2022年人気記事 「見たことない」の声 漁師が嫌う「厄介もの」が実は美味…商品にならない「未利用魚」の詰め合わせが話題 SDGs

海にいる魚はおよそ1万4500種類で、その内我々の口に入る魚はわずか500種類ほどと言われています。(調査:くら寿司)

漁師のなかには「まだ知られていない魚」のあらたな活用を模索する動きが出てきています。

 

 

漁網に絡む「厄介もの」

羅臼沖の漁船。大きなローラーと網でまきあげられるホッケやタラ。

お目当ての魚がつぎつぎと船にあげられる一方、漁師が網を切って、外す魚が。

網に絡まっていた魚はカジカの一種、「オノカジカ」で、鋭く長いトゲが花魁が挿しているかんざしに似ていることから、漁師からは「花魁カジカ」と呼ばれています。

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鋭く長いトゲが漁網に…

 

羅臼の刺し網漁師、野圭太(の・けいた)さんも網から外す作業に一苦労です。

 

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船上で漁網から「花魁カジカ」を外す漁師の野さん

■野圭太さん:

「これが未利用魚で出しているオニカジカ、うちらは花魁カジカって呼んでるんだけど、ツノがあるから厄介者もので、漁師から嫌われものですね。」

漁の中であがってくる一般にあまり知られていない魚や、小さすぎて規格外のサイズの魚など、商品にならない魚…。「未利用魚」や「低利用魚」とよばれています。

この日、野さんの船で獲った魚のうち、30キロは未利用魚でした。

 

売っても箱代にすらならない…?1キロ10円の「未利用魚」

羅臼港を覗いてみると、市場向けの魚の横に大きなタンクが。

■野さん:「これは市場に出ない未利用の魚とか規格外の魚、傷んで出せない魚が結構入っていますね。」

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知名度がなかったり、小さく「規格外」で市場に出ない魚のタンクが…。

 

「売っても箱代にすらならない」と仕分けられる魚。

国連食糧農業機関は、世界で獲られている魚のうち、3割ほどの魚が廃棄されたり無駄になっているという報告書を出しています。

この日、市場ではおよそ2トンの未利用魚が飼料用として取引されましたが…。

Q大体キロだといくらで取引される?

■野さん:「キロ今なんぼなの?」

■漁協職員:「ざっぱですか、10円です」

■野さん:「10円らしいです、1キロ10円。

 

「未利用魚」に光を当てた詰め合わせが人気に

未利用魚をどうにか活用できないかと考え、野さんが先月からあらたに始めたのは、「未利用魚ボックス」の販売です。

サイズが小さかったり、羅臼では取引されない魚を3キロ詰め合わせてインターネットで売ったところ、思わぬ反響があったと言います。

 

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「見たことがない魚がいっぱいある」と人気に

 

■野さん:「(販売して)1日目でいきなり3,4件、多い時で10件くらい(注文が)来て/やはり見たことない魚がいっぱいあるって」

 

「未利用魚」の利用価値は?

この未利用魚、本当に利用の価値があるのでしょうか?釧路市内の和食店を訪ねてみました。今回調理してもらったのは東京の有名店で修業し、釧路で和食店を8年営む和食のプロ、吉澤直敏シェフです。

 

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「未利用魚」を見る吉澤直敏シェフ

 

吉澤シェフがまず初めに取り掛かったのはエゾメバル。ガヤとも呼ばれ、羅臼では市場(いちば)に出ない魚です。

Qエゾメバルあまり調理しないですか?

■吉澤シェフ:「うん、あまりしないですね。でも鮮度はいいですね。」

 

丁寧に鱗を取った後は、串を刺して炙っていきます。炙ったエゾメバルはコンブなどで取った出汁が入った土鍋の中に。

そして10分ほど炊き込みます。

■吉澤シェフ:「初めて作ったんですけど、魚の出汁が出ているので/これだったらお客さんにも出せます」

 

ほぐした身と刻んだ三つ葉を混ぜれば完成‥エゾメバルの土鍋ご飯です。

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エゾメバルの土鍋ご飯

記者が食べてみると…。

 

■佐藤俊記者:「身もしっかりしているんですが、少しタイに似たようなそんな食感です。出汁も出ていておいしいです」

そして、あの漁師のやっかいもの、花魁カジカ。

■吉澤シェフ:「から揚げとかフライだったら家庭でもできます」

Qさばくのは初めてですか?

■吉澤シェフ:「この魚は初めてですね。皮の部分がちょっとトゲみたいなのが多いので、これを引いてあげれば問題ないと思います。」

卸した身を醤油で下味をつけ、片栗粉をまぶします。170度の油で揚げること2分…。

 

■吉澤シェフ:「あ、いいかんじになってきましたね/フグのから揚げみたいになってる」完成したのは「花魁カジカのから揚げ」。

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「花魁カジカのから揚げ」

 

塩をつけて食べるのがオススメとのこと。吉澤シェフにも食べてもらうと…。

 

■吉澤シェフ:「結構身質はしっかりしている感じで、変な癖も特に感じない。

たんぱくなので美味しいと思います」これまで一般に流通してこなかった未利用魚も、プロの手にかかれば、お椀や造り、ご飯ものや揚げ物と豪華な4品のコース料理に。

 

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「厄介もの」がコース料理に

■吉澤シェフ:「ご家庭とかで使う分には問題なく使えると思いますね/いま世の中全体が食糧不足に突き当たっていく中でこういう魚をどんどん食卓で召し上がっていく機会が増えればいいと思います」

 

魚が安定して取れない。

サンマなど、食卓で定番の魚が不漁のなか、これまで食べられてこなかった「未利用魚」が、食卓を彩るときが来るかもしれません。

 

■野さん:「価値を見いだせなかった魚が、食べてもらうと実はおいしかったと皆が言ってくれると、なんでも食べてもらうべきなのかなと思いましたね。

少しでもフードロス削減に繋がればいいと思いますね」

 

なお「未利用魚ボックス」、先月だけで100ケースも売れたそうなんです。そして全国各地から注文もあって、未利用魚に注目が集まっています。

販売する野さんによれば、これどうやって調理すればいいの、というお客さんを驚かせたいという思いも。中に何が入るかはその日の漁次第だそうです。

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この記事を書いたのは

HTB北海道ニュース

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