乳がんの再発予防策である、ホルモン療法についてのリアクションが・・・とても多く、みなさんがお悩みになられているのことがよくわかります。
寄せられた声をいくつか。
70代女性
『私も64の時に右乳房をがんのため全摘しました。放射線や抗がん剤治療はしなくても済みましたが、10年飲まないと行けないという女性ホルモンを止める薬の副作用?なのか、異常な喉の乾き、発汗、倦怠感、腰や膝の痛み、皮膚乾燥もすごくて腕の皮膚は100才のおばあちゃんみたいです。
もう五年も飲んだのでやめたいと担当ドクターに言っても転移のおそれがある(リンパ転移しているので)ので駄目ですと。
私自身も転移が怖いので飲むしか無いか…と思ってますが…。
異様に疲れるのはやはり薬のせいかもしれません。
皆さん同じような悩みを持ってらっしゃってお互いに大変だと思いますが前向きにならないと仕方ないですね。頑張りましょうね。』
6年を超えている方からのお声、です。いまは10年が推奨ともなっていますので、主治医の先生とご相談されての6年目、のようですね。
閉経前と閉経後では使うホルモン剤も違いますし、それぞれ身体への利かせ方が違いますのでその副作用も違います。
そのあたりの意味をわかっておくことも副作用を知る点ではよいのではないかと思います。
40代女性
『私もタモキシフェン服用してます。体型はみるみる劣化し、周りの人がピンピンしているので仕事ついていくのもやっと。イライラも激しく生きる希望感じ無くなる事多いです。誰に話しても理解してもらえないの辛いです。』
以前も掲載しましたが、再掲で『ホルモン治療とどう向き合うか』。
札幌フィメールクリニック 矢嶋彰子先生に聞きました。
キーワードはエストロゲン(女性ホルモン)です。
まず、エストロゲンは何をしてるの?
矢嶋先生『エストロゲンの働きはいろいろです。子宮や膣の生育、乳腺の発達に生理周期、妊娠の準備などなど納得するものもたくさんありますが、実は骨の代謝とか脂質代謝にも影響していて、必要なものなのだけれど、悪さもする。子宮内膜がんのリスクや血栓症のリスクもあるというものなのです。』
女性ホルモンであるエストロゲンががん細胞のエストロゲン受容体に結合することでがん細胞の増殖がおこる。
エストロゲン受容体は乳腺の正常な細胞にも存在しています。日本人のおよそ7割の乳がん患者さんがエストロゲン受容体陽性の乳がん。エストロゲンを抑える治療をしていくことになります。
①エストロゲンとエストロゲン受容体をくっつかないようにする、そして、②作らないようにする、の2つをしていくのです。
閉経前の乳がん患者さんの治療で使われる、タモキシフェンなどはエストロゲンと競い合って、結合して作用を阻害。フルベストラントはエストロゲン受容体と結合して、それを崩壊させて増殖しないようにするものです。
それぞれに役割、特徴があります。
閉経するとエストロゲンなくなるのではないの?
矢嶋先生『卵巣からは出ないということになるけれども、閉経したら男性ホルモンから脂肪組織などから活性化されて、エストロゲンができるのです。これを阻害するのがアリミデックスなどのアロマターゼ阻害剤といいます。閉経前と閉経後とは治療方法が違うのです。』
『ホルモン治療は一昔前は5年と言われていましたが、様々な試験が行われて現在は10年のほうが効果が高いということで推奨されています。
なので、副作用に悩まされる期間も長くなります。
タモキシフェンに多いのは
ホットフラッシュ
膣出血
膣分泌
子宮内膜がん
虚血性脳血管イベント
静脈血栓塞栓症
深部静脈血栓症
アナストロゾールに多いのは
関節痛
骨折
そのほか、悪心・嘔吐・疲労感・倦怠感・白内障なども。
矢嶋先生『副作用もホットフラッシュ、やる気が出ない、関節痛などなど。コレステロールが上がる、認知機能も調整していることがわかっていて気分にむらが出たり、眠れなかったりすることもある。治療をやめるのが解決にはつながるけれど、長く飲んだ方が効果がある。』
今回、新しい発見は、”指の関節がこわばったりするんですけど、軟骨の部分にエストロゲン受容体があるので、減ると痛い。”のだとか。
私も関節痛やひざ痛に悩まされているのですが。こうしたことがわかるだけでも、だからか、、、と納得できるのではないかと思います。
治療法はあるの?
明確に誰にでも効果があるものはなかなかない、というのが実情。どううまく付き合っていくのか、が重要です。
矢嶋先生『よく行われているものは漢方薬の投与です。当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸、温清飲、五積散、温経湯などが知られています。
本来は体格なども考慮して処方を決めていくのが東洋医学。中でも当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸がよく処方されていて、すぐに効果があるものではなく、効果が出るのか見ていきます。すごくぴたっとはまる人もいれば、効果が感じられない人もいる。その場合はさらに、漢方医で相談するのも一つの方法です。そして、サプリメントは何が成分として入っているのかなどもあるので、主治医の先生と相談してください。』
矢嶋先生『ホットフラッシュは自然で起こる更年期でも苦労されている。服装に気を付ける、気分転換、運動などがあります。できれば運動はやったほうがいい。予防につながるのは明確なので体を動かすことで気分を副作用の方にいかないようにすることも大事ではないかと思います。』
悩みを先生に伝えて、少しずつ試していくことも大事です。ひとりでもんもんとしない方がいいと思います。
矢嶋先生『最初に立ち返って、再発がどの程度抑えられるかということを思い出してもらって自分にとって必要かを考えられるかどうか。副作用だけじゃなくて効果にも考えを及ばせた方がいいのではないかと思います。』
閉経後、閉経前をまたぐときに治療は変わる?
矢嶋先生『ホルモン治療の段階で最初から閉経期にまたがりそうなときはタモキシフェン5年→アロマターゼ5年もあるが、40代であればタモキシフェン10年かが主流です。どんどんその治療の効果や組み合わせ、新しい薬も出てきていますので、そのときに合わせた最善の治療を続けましょう。』
このお話はピンクリボントーク#9からの抜粋でした。乳がん患者さん向けのヨガ講師の先生に教えていただいた簡単なヨガも含めて、動画もぜひご覧ください。
Next Ribbon2024 「がんとともに生きる、寄り添う」
1月17日(水)来場&後日オンライン配信
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第2部 プログラム
18:30-18:35 挨拶
18:35-18:55 「自分らしく生きる~肺がんステージ4からの独立、出産~」
清水 公一 氏 (社会保険労務士事務所 Cancer Work-Life Balance代表)
18:55-19:15 「がんで働いちゃダメですか?~取材者から当事者に」
阿久津 友紀 氏 (北海道テレビ 東京支社編成業務部長)
19:15-19:35 「新たな患者サポートへの挑戦~治療後の生活も支えたい」
松浦 成昭 氏 (大阪国際がんセンター総長)
19:35-19:55 「 不妊治療か、がん治療か 46歳で出産した私の選択」
だいた ひかる 氏 (お笑い芸人)
司会:原元 美紀 氏(フリーアナウンサー)
申し込みフォーム
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(後日のオンライン配信の申し込みもできます)
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