梅宮アンナさん『ありのままを書いているけれども、厳しめのコメントが来る』 これまでとの価値観の変化 両側乳がんになりました
2025.01.26
『いつだれがなってもおかしくないがん。なってしまったものが意味があると思えたらいいな』
そう心持を語ってくれたのは 梅宮アンナさん。2024年5月に乳がんにり患していることがわかり、現在も治療中だ。
彼女が登壇したのは CancerX のワールドキャンサーウイーク。
がんと言われても動揺しない社会を目指し、関係人口を増やしてがんにまつわる社会課題を解決していく、という取り組みをされている。
2月2日まで行われるイベント(一部オンラインあり)の最初の講演がアンナさんだった。
がんと治療・がんと仕事・がんと価値観。
り患者からするとうなづくことばかりの1時間だった。誰かに届けたいと語るアンナさんのその一部を。
『胸のサイズが違う』
アンナさんが乳がんに気づいたきっかけのお話。
『右胸のサイズがあれっ、と。目で見て小さくなって、更年期かな?と』
お胸の写真をとって、アメリカにいる娘さんに送り、話してみたという。
『病院に行ったほうがいいと娘に言われて、その日に病院にいった。どこいっていいかわからなかった。人間ドックも受けていたし。』
アンナさんは発信の中でPET検査などを定期的に受けていたと話している。
マンモグラフィをやって、エコーをやってもその場では答えが出ない。次の外来で針を刺して細胞とるね、とまた2週間が経っていく。
非常にわかる。経験者あるある。
6月に入って、細胞をとった、病理で結果が出たという。
『抗がん剤をやると言ったら、止めるようにといっぱいきた。』
アンナさんにはお父様のがんの治療を見てきている。それでもがんとわかったときに病院どうしようと迷ったと話す。
『がん専門のところのほうがいいだろうと。標準治療しかないと思ったんです。免疫治療とか研究している人がいるけれども、父が50年前に肺がんになったときに放射線と抗がん剤を受けて社会復帰する姿を見てきた。私の回りには、手術・薬物・放射線の3大医療をやっているひとたちが多かったのです。』
アンナさんのステージは3A。
『病院でフルコースになりますよ、とおっしゃってくださって、目の前に差し出された、という感覚で私の環境とか、チョイスというか、価値観で標準治療しかなかった。』
ここで驚くことが、でも患者あるあるが、起こる。
『標準治療やると話したら、抗がん剤やめるようにとかそれはやめたほうがいい、といっぱい来たんです。』
彼女は、人には人にあった治療法があって、そのチョイスを間違いたくない、と毅然と語る。
『(標準治療が)ダメならだめ、と覚悟している。エビデンスなどの結果があるもの。たくさんの症例が見られるもので治していきたい。』
標準治療という標準という名前が悪い、という話はここで何度もしてきているけれども、世界的に様々な研究の上で残っている治療。
ここをベースにすることが最初のチョイスだ。
一番ショックだったタイミングが治療がフルコース、と言われたときのこと。その治療の長さに驚いたという。
抗がん剤先行でその後手術、放射線と続く予定だった。
『一個のことしか頭に入ってこない。何がなんだかのうちに抗がん剤が始まった。あとから変な感じはする、膀胱が下がる、、というか。トイレにいくことが増えたのです。4回目に差し掛かったときにカラダが悲鳴を上げていて、肺炎でいったん入院しました。そこで、次は(予定していた)抗がん剤じゃなくて、手術を間に入れることになったのです。』
11月に手術を終え、現在は2回目の抗がん剤中。2月の26日が最後になる予定で、2週間休んだあと、次は放射線治療に入るという。
アンナさんの治療への向き合い方は?
