患者さんによりそって、困っている方によりそって・・・よく使われる【寄り添う】という言葉。
これくらい人によって曖昧なものはないのではないか。意味は理解できても実践するのに難しい言葉ではないでしょうか。
「寄り添う」という言葉の罠
HATAJOラボ代表/札幌の企業研修講師 岡本真なみさんからの声です。
『患者様に寄り添った接遇。利用者様に寄り添った対応。ご家族に寄り添った提案……。
医療・介護をはじめ、ホスピタリティ業界で研修をしていると、「寄り添う」という言葉が頻繁に出てきます。
しかし、「『寄り添った対応』とは、具体的にはどのようなことですか?」と尋ねると、なかなか明確な答えが返ってこないのが現実です。
優しく温かい響きのある「寄り添う」という言葉を使うことで、何となく自分自身が満足してしまっていないのだろうか?
自分でも曖昧なとらえ方をしている「寄り添う」という言葉を用い、部下に「もっと寄り添った対応をして」と指示をして、果たして求める結果が得られるのだろうか?
耳に心地よく響く「寄り添う」は、無意識に私たちを思考停止の罠にはめてしまうと感じる場面は少なくありません。
わかったつもりになっている言葉は、「具体的にどうするか」を言語化しなければ、相手に伝わりません。』
本当にそうですよね。私自身もいつも難しい。
先日、『がんと働く』を考える、ということでHATAJOラボさんに呼んでいただいてお話したのですが、その際に自分がもしも上司で部下ががんにり患したら・・・どう対処するか、みんなで一度、ロールプレイしてみよう、ということでトライしていただきました。
架空の設定で架空のシュミレーションなのですが、みなさん奥底にいろんな思いを感じました。はっきり言って全員に当てはまるような正解はない、のです。
ご自身の経験だったり、そもそも病気に関しての理解度なども違えばその後の対応は変わってきます。
岡本さんは『上司ががんに罹患した部下に対し、どのように接するかについて、「部下に寄り添った対応」を様々な状況で考える有意義な時間でした。思考を言語化する難しさ、悪気のないアンコンシャスバイアスの厄介さ、仲間と意見を交わすことで広がる視野など、得られた学びが多くありました。』と感想を寄せてくださいました。
配慮という名の排除
『ああ、それやらなくていいよ、やっておくから。』
この言葉をあなたはどう受け取りますか?
ありがたいな、やってくれるのか!と受け取るか、
ああ、また排除されて、やることなくなっちゃったよ・・・と受け取るか。
その方の真意はどちらにあるのか?そして自分自身もどちらと考えるのか。
たぶん善意かもしれない(善意であってほしい)アンコンシャスバイアス、『配慮のいう名の排除』。
とても難しい課題。でもこれはがんり患者だけじゃないですよね?介護の方も、そのほかの病気の方も、育児の方も。
正解はないけれど『お互いさまの精神』で乗り越えられないのだろうか、と思うのです。
がんとともに、、、。
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