高校生が「食の流通」を学ぶ!帯広農業高校で卸売業のプロが熱血授業。『帯農コロッケ』開発も

帯広農業高校生が「生きた流通」を勉強中!

小麦、豆、じゃがいも、ビート。生乳、牛肉、豚肉etc。北海道十勝は「日本の食糧供給基地」と言われています。

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©awanofarm

十勝帯広市にある「帯広農業高校」は、地域の農業と関連産業発展のため100年以上に渡り多くの人材を生み出している高校です。地元では「帯農」の愛称で親しまれています。

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学校案内表紙

帯農の食品化学科では、この春から「食品の流通システム」などを学んでいます。講師は食品卸売業の国分北海道㈱(本社:札幌)の社員たち。食とマーケティングのプロが、食が消費者に届くまでの仕組みや商品開発など、普段の授業では聞けない「生きた流通」を帯農生に指導しています。授業のゴールはオリジナルの「帯農コロッケ」を開発してスーパーで販売すること!熱血授業を取材しました。

初めて知る「内食の世界」

この日は2年生を対象にした2回目の授業。高校野球の全校応援あとの5、6時間目に行われました。テーマは「商品設計・商品施策」。

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指導の狙いは「小売業が実際に行うマーケティング戦略について取り上げ、経営の発展にどう繋げていくか考察できるように指導する」こと。ちょっとむずかしそう!具体的にはどんなことを教えるんでしょうか。

教壇に立つのは国分北海道の内山圭佑主任(26)。生活の基本である「食」に関わる仕事がしたいと入社。スーパーや外食店向けに「業務用食材」の提案する営業マンです。

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前半のテーマは、スーパーの「惣菜コーナーのデリカ」について。前回の復習でメーカーや生産者を、スーパーなどと繋ぐのが「食品卸」であることを図で解説した上で、知られざる「デリカの世界」を講義します。

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売上堅調!「デリカ」と「冷食」 

自宅で食べる「内食」とレストランなどで食べる「外食」。それに対して、調理済みの食品を外で買ってきて自宅や職場で食べるものは「中食(なかしょく)」と呼ばれ、昨今売上を伸ばしていることを指摘。その上でスーパーの惣菜、弁当、冷凍食品がなぜ売上を伸ばしているのか。グループディスカッションで深堀しました。

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女子生徒「作る時間がなくなった」

男子生徒「コロナの中で外食が減った」

内山さん「二人とも、大正解です!

共働きの増加、世帯人数の減少など「食事シーンの多様化」で中食が凄い比率で伸びている。内山さんは奥様が夜カフェで働いていて2人暮らしなので中食が多いとめちゃくちゃわかりやすく解説します。

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スーパーのレイアウトを研究

さらに「中食」の細かい分類を紹介。日頃通っていながら知らない「スーパーの売り場」」について、どこに何が売られているのかをグループディスカッションで議論。デリカコーナーはおおよそ入口からぐるっと回った最後にある理由について考察しました。

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惣菜が並ぶまでの流れ

さらに惣菜には実は3つの製造方法があることを紹介。一つはお店で調理をする「インストア製造」。二つ目は各スーパーが独自に運営する「パッキングセンター」。こだわりの看板商品を一括して製造する惣菜。三つ目は「アウトパック製造」。メーカーが製造する惣菜。それぞれの利点と課題を解説しました。
 
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「お弁当」を考えよう!

後半は「お弁当」の研究です。国分北海道が開発した「健康弁当」の例などを紹介。低脂肪低カロリーの弁当、大豆ミートや黒酢などを使用した弁当など、健康志向ニーズを形にしたお弁当が増えていると指摘しました。

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(画像はイメージです。)

「顧客」「テーマ」「工夫」を考える!

いよいよ、グループディスカッションで班に分かれて「お弁当」を考えます。内山さんがお弁当づくりで大事なポイントとして強調したのは「顧客」「テーマ」「工夫」。あらゆる商品開発でマーケティングのプロが留意する一番大事なことを伝授します。

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具体的にはどんな感じが理想なのか、具体例で説明します。

内山さん:『ごろっとメンチカツ炒飯弁当』という名前があって。テーマは「お昼にガッツリしたものを食べて午後のパワーをチャージ」。ターゲット層は「サラリーマン」。この3つ。ターゲット層、誰に食べてもらうかを決めて。使用する食材を書いて。容器は自由に、だいたいこんなお弁当をつくりたいというのを書いてください。メインがハンバーグだったら『十勝産のものを使ったハンバーグ』など。メインの商品には『工夫』を入れてください」

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帯農生の考えた「お弁当」とは?

さぁ、一体どんなお弁当ができたのか?皆さん、短い時間でそれぞれの思いを込めたお弁当を考えました。以下順不同で紹介しましょう。

〇「野菜への挑戦KIDSランチ」(ターゲット:KIDS)

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〇「勝った後の喜びをかみしめる豚勝弁当」(ターゲット:部活をしている高校生)

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〇「洒落た女に送るBeautiful Lunch Box」(ターゲット:健康志向の女性)

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〇「十勝のオードブル」(ターゲット:一人暮らしのサラリーマン男性)

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〇「筋肉維持を目指す君へささげるガパオライス」(ターゲット:20~30代)

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〇「夏バテ防止スープカレー」(ターゲット:30~40代会社員)

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〇「手軽で健康的‼サラダ親子丼」(ターゲット:社会人)

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〇「夏野菜たっぷり!ごほうびスープカレー!」(ターゲット:頑張った人や観光客)

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生徒の皆さんが考えたアイデアお弁当、どれも美味しそうじゃないですか♪ターゲット、テーマ、工夫をよく考えたお弁当が出揃いました!

「帯農コロッケ」をスーパーで販売へ!

食と流通のプロから生きた「流通」を学ぶ帯農での試み。秋までにアイディアをまとめて、冬には帯広市内にあるスーパーのデリカコーナーで実際に「帯農コロッケ」(仮)を販売する計画だそうです。

生徒さんに、意気込みと今回の授業について聞きました。

渕上結加さん:「帯農らしいコロッケをつくりたい。野菜を一杯使うことで帯農らしさを出したい。スーパーを利用する中、お客さんが買いやすい工夫がされているというのは普段は感じていなかった。あらためて知ることができました」

吉川光里さん:「下宿なので土日はほんとに『中食』を利用しています。少しでも健康に良さそうなものを意識して買っています。今回しっかり裏話や知らないことが学べていい機会になっています」。

今回の「流通授業」。教える側の内山さんにも大きな成果があったようです。

「人前に立ち講義をする機会が初めてだったため最初は緊張しましたが、学生さんたちが熱心に話を聞いてくれてとても有意義な時間になりました。これからを担っていく若い世代に食品業界のことを知ってもらういい機会を作れたと思うのでやってよかったです」


Sodaneでは、帯農での流通を学ぶ取り組みを今後も紹介します。お楽しみに!

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この記事を書いたのは

SODANE編集部

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