『選択的夫婦別姓』 経団連が提言 がん患者も困っている・・・両側乳がんになりました245

選択的夫婦別姓の導入を経団連が提言した。およそ30年議論が止まっていたものが動き出すはず。期待を込めて私の場合の話をしたい。

私も別姓を希望していることからオットとは入籍していない。姓の変更はリスクでしかないからだ。

夫婦同姓の強制「ビジネスでリスク」 経団連、早期の別姓導入求める

ただ、名前が違うだけで困ることがたくさんある。

私はいわゆるバツイチである。20代での一回目の結婚の際は、夫の姓に変えて、会社では通称として旧姓を利用することにした。ここからが困難の始まりだった。姓名の変更は事務的なものをすべて変えることになる。銀行口座、カード、全部。

PCに張られた(備品なのでね)変更後の姓を見ながら嫌な気持ちになっていた。

一番困ったのはパスポートだ。結局、私はパスポートの名前を変えずに新婚旅行には出かけた。(だって航空券は名称変えたら無効だし)すると、パスポートとカードの名義が違うところでもめる。ああ、やっぱり変えないといけないんだ、と思った。

通称使用は日本独自の制度。あるだけいいのだが、海外では理解されづらく、不正を疑われる。はっきりいって、「トラブルのもと」だ。

世界共通グループのホテルの会員とかになっても、名前の変更はいぶかしがられる。過去の名前は上書きされて、過去の滞在の履歴もなきものになる。

悲しみでしかない。

旧姓で通っているから、仕事上は問題なく見えるのだが、出張するときは名前は正式な名前になる。これも混乱のもと。例えば先方に予約をとってもらうのも姓が違うわけで。

海外出張のときは本当に困る。予約名と仕事名が違うのだから。論文などを書いている方々も絶対に苦労しているはずだ。

友人や取引先は、中国だって別姓選べるのに、日本って不思議な国だね、という。

結果数年で破綻して、晴れて元の姓に戻った。なんとすっきりしたことよ。

とはいえ・・同じでないと困ることが多すぎる

で、今だ。

私は事実婚という形をとっている。あの面倒な変更手続きは二度としたくない。海外を行き来し、活動をするうえでもう名前の変更は困る。ゼロから組み立てるのはリスクしかない。

現状は選択的夫婦別姓ができない日本だから、オット(未入籍)のご家族のご理解もあってのことだけれども、そのままの名前を使っている。

そうすると、今度は夫婦と認められない問題が出てくる。内縁の・・・というやつだ。

この内縁の・・・っていい響きじゃない。隠れているように見える。ホントにイヤ。

家族と認められないと、家族割もないし、航空会社の特典航空券とかも親族とみなされないから使えなかったりする(改善、ご理解ある会社もある)。

いちいち、認めてもらうために同じ住所であることを証明したりもしている。

名前を変えるよりはマシだが、面倒だ。

実は一番困るのは・・病院だ。

救急搬送されたときに親族と認められないし、身元保証人にもなれない。告知も同席できない。

だいぶゆるくしてくださっている病院もあるけれども、かたくなな病院はたくさんある。

乳がんと診断されて、最初の病院が提携している入院先はかたくなな主義だったので、身元引受・保護者などにオットはサインできなかった。

病院を変えざるを得ないことになる。(病院から交渉してもらったりといういらん作業が発生する)

ずいぶんそんな人多くなってきましたよ、とは転院したあとの病院では言われた。

相続とか借金とか生活保護とかもろもろのものに、婚姻関係は強く作用するから、紙は大事なのはわかる。

でもこの不利益な状態が女性だけにかかるのはどうなんだろうか。

これだけ社会に女性が進出しろ、と言われるときはいわれるけど、不利益あるよ、と言っているのに、ここは男性の姓で、とか意味がわからない。

国連もジェンダーギャップのひとつとして改善を申し入れているのに、誰が止めているのだろうか。

変えたい人は変えていい、でも変えたくない人が選択をできるようにしてほしい、ただそれだけ。

議論が進むことを切に望む。

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この記事を書いたのは

阿久津友紀

乳がん患者さんが治療中に被災したら? 『防災の心がまえ』をもとに『女性の病と防災』を考える おっぱい2つとってみた作者とHTB森アナウンサーが本音トーク 
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