子供にも落語を!北海道十勝幕別町「子供落語教室・百年亭」の挑戦

落語で「子供たちの舞台」を創造!

北海道十勝の幕別町では、子供たちの情操教育の一環として「子供落語教室」が行われています。学校では中々教わることがない日本の古典芸能「落語」。ちびっこたちの喋りとその佇まいは大人顔負け!小さな名人たちの落語愛を取材しました。

幕別子供落語教室「百年亭」

お邪魔したのは2024年5月26日、隣町音更町で行われた『子供落語教室・百年亭』の発表会です。日頃の稽古の成果を一般の皆さんに披露するはれ舞台です。

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「百年亭」という教室の名前は、普段の稽古場『幕別町百年記念ホール』にちなんで名付けられました。この日高座に立ったのは、全生徒10名の内8人のちびっこ噺家さん。一番小さな子供は幼稚園の年長組さんで、上は中学3年生のお兄ちゃんまで様々です。

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「親子酒」

「最近は熱くなってきまして。まぁそういう時はお酒を一杯かぁ~って呑みたいところですが。如何せんわたしは未成年なんでお酒が飲めません!なのでお酒の呑み方などは…。甘く見ていただけるとありがたく存じます!きょうは『親子酒』というお噺で一席お付き合い願います…」

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軽妙なマクラで客席の笑いを誘うのは「新明亭まんぷく」君。若干小学6年生です。落語には日本酒好きな登場人物が頻繫に出て参ります。ところがまんぷく君は未成年!お酒を嗜む術などございません。さて、甘く見てくださいと話していた「お酒を呑む」その仕草。はたして演じ切ることができるのか?注目すると…

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よっ!見事な呑みっぷり!上手なもんです。

まんぷく君の落語歴は今年4年目。この6月には、兵庫県豊岡市出石町は出石永楽館で行われる『全国こども落語大会』に北海道代表の一人として参加が決まっています。落語が好きで始めたというまんぷく君。稽古を続けてきたわけを聞くと「師匠が優しいから」と笑顔で答えてくれました。

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稽古は隔週日曜90分

続いて、普段の稽古を見学しました。場所は『幕別町百年記念ホール』の和室。稽古は毎月2回で1組あたり時間は90分です。

「まんじゅうこわい」

おっ?パリッとした着物に身を包んだ小さな落語家さんが高座に上がってきましたよ。高座名は「どんぐり亭山桜」くん。小学5年生で落語歴は3年。

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演目は『まんじゅうこわい』。『寿限無』『目黒のさんま』同様広く知られた古典落語です。

「おめぇは何が嫌いだよ?」

「あたいが嫌いなのはねぇ…。ナイショ!」

「ナイショってことはないだろ。お前、そう言ってもったいぶるなよ!」

下町の江戸っ子のべらんめえ口調が実に見事!「まんじゅうこわい」の見どころといえば後半。怖いはずのまんじゅうを美味しそうに食べる仕草をたっぷり披露する場面ですが…。

「まんじゅうこわいよ~!」

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七転八倒、実に旨そうにまんじゅうを食べて笑わせてくれます。聞けば山桜くん、落語好きの親御さんと名人会があれば駆けつけるなど自主練にも熱心で。目下はまんぷく君と共に出場する全国大会に向け稽古を続けています。

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子供落語教室は今年で6年目

指導するのは、札幌在住の落語家「笑生十八番(しょうせいおはこ)」さんです。

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北大の落語研究会出身で落語はなんと独学で習得。札幌西区琴似『ことに大和屋』を拠点に毎月各地で高座に上がり、落語の指導歴は50年以上。孫のような歳の子供たちに、落語の魅力を優しく丁寧かつ真剣に伝授しています。子供たちに落語を教えることは、どんな苦労があるのでしょうか。

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「子供は素直」

― 心がけていることは?

十八番:一番は、カッコよく言っちゃうかもしれませんけど「楽しんでくれること」。優劣をつけちゃうきらいがどうしてもあるじゃないですか。上手い下手とか。それはお客さんが決めるものなんで。とにかく一生懸命やればいいなぁっていうのなんですよ。

― 皆さんよく覚えてきてますね?

