「子どもたちにもっと本を、子どもたちにもっと本を読む場所を」との願いから定められた“子ども読書週間”(~5/12)です。
学校や習い事もお休みになり、いつもより家でゆっくり過ごせるゴールデンウィーク。本に触れる機会を作ってみてはいかがですか?
本屋さんや図書館に出かけて、気の向くままに手に取ってみるのも、宝探しみたいでワクワクしますよ。それでも「何を読んだらいいのか分からない!」という方におススメしたい一冊を紹介します。
「青色」を発見した本当の話!?
『あおを はっけんした ちいさな ヤン ~みならい えかきの おはなし~』
ジャン‐リュック・アングルベール/作
はしづめ ちよこ/訳
イマジネイション・プラス/出版
絵描き見習いのヤンは、先生や先輩をみて技術を覚える日々。
そんなある日、アトリエに伯爵夫妻が訪れて、絵の注文をします。伯爵夫人のドレスを「最も美しい青色」で描いてほしいと。
色を作り出すのも一苦労だった時代、青色の絵の具は大変貴重で簡単には手に入りませんでした。先生は困ってしまいます。必死に色を作るヤンはある偶然から「青」を見つけるのです。
実はこのお話。「青色の発見の史実」がもとになっています。
「プルシャンブル―」と呼ばれた青色は、1704年ヨーロッパで偶然作られました。
自然界からではなく人工的に青を作ることができるということを発見したのです。
そうして「青」は、世界中に広まっていきます。
日本では江戸時代の人気絵師、葛飾北斎や歌川広重が、空・海・川・富士山を描いたのも、この青なのです。
絵本原作者のジャン‐リュック・アングベールが、15世紀のオランダの画家ヤン・ファン・エイクの作品「アルノルフィーニ夫婦像」をもとにオマージュして作った『あおを はっけんした ちいさな ヤン』。
絵本のストーリーと絵画の歴史と・・想いを色々と巡らせながら、少年の成長と化学反応といったテーマも作品から感じ取ることができます。
「北海道指定図書」に選ばれた作品。大人にもおススメ
『あおを はっけんした ちいさな ヤン』は、2024年読書感想文コンクール(低学年)の第50回北海道指定図書に
選ばれました。
「努力はきっと力になる」「成功のカギは意外なところにあるのかも」
そんな子供たちの夢を応援してくれる一冊になるでしょう。
この作品は、子どもだけでなく、大人の方にこそおススメです!
4月から新たな環境で気を張って生活している方も多いと思います。
職場で先輩や上司から技術を学びながらも、うまく出来ずに壁にぶつかることもあるでしょう。
そんな時は、この絵本の主人公「ヤン」のように、いつもと違うことを試してみたり、偶然に身を任せてもよいのかも?そんな風に思わせてくれる一冊でもあります。
是非、この本を手にとってみて下さい。
少しだけ気持ちにゆとりをもって、5月をスタートできるかもしれません。