今回のセッションは事前に寄せられた患者さんなどからの質問に沿っていたので”あるある”が続出していた。
『肺炎起こしたときから、手を握ってグーパーグーパーすると関節が痛いなと・・・。またほかの病気なのかな?と。患者さんあるあるらしいですけど。』
『薬剤師の先生に聞いたら、アンナさん、卵巣の機能止まっているので更年期だと思いますよと言われて、なるほどな。と。』
これがアンナさんの患者力なんだと思う。ちゃんと疑問に思ったら聞く、これだ。
その後、漢方も処方されたりして、やりくりしているそうだ。
『リンパ節をとっているので支障があって動作も遅くて、ものを落とす。ペンももっても落としたり・・・。52歳でり患して、去年まで普通に生理があったので強制閉経でカラダがびっくりしている。』
そして、会場がざわついたのがこのやりとりだ。
『手術終わって、退院おめでとうと言われたけど、まだ早いんだよね、と思った。(病院に)もう来なくていいよ、がうれしいときであって複雑だった。』
『家に帰ってきて一番地獄だった。怖くて傷跡がみられないし、がんから遠い人はおめでとうというし・・・。頭とココロとカラダがバラバラ。ついていくのも大変だし、マイナスのことを考えちゃいけないよなと。』
私も同じような経験がある。手術後に家に帰ったときに、あまりにもの、これまでの違いについていけなかった。私自身も頼りになるものがなかったので書き記そうと思ってきょうまでに至っているけれどもアンナさんも似ているようだ。
『SNSに書くのは大事かなと。』
しかし、アンナさんは芸能人、著名人。その発信には外野からの弊害が起きる。
『ありのままを書くけれどもyahoo!に上がるから、そこについたコメントが厳しめのがあって。』
アンナさんはかっこいいなと思ったのがここだ。
『勉強にはなるから、コメントは全部見ます。”イタイイタイ、と言うな、お前の話が一番痛い”と書いてあったんですけど・・・うまいな、と思う。』
この受け止め方だ!自分にうまくできるかは別として、心の持ち方として参考になる。
さらにアンナさんは積み重ねる。
『芸能人ではオープンにしていない方が多い、一方でオープンにしているんだけど拡散しない、ということも多い。』
まさに!伝わってほしいことはなかなか伝わらない。でもアンナさんにはもともとあったライフスタイルをつまびらかにしてきたベースがある。
『お仕事逃げてもいいや、と。医療にまつわる世界に行ってみたいと思い、誰かにつながったらいいなと始めた。』
アンナさんの中には明確な課題感があるのだと思う。
『日本の中でになるけれども、病院と治療と手術をしたらそれっきり・・・。私が理想にしているのはケアは必要だから、パンフレットここにあります、まで情報が欲しかった。さらに、私は興味があるから一か所だけが正しいのか?と調べるんです。24時間携帯見る、依存症、(笑)。私は調べる役割でいようと。』
心無いコメントの中には『お前はいけるから、金があるから』とか、も書かれるとか。
でも発見が遅いほどお金がかかることを知り、術後ケアというところに国も助けも必要なのでは?と彼女は語る。
梅宮アンナのメンタルコントロールとは?
アンナさんは本能的だそうだ。
『どうしたら気分がよくて、どこにいたら気分が悪いと本能的に・・。SNSで吐き出したことが楽になった。
うちにこもって、向き合わなくてはいけないと、キャーキャーワーワーに行ける気がしない。言わないとお互いが成長しないから言ってよかった人だと思う。』
これに重ねる。
『髪の毛がなくなると言い切られて・・・どうやって隠すかな?と。メディアでどうせ言われる。
個人の話かもしれないけど、人と会話が楽になったのです。美容室ひとつにしてもいつか言おうと。
(美容師さんに)来月入ってないけどどうしたの?と言われて。(お客さん)みんながいる、ここで答えるのはつらいなと。悲しくなってしまった。』
きちんと、これでしばらく美容院に行けなくなる説明をして、でもウイッグが必要な話をして、そのウィッグも人毛の方がいいけどお金の問題がある、、などここから先もいろいろなことを乗り越えてこられたのだろうと容易に想像がつく。
この他、エステでの断られた件、もお話くださったのですが、お店側からすると患者さんの扱いがわからないので、、さわらない、断るのが原則なんだと思います。
これを真向から食らってしまう、、、傷つく、、まさに、患者あるある、です。
受け入れるのが難しい人がいる社会・・・。
次回は一番会場から悲鳴、ため息に近い声が出た、アンナさんのお仕事がなくなってしまったお話を。
CancerX、まだセッション続々です。まだ間に合います!
そして、こちらも配信開始しました!
※朝日新聞記者サロン『がんとともに 自分らしく働くとは?』(阿久津登壇)
https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11015563
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