挨拶をする機会も増える新年度の始まり。いま一度"歯"の健康を見直しましょう! | HTB「イチモニ!」健康けっこう!調べ隊
2025.05.02
北海道民が気になる健康情報をお届けする天使大学とイオン北海道、HTBの共同プロジェクト「健康けっこう調べ隊」。
今回のテーマは「歯」。
歯には「食べ物を細かく噛み砕く」以外にも「発音を助ける」「表情を作る」「噛むことで 脳に刺激を与える」「噛み締めることで体の姿勢やバランスを保つ」などの役割があります。
さらに、歯の健康は全身の健康にも影響を及ぼします。
例えば「虫歯」で歯を失うと、バランスが崩れて肩こりや頭痛が起きやすくなり、また、食べ物をしっかり噛むことができずに消化不良を引き起こす原因にもなります。
「歯周病」は、歯と歯茎の間に細菌が侵入して歯の周りに炎症が起こる病気のこと。
初期段階では、歯茎が腫れたり、歯磨きの時に出血するなどの軽い症状で、適切なケアを行えば改善が可能です。
しかし悪化すると、歯を支える骨にまで炎症が及んで最後には、歯が抜け落ちてしまうこともあるんです。
さらに、歯周病の原因となる細菌やその毒素が歯肉の毛細血管を通じて全身に運ばれると、心疾患や脳卒中を引き起こしたり、糖尿病を悪化させたりする可能性が。また、高齢の方が食べ物や唾液と共に細菌を誤嚥すると誤嚥性肺炎となります。
健康な毎日を過ごすために、歯の健康は必須。
詳しい話を、北海道大学病院 予防歯科の中村公也先生に伺いました。
中村先生:歯というのは、口の中に露出している「歯冠(しかん)」と呼ばれる部分と歯茎の下に骨があるんですけれどもこの骨のところに埋まっているいわゆる根っこの部分ですね、この2つに分かれます。
中村先生:この歯冠の表面は「エナメル質」と呼ばれる我々の体の中でも最も硬い組織。カルシウムなどのミネラル成分から出来ています。さらにエナメル質の下には「象牙質」と呼ばれる組織が、歯の中心には「歯髄(しずい)」という部分があります。
中村先生:歯の最も内側にある「歯髄」は神経を通じて痛みや異常を感知したり血管から栄養や酸素を取り込むなど健康な歯を維持するために重要な役割を担っています。
中村先生:虫歯がすごく進んで残念ながら歯髄を取ってしまったりすると、歯に栄養が行き渡らなくなりますので、歯の強度が落ちます。一度治療した歯でもまた再び虫歯になることもあります。そうなると痛みを感じないので発見が遅れがちになります。
中村先生:虫歯は色んな要素が重なって発生しますが、その要素中の一つに「歯垢」というものがあります。
中村先生:歯垢は、一般的には意外に食べ物の残りカスと思いがちなんですけれども、そうではなくて、口の中に住む細菌がギュっと詰まったもの、一言でいうと「細菌のかたまり」です。
中村先生:歯垢を1g集めてきて、その中に細菌がどのくらいいるかを見てみると大体一千億個くらい、棲んでいるという風に言われています。
中村先生:この歯垢の中の細菌がつくる「酸」によって歯が溶けると虫歯になります。
中村先生:朝昼晩の食事の間にだらだら結構食べる方は要注意。
中村先生:ずっと口の中に食べ物が入っていると、それだけ酸も長い時間作られることになります。そのため、歯が溶ける時間が比例して長くなると思います。
虫歯が出来やすいのが、奥歯の噛む面にある溝の部分や歯と歯の間。そこをしっかり狙って磨くことが大切です。
歯には出っ張っているところと、引っ込んでいるところがあるので、まっすぐ当てようとすると、歯ブラシがうまく当たりません。
引っ込んでるところでは歯ブラシを縦に当てたり、その歯に合わせて工夫して磨く必要があります。
動かす幅は大体歯一つか二つ分のストローク。当てたときに、ややこの毛束が中に少し入るかな、っていうぐらいがベスト。
中村先生:一方で、しっかり磨きたいからと力を一杯入れて磨く方が多いんですが、そうすると、虫歯ではないのに歯がしみてきたり、知覚過敏の原因になりますので、そういったところも注意が必要です。歯ブラシだけでしっかり歯垢を落とすことは難しいので、デンタルフロスという糸のようなものを使って歯と歯の間を掃除しましょう。歯の質を強くするフッ素というものがありますので、そういうものを利用するのが効果的だと思います。
虫歯も歯周病も早期発見が大切。
虫歯や歯周病のリスクが高い方は3~4か月毎に、リスクが低い方でも半年~1年毎の受診がオススメです。