HTB開局55周年映画「奇跡の子」監督のこぼれ話【幕間のつぶやき⑤】上白石萌音さんのナレーション収録の裏側

HTB北海道テレビ放送開局55周年記念として製作された、映画『奇跡の子 夢野に舞う』。

この映画の監督である沼田博光が製作にあたっての裏話【幕間のつぶやき】をSodaneで綴ります。

今回は女優・上白石萌音さんのナレーション収録の時に製作陣がどんな状況だったのか。当日の裏側のお話。

「あー!もうダメだ、監督失格だ。」 ・・・・監督にいったい何が起きたのか

東京・渋谷、午前10時。

映画「奇跡の子 夢野に舞う」のナレーション収録が行われました。

早めにスタジオ入りし、飲み物の手配などをしてナレーターの到着を待つプロデューサー(以下、坂P)と監督。もう朝からそわそわが止まりません。

体調は崩していないかしら?

うっかり機嫌を損ねるようなことをしでかしていないかしら…。

市井の人々が主人公となるドキュメンタリーでは、ナレーターさんをどなたにお願いするのかがとても重要です。

ネームバリューがあり「あの人が読んでいるなら、観てみたい!」という気にしていただける方にお願いしなければなりません。

しかし、そのような売れっ子のタレントさんは、だいたい超多忙でスケジュールが切れず、作品の内容に納得いただいたとしても断られるケースがほとんどです。

製作陣満場一致で「この人に読んでほしい!」と思いを募らせ、プロデューサーが熱烈お願いすること数か月…。

内諾をいただいた時は歓声をあげました。

ただ、そのあともあまりの多忙さに収録日がなかなか決まらず、ようやく決まったこの日。

ナレーション収録が押してしまうと、このあとの予定に全部影響してしまいますので、もう始まる前から私の胃は悲鳴を上げています。

スタジオの外からスタッフの声。

「上白石さん、入ります」

「わっ、来た!」

扉が開く。

一瞬で場が華やぐ。

「おはようございま~す」 

「監督の沼田です」

「上白石です」

「いや~、東京は寒いですね」

「北海道の人でも寒いですか(笑)?」

そんな他愛ない天気の挨拶をしつつ、ようやく顔を合わせる。良かった。笑顔だ。

ナレーターさんの意向にもよりますが、スタジオ入りしてすぐに本編の収録を始めるのではなく、予告編やCMのナレーションなど、短いコメントの収録から始め、スタッフも含めて徐々に慣れていって、熱量をあげていきます。

事前に映像は送って見てもらっているので、作品の内容は本人に伝わっています。

感想をインタビューするため、カメラのスタンバイをしているとき、萌音さんが右手を顔の近くに持ち上げて、手を握って招き猫みたいな仕草をしています。おや、どうしたかな?と思っていると、

「タンチョウカラーにしてみました」

とニコニコしている。

よくよく見てみると、萌音さんの着ているセーターは右袖だけ赤色のポイントが入った、黒と白の左右非対称のデザイン。

上白石萌音さん1.JPG


がーーん!! まさにタンチョウそのものではないか。

映画の内容に合わせたコーデをしてくれるなんて、なんて素敵な心遣いなんだ!

その一方で、私はなんという失態だ。衣装のことを本人の口から言わせるなんて。普通、こっちが先に気付くべきだろう。

「あれ?まるでタンチョウが目の前に現れたみたい」くらいの気の利いたことがなぜ言えない!

そしてなんということだ、カメラマンは準備に夢中で、今のキュートな仕草を撮り損ねている。

あー!もうダメだ、監督失格だ。

だいたいそんな素敵な衣装はいったいどこで見つけるんだ。

さすが東京だ。札幌には売っていないぞ。

「素敵だ」「嬉しい気配り」「からの監督失格…」の言葉が頭の中でグルングルン回り、酔いそうなほどの動揺を鎮める間もなく、インタビューが始まってしまいます。

そして萌音さんの答えに坂Pと監督はとても間抜けな声を発することになるのでした…。

その様子は、HTBのニュースYoutubeチャンネル「HTB北海道ニュース」チャンネルで1月12日(金)午後8時から配信される生配信番組にて、沼田監督自らお話する予定です!

果たしてナレーション収録は予定通り終わったのか…⁉ 上白石萌音さんと製作陣の収録裏話をぜひお楽しみください!

YouTubeライブ配信番組「奇跡の子 幕間のつぶやき 上白石萌音さん、収録舞台裏」

配信アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=4UPEHa4HkPI

配信時間:1月12日(金)午後8時~予定

奇跡の子 夢野に舞う

公式ウェブサイト:https://www.htb.co.jp/kisekinoko

北海道9つの映画館で先行公開決定。

◆1月19日(金)~

シネマ太陽函館

シネマ太陽帯広

T・ジョイ稚内

イオンシネマ旭川駅前

イオンシネマ釧路

イオンシネマ江別

◆1月20日(土)~

札幌 シアターキノ

ディノスシネマズ苫小牧

ディノスシネマズ室蘭

◆2月23日(金・祝)~

東京・丸の内TOEIで上映

農家は鳥に手を焼いている。撒いた種はほじくるし、芽が出ればバリカンで刈ったように食べつくす。張ったばかりのビニールハウスにはフンをかけていく。

そんな農民たちが地元に鳥を呼ぶと言い出した。それも絶滅危惧種のタンチョウだ。

北海道の東部にごくわずかしか生息していない希少種が大都市・札幌の近郊にある農村に来るはずもない。

それでも14人の農民が集まり、タンチョウの棲み家づくりが始まった。

治水対策で人工的に作られた遊水地の中に、タンチョウが生息できる「湿地」が回復してくると、やってくるのは予期せぬ訪問者ばかり。大量の渡り鳥に獰猛な外来種、カメラを抱えた人間たち…。

次々と巻き起こるトラブル。果たしてタンチョウはやってくるのか。


ースタッフーー

ナレーション:上白石萌音
監督:沼田博光 
統括プロデューサー:坂本英樹 
プロデューサー:四宮康雅 堀江克則 
撮影:小山康範 石田優行 
編集:上田佑樹 
音楽:中村幸代
音楽制作:中脇雅裕
宣伝プロデューサー:泉谷 裕 
製作・配給:北海道テレビ放送 
宣伝・配給協力:東映エージエンシー 

カラー / 5.1ch / 16:9 /1時間37分

令和5年度 文部科学省選定「少年向き」「青年向き」「成人向き」
環境省「推薦」
文化庁文化芸術振興費補助金 (映画創造活動支援事業) 
札幌市映像制作補助金 

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この記事を書いたのは

沼田博光

HTB 報道部デスク
環境問題や野生生物、アイヌ民族の先住権問題などをテーマにしたドキュメンタリーをてがけています。

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