乳がんになった・・・オットの話 両側乳がんになりました175

次の誰かのためにと綴っています。

乳がんになってから気づいたオットのコト。

オットの話

オットは実に私をよく見ている。気がのってないときは話しかけないし、寝ているときは起こさず放っておいてくれる。重い荷物はもってくれるし、聞かれたくないであろう話はまったく聞かない。でも聞いておくべき症状とかは把握しておいてくれる。手術前後も逐一現状報告をすれば、理解してくれて、病院についていってくれることもあれば、送ってはくれるが一人で行け、ということもあった。彼も祖母が乳がんでなんとなくわかっている部分があるのも大きい。ただ、突然、カメラを回せと、ツマに言われて困惑していたと思う。きょうはカメラ回さない方がいいのではないか?と言われたことももちろんある。

なかなか自分で本音も聞けないわけで、、、家で気心しれたカメラウーマンに聞いてもらったこともある。

オット「気持ちが落ちてるな、、、というのは瞬間瞬間であったことはあるけど、2週間とかある程度のスパンで、気が晴れないという時期があったことはない。基本的にイーブンペースで生活して仕事して、手術して、復帰して仕事して。だと思うんだよね。そんな何か自暴自棄になっていたことはない」

実によく見ている。

さらにオットは続ける。

「悔しかったからだと思うよ。自分がずっと取材していて患者さんがこうでしたってことを取材してる病気になったことが悔しかったんじゃないかという気はするけどね」

ホントによく見ている。

結構いろんな悔しい思いをしてきて、その都度乗り越えてきた。私は今回の病気もどうやら悔しさで乗り越えていこうとしているらしい。

 

日々の生活では、ものすごい勢いでモノを捨てていた。それでもモノより思い出、というマインドセットになっていることをオットは理解している。

 

手術から6か月。47歳の誕生日に猫好きな私のために「猫島」行きを計画してくれた。泊まりたい宿に泊まり、食べたいものを食べる。金毘羅さんへ行き、階段を上り、おみくじもひいた。無難な「吉」。気になるのは、病の項目だ。 

「医師にかかって信心せよ」 

無難だね、とオットが笑う。ホント無難だね、と返す。この日常さえ続けば本当に何もいらないなと思う。

これらの私の日常そのままをドキュメンタリーとして放送、制作した。番組をご覧になった方から、誰でもできると思わないでほしいという声も多くもらった。誰でもがんになって働けるわけではない。そりゃそうだ。それを強いることはしてはいけない。でも私が特別なわけではなくて、隠して普通に(を装って)働いている人もいる。私もめげそうになることもあるのだが、これで働くことを諦めたら、これまでのわたしのキャリアも失っちゃう。これが一番悔しいのだ。

この経験を隠して、マイナス、なきものにしてしまったら、自分のこれまでを全部なくす気がしてならなかった。そして、何よりこれまで世にわかってほしい、知ってほしいという思いで身体を張って私の取材に応えてくれていた患者のみなさんに申し訳ない。

私が隠れたら、その存在すらも隠してしまうのではないか。そう思った。

女性活躍、ダイバーシティと叫ばれているけれど、世の中そんなにまだ甘くない。もうこれで私のキャリアは終わったなと思った人もいただろう。現に仕事続けられるの?辞めるの?と聞いてきた人もいる。出産や育児でキャリアを一旦お休みし、肩身の狭い思いをして、もがいている後輩たちをみて心配していたが、今度はリアルに自分に降りかかった。

11人にひとり』が『9人にひとり』になり、増え続けている。もっと、いろんな患者さんの話を聞いてそれを多くの人に知ってほしい。それが少しでも『次の誰かのために』なるはずだと確信している。本を制作し、今も取材を続けている理由だ。

がんとともに、、、。

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がんとともに生きる方、ご家族を持つ方、そうでなくても、もちろん、どんなことでも、構いません。
決して1人ではありません。

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この記事を書いたのは

阿久津友紀

テレワーク×治療ということで・・・登壇します。
第3回に登壇します!

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「子育て」「介護」「治療」の3つのテーマについて、仕事を両立するためのテレワークについて、
中小企業でも実現可能な実施方法や労務管理を、専門家を交えながら、わかりやすく解説します。

[第1回]2月 7日(水)子育て 13:00~15:00
[第2回]2月14日(水)介護  13:00~15:00
[第3回]2月21日(水)治療 13:00~15:00 ★
※詳細は「チラシ」及び「テレワークポータルサイト」をご参照下さい。

【お申込み】
https://telework.mhlw.go.jp/support/seminer/


引き続きこちらも配信で2月3日より見ることができます!
お申込みお待ちしています。

Next Ribbon2024
「がんとともに生きる、寄り添う」

1月17日(水)

第2部 プログラム
司会:原元 美紀 氏(フリーアナウンサー)

18:30-18:35 挨拶
18:35-18:55 「自分らしく生きる~肺がんステージ4からの独立、出産~」
清水 公一 氏 (社会保険労務士事務所 Cancer Work-Life Balance代表)
18:55-19:15 「がんで働いちゃダメですか?~取材者から当事者に」
阿久津 友紀 氏 (北海道テレビ 東京支社編成業務部長)
19:15-19:35 「新たな患者サポートへの挑戦~治療後の生活も支えたい」
松浦 成昭 氏 (大阪国際がんセンター総長)
19:35-19:55 「 不妊治療か、がん治療か 46歳で出産した私の選択」
だいた ひかる 氏 (お笑い芸人)

オンライン配信 申し込みフォーム

https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11012609

『おっぱい2つとってみた がんと生きる、働く、伝える(北海道新聞社刊)10月6日発売

おっぱい2つとってみた がんと生きる、働く、伝える

日本癌治療学会 市民公開講座 9月23日(土)

https://www.jsco.or.jp/public/public_seminar/upcoming_seminar.html


「LINE特集 「失われる自分らしさ」。乳がんになった私たちの3年間。例え、心が折れそうでも…」
https://news.line.me/detail/oa-htbnews/bt2o2l9r6cfc

YouTubeで乳がんについて配信しています!

ピンクリボントーク【ホルモン治療の副作用と簡単ヨガ】 
https://youtu.be/gOOiLPH-n2I

温泉ソムリエも取得しました!

『アピアランスケアを考える』
https://youtu.be/3qVd1xXFvaU

ピンクリボントーク 患者と家族と社会 ~生きてくのに必要なコト~
アーカイブ配信:無料
https://youtu.be/PS4eJMy4GcY

第4弾の”がん患者さんとココロ” 北海道の斗南病院の精神科長で登録精神腫瘍医の上村先生に伺いました。アーカイブは
https://youtu.be/D-j4RrGSgkw

これまでの動画は・・・
【乳がん】おっぱい2つとってみた

HTBノンフィクション おっぱい2つとってみた
【2020年日本民間放送連盟賞 番組部門 テレビ報道番組優秀賞受賞】
【2020年ギャラクシー賞 奨励賞】

HTBonデマンドで無料配信中!
https://www.hod.htb.co.jp/pg_nf/pg_id_nf006

テレメンタリー2020『おっぱい2つとってみた~46歳両側乳がん~』年間最優秀賞 
ギャラクシー賞・選奨(報道活動部門)/民放連 放送と公共性 優秀賞
活動の一部は・・・
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https://sciencefestival.jp/event/breast-cancer/

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