東日本大震災から12年 こころ紡ぐ民宿の物語 糸井重里さんがサンド伊達さんが心寄せる女性 一代さんのしなやかな強さ 北海道でも公開中

東日本大震災から12年 

映画「ただいま、つなかん」をご存じでしょうか?

この作品は、宮城県気仙沼市唐桑半島にある民宿つなかんと仲間たちの 3.11 からコロナ禍まで、10 年以上に及ぶ歳月を追ったドキュメンタリー映画。現在 42 館まで拡大するなど注目を集めています。

3.11 からコロナ禍まで、ある民宿で紡がれた「絆」のその先

3.11 からコロナ禍まで たくさん笑って たくさん泣いて こころを紡ぐ民宿「つなかん」の物語。


宮城県気仙沼市唐桑半島 鮪立(しびたち)。美しい入江を見下ろす高台に民宿「唐桑御殿 つなかん」はあります。100 年続く牡蠣の養殖業を営む菅野和享さんと一代さん夫妻は、東日本大震災当時、
津波により浸水した自宅を補修し、学生ボランティアの拠点として開放、半年間で延べ 500 人を受け入れてきました。

若者たちに「つなかん」と呼ばれたその場所は夫妻の「皆がいつでも帰ってこられるように」との思いから、2013 年の秋に民宿に生まれ変わります。女将となった一代さんは、自慢の牡蠣やワカメを振る舞い、土地の魅力を自ら発信。

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©2023 bunkakobo
【元学生ボランティアから贈られた寄せ書きを読む⼀代さん】

そんな「つなかん」に引き寄せられるかのように、次々とこの地に移り住む元ボランティアの若者たち。彼らは海を豊かにする森を育てたり、漁師のための早朝食堂を営んだり、移住者のサポート体制を整えたりと、地域に根ざしたまちづくりに取り組み始めます。

復興のその先を見つめる一代さんと若者たち。

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©2023 bunkakobo
【震災から 5 年後に全国から集まった元ボランティアとの記念撮影】

そんなある日、海難事故が発生。養殖業を廃業し、閉じこもりがちになった一代さんを思い、全国各地から「つなかん」に集まってくる元ボランティアや仲間たち。涙なみだの時を経て、民宿は再開。いつしか若き移住者たちは新しい命を授かり、地域を担う立場となっていきます。

そして、コロナ禍による民宿存続の危機の中で迎えた 2021 年 3 月 11 日。震災から 10 年という節目を機に、一代さんは大きな一歩を踏み出そうとしていました。(リリースより)

私も拝見しましたが、まちづくりってなんだろう、そして生きることとはなんだろう、と考えさせられます。

監督は、3.11当時テレビ報道の現場にいた現役ディレクター・風間研一(本作初監督)さん。
10年以上にわたり長期取材を継続し、全国で放送されるたびに多くの反響を呼んできた映像に、新たなシーンを加え、一本の映画にされました。

本当にすごいのは(私も記者のはしくれとして感じる)取材している内容の濃さと幅の広さ。
きちんと音声が取れている素材をこれだけたくさん(それでも生かされたのはごく一部かもしれないけど)積み重ねてこられた風間監督の伝えたい熱意に心打たれました。

一番最初に朝の番組の企画で拝見して、様々な番組で取り上げられて、それがテレメンタリー(テレビ朝日系列のドキュメンタリー)になって、さらに続編も作られて、そのたびに女将の一代さんの周りで起こる出来事に心痛めていました。震災から立ち上がるのも相当な力がいるのに、さらに試練が襲うのです。

それでも次へ向かう一代さんの原動力はなんなんだろう、と思っていました。

風間さんの狙いはなんなんだろう、と。

テレメンタリーは企画会議や反省会が本音勝負のところがありまして、(それが制作者にはありがたい)企画内容や出来上がった本編の内容に厳しい声を向けさせていただいたこともありました。

今回の映画を見て、それが恥ずかしくなりました。

10年以上の間、折を見て、大事なときに、きちんと通っておられたのだろうその素材の豊富さ。

一代さんだけではなく、若者たちの変化と成長の記録がそこにありました。映画でなくては見ることのできなかった、そして表現できなかったであろう映像の数々。

こんなにたくさんの枝葉を重ねておられたのか、と。

作り手として気づかされることばかり。

さらに、真っ赤になった原稿を持ち込んですぐに収録を始めた、という(つなかんも一代さんのこともよく知る)渡辺謙さんの温かなナレーションにいろいろな思いを巡らせました。

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©2023 bunkakobo
【2021年3月11日。震災10年目の黙祷】

北海道での上映は、浦河「大黒座」は既に始まっていて、4月1日までのロングラン上映。

そのほか、
【札幌】 シアターキノ 3月18日(土)〜24日(金)

【苫小牧】 シネマトーラス 3月25日(土)〜31日(金)

【函館】 シネマアイリス 4月14日(金)〜20日(木)でも公開されます。

人と人のコミュニケーションって本当に難しいけれど、思いがつながり、伝わるってこんなにパワーになるんだ、と。そして悲しみすらも癒やす力になるのだと。

映画にかかわっている方すべてに思いがあるからこその作品。

おせっかいっていいなあ、人のために何かをしている人って素敵だなあ。

誰かのために自分はいま、何ができているのかな、と襟を正したくなりました。

【ただいま、つなかん】
語り 渡辺謙/
監督 風間研一/
音楽 岡本優子/ゼネラルプロデューサー 齋藤隆平/プロデューサー 柴﨑木綿子/編集 井上秀明

製作著作:文化工房/2023年/115分/2023©bunkakobo

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この記事を書いたのは

阿久津友紀

乳がん患者さんが治療中に被災したら? 『防災の心がまえ』をもとに『女性の病と防災』を考える おっぱい2つとってみた作者とHTB森アナウンサーが本音トーク 
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第4弾の”がん患者さんとココロ” 北海道の斗南病院の精神科長で登録精神腫瘍医の上村先生に伺いました。アーカイブは
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これまでの動画は・・・
【乳がん】おっぱい2つとってみた

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