youth Camp」

こうしたグライダーにとって素晴らしい条件が揃い、全国から愛好家が集まるこの地で、グライダーの未来のリーダー「ソアリスト」を育成する「ユースグライダーキャンプ 2022」が開催されました。

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参加者は道外から3名、道内から1名の4名。

その他にもスタッフとして道内外から8名の方が参加し、全国から若手へグライダー飛行の技術や知識を継承する6日間を送りました。

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オンラインで開催された参加者向け事前講習会

ソアリスト(Soarist)とは

「ソアリスト(Soarist)」とは、山を愛する人にとっての「アルピニスト」のように、空を愛するパイロットがそれぞれの想いをつなぎ、次の世代に伝えていくことを目指して作られた言葉で、その名を冠したチームが2009年から開催されました。今回のキャンプで10年目を迎えます。

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約60名のユースパイロットを育成してきたこのキャンプ、これまではシニアと呼ばれる指導者の皆さんによるボランティアで開催されてきましたが、今回は日本スポーツ振興センターのスポーツ振興くじ(toto)「toto Growning」のスポーツ振興助成を受けた(公社)滝川スカイスポーツ振興協会の主催で開催されました。

空を飛ぶ喜びと、確実な技術を継承する

エンジンを持たないグライダーがより長く飛ぶために必要なのが、気流を読む力。

日々変わる気流と風をしっかり捉えるのに大切なのが飛行前に行われる「ブリーフィング」です。

晴れていると生まれやすいサーマル(熱上昇流)を雲の発生状況から読み取り、どれくらい高くまで上がれるか、どういうルートで飛行するかなどの飛行戦略をたてていきます。

山から風が吹くような状況では、ウェーブ(山岳波)と呼ばれる上昇気流ができたり、弱い風の時には風がぶつかり合って生まれるコンバージェンス(収束帯)と呼ばれる上昇気流の道(空の高速道路)ができたり…。

こういった気象と地形を読む力を「ブリーフィング」を通じて養いました。

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また、ブリーフィングでは次のようなことがシニアスタッフからアドバイスされました。

①当日のフライトに必要な天気の予報を運航の可否(グライダーを飛ばすことができるかどうか)

②グライダーを飛行させるのに必要な注意事項

また、観天望気を行い、どこにどのような上昇気流が発生しているのかを理由も交えて解説するとともに、飛行の最中も同乗しているユーパイロットや、一人で飛行しているユースパイロットに対しても無線を通じて適時アドバイスを送っています。

実際のフライトでは若手とベテランパイロットが二人乗りの「複座機」で一緒に空を飛び、上昇気流の捕まえ方、適切な滑空速度の選択、飛行中の雲の観察の仕方や他機警戒の方法、グループ飛行法などを伝えていきました。

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飛行後に行われるブリーフィング(デブリーフィング)では、「フライトトレース」と呼ばれる飛行軌跡を基に、

①ソアリング予測に対し、実際はどうだったのか、なぜ予測と違ったのか(同じだったのか)

②なぜ難しかったのか、その時にどのように飛行することがより適切だったのか

③天気(気象)の変化に気づけたか? それはどのようなことからわかったのか?

などを解説していき、次のフライトに生かしていきます。

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また、ブリーフィングと別に行われたディスカッションでは他のスポーツ種目で取り組まれている「長期/短期の目標設定」をユースパイロットに事前にシートに書き込んでもらい、その発表と互いの目標に対する意見交換、キャンプ終了時には目標の達成度を評価してもらいました。

今回の参加者は特に「教える」ことに強い興味を持つ方が多く、今回のキャンプを通じて得た「空を飛ぶ楽しみ」をどのように次の世代の若者につないでいくか、それぞれのエリアでどのように次期リーダーとして活躍していくかなどの話合いも活発に行われました。

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期間中は雨が降るタイミングもあり、日々難しいコンディションが訪れながらもしっかりとしたブリーフィングにより様々なコンディションに対応したフライトが行われました。

雨が降っていたり、上昇気流や風が弱いコンディションでも参加者とスタッフが協力しながらより良いフライトにつなげたり、編隊飛行によるチームワークが試されるフライトなども数多く経験できました。

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キャンプを終えて~ソアリストのメーリングリストに寄せられた参加者からの声とグライダーの未来

キャンプ終了後、ユースパイロットでつくるメーリングリストにキャンプ参加者の感想が次々と寄せられました。

皆さんの感想は総じて、今回のキャンプを通して改めて「グライダーの世界はやはりおもしろい!」ということに気づかされたとのことでした。

ソアリストとして成長するには、飛行に関する知識や技術だけでなく、経済的な自立や計画性、いつでも空を見上げて飛行感覚を磨く絶え間ない努力など多くの事が求められます。

そうした成長を続けるために、若手の努力とともにシニアパイロットも若手に刺激と情熱を与え続けることが必要だと気付かされたキャンプでもあったようです。

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グライダーに情熱を注ぐ人たちをつなぐ場所となった「ユースグライダーキャンプ 2022」。これからのグライダーの未来につながる時間が紡がれました。

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この記事を書いたのは

北海道179市町村 SODANE情報部

北海道が誇る179市町村の旬な情報を、各自治体に住む皆さんから届けられるリアルな情報をもとにSODANEが編集。
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