十八番:教えている基本はとにかく「聞いて覚えなさい」っていうのを。それは経験則で言ってるんですよね。好きな歌なら歌詞カードがなくても歌っちゃうじゃないですか。基本的には「よもやま話」「噂話」みたいな感じなんで。間違えてもいいし。お客さんとのコミュニケーションを大切にすればいいし。お客さんによっては「あ、間違えた!」そういう面白さも多分あると思うんですよ。必ずしも正確に話す必要はないよというスタンスでは言っているんですけどね。

― 大人でも落語を覚えるのは難しい!

十八番:子供は素直です。「落語をやりたい」っていうのが最優先だから。それに対して必要か必要じゃないかを彼ら自身は見極めるんで。色んな事を言っても、聞かない人は聞かない。それは自分にとっていらないっていうのを一瞬で多分判断しているから。

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落語に保護者も熱中!

子供の習い事は、保護者の応援が不可欠。子供落語教室で驚いたのは、保護者の方がまた落語が好きな方が多いこと。お子さんが落語を始めて、どんな変化があったのか伺いました。

【私も落語が好きに】

高座に上がったらしっかりやってくれて。途中で投げ出して「できない」とかいうのは一切なく。落語が好きだったからだと思います。子供が落語が好きだったから私も結局好きになって。「この人の噺いいよね」と話しをするのも中々良かったかなぁと思います。

(しろくろ亭にゃんパ君の母・水野輝美さん)

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【喋られるのはいい経験】

人前で喋られるってことはいい経験になるんじゃないのかなと。将来的にも。コミュニケーション能力だったりですね。日本の文化に触れるっていうのはいいことだなぁって思っています。少しずつ、人前に出て、笑ってもらうっていうところが成長に繋がっているかと思います。よくやってると思います。

(新明亭まんぷく君の父・新明純さん)

【仲間が増えた】

仲間が増えましたし、いい教育になっている。
正直、落語のネタはすぐ頭に入るんですけど(笑)家で練習しているというわけではないんですけど、入るんでしょうね。練習を観に来るたびに、みんな格段に上手くなっているんで。「凄い人達なんだなぁ」って思ってます。本人が「やりたい」っていうのでやらせたいと思っています。

(坊主亭才晃君の父・嶋崎勝さん)

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大人も落語!「幕別を落語の街に」

子供の情操教育の一つとして始まった幕別町での「子供落語教室」。みんな落語が大好きで、やる気が一杯!そんな子供たちの落語熱に、落語好きになる大人が続出。稽古場の「幕別百年記念ホール」では、大人を対象にした落語教室「今万(なうまん)亭・落語倶楽部」が3年前に誕生しました。子供に負けじと稽古に汗かくその話芸はプロ顔負け!?次回は「今万亭」の奮闘ぶりをご紹介します。

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幕別「蝦夷落語大会」出場大募集!

子供たちの熱演も観られます。2024年9月15日(日)16日(月祝)の両日、幕別町百年記念ホールで『まくべつ格別落語まつり』が開催されます。

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初日は全国のアマチュア落語家がその話術を競う『蝦夷落語大会』予選。二日目はその決勝戦で予選を通過した10人が自慢の演目を披露します。特別審査員に落語芸術協会会長の春風亭昇太師匠、上方落語協会会長の笑福亭仁智師匠と東西落語界のツートップらが揃って登場。午後には豪華審査員陣らによる『東西落語名人会』も予定しています。合間には子供たちの高座もあります(詳細は近日公開)。

『まくべつ格別落語まつり』では現在、『蝦夷落語大会』の出場者を大募集中です。条件は18歳以上でらくごに関してアマチュアであること。大賞の賞金は10万円。受付は7月25日(木)迄。詳しくは『幕別町百年記念ホール』HPをご覧ください。

幕別町百年記念ホール公式ウェブサイト:https://m100.jp/

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この記事を書いたのは

SODANE編集部

SODANE編集部です。
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