さっぽろ創成イーストに誕生「実験施設ZOKZOK」って何!?
2025.08.22
この秋、札幌に誕生する「実験施設ZOKZOK」
名前からは、一体どんな場所なのか分からない。
そんな謎の(?)施設ができるという…。ここで、何か秘密の実験を行おうとしているのか!?取材をしてみると、アートカルチャーを通して、人と地域が心地よく暮らせる街づくりを目指すワクワクするような取り組みを始めようとしているクリエイター達が集まっていました。
次世代の地域文化をクリエイティブする拠点に!札幌から発信
仕掛け人は北海道伊達市出身のパブリックアーティスト・渡邊元佳さん。
パブリックアートを通して、次世代が主体となって地域文化を創造し、イノベーションを起こせる拠点を札幌に作りたいと立ち上げました。
「ZOKZOKは、音楽・美術・身体表現・ファッションなど多様な分野が交わって、アーティストと市民で共創する文化芸術の発信の場です」
総合ディレクターも務める渡邊元佳さんは、国内外の第一線で活躍する北海道に縁のあるアーティスト4人に声をかけ、ZOKZOKを設立。
この施設を主導する4名のメインクリエイター
■渡邊元佳さん(伊達市出身/東京在住)パブリックアーティスト
■茂呂剛伸さん(江別市出身/札幌在住)縄文文化を奏でる演奏家
■石岡美久さん(東京都出身・札幌在住)ファッションデザイナー レディー・ガガなど著名アーティストの衣装も手掛ける
■平原慎太郎さん(小樽市出身・川崎市と札幌市在住)振付師・ダンサー 東京オリンピック開閉会式を担当
ジャンルもバラバラな個性豊かな4名のクリエイターを軸に、地域プロジェクトやイベントなどを企画・開催し、街の中でもっと身近にアートや芸術文化と触れ合えるようにしていきたいと話します。
施設の名称「実験施設 ZOKZOK」は、ニューヨークのパブリックファンド、フランス・ニースのロワイヤル・ド・リュクスの事例など、国内外の事例から着想を得ながら、オーナーと共に議論し、建物自体が実験的なパブリックアートであり続ける意思を込めたそうです。
ZOKZOKは「観る場所」ではなく「関わる場所」、そして常に変化を試みる“実験施設”です。アーティストの活動に参加したり、自ら企画や提案を持ち込んだり、ビルボードプロジェクトのように街に飛び出す表現を共につくることもできます。個人でも団体でも、大人も子どもも、関与の仕方は自由。この建物に関われるプログラムを考えています。道民一人ひとりが“共演者”として、この実験の場に関わってほしいと考えています。
ジェンダーレスな視点で、ファッションを自由に楽しむ
メインクリエイターの一人、ファンションデザイナーの石岡美久さんは、この施設に自身のアトリエと店舗を移して、すでに活動を開始しています。
石岡美久さんは、レディ・ガガや安室奈美恵も御用達の世界的ファッションブランド「algorithm」を立ち上げ、セレクトショップ「ゲノム」のオーナーとして活動するファッションデザイナーです。
「ファッションは、自分らしさを表現する上で欠かせない要素。特にジェンダーレスな視点を大切にしていて、自分が自分らしくあるための服やファッションを提案しています」という石岡美久さんのアトリエには、男性用にデザインされたワンピースや、和紙をフリルのようにあしらった服や、3Dプリンターで作成したという甲冑を思わせるようなコスチュームが並んでいます。
自分がより「自分らしく」いられるために、ファッションはもっと自由で、より様々な選択肢があっていいのだと、美久さんの服を見ていると感じます。
北海道に拠点を移して10年。東京で活動していたころに感じたファッション業界の閉塞感を、札幌で出会った多様なジャンルのクリエイター達との関わりからインスピレーションが広がり自身の活動や新しい仕事に繋がったという美久さん。
施設がオープンした後は、この場所で新たな作品を発表しながら、一般の人にデザイン制作を伝えるワークショップやファッションの自由な楽しみ方を発信していきたいとしています。
「北海道はカルチャーをミックスするのが得意」イノベーションを起こす力に
ZOKZOKはあえて民間の独立した意思で立ち上げた10年限定の実験施設。
行政や制度に縛られず、柔軟かつ実験的な表現を展開できる「自由な土壌」を提供することで、札幌の文化シーンにフリンジ的な厚みを加えたいという。さらに、地域と世界をつなぐハブとして、北海道から発信する新しい都市型文化のモデルケースを目指しています。
「北海道は歴史が浅い分、カルチャーをミックスすることが得意だと感じています。だからこそ、新たなイノベーションを起こす力や可能性が沢山あると思っています。ただ、それを文化に消化するのはまだまだで、国内外のアーティストやクリエイターと多様なコラボレーションをしながら、国際的な文化ネットワークを構築することが必要だと思います」と渡邊さん。
街と人をアートで繋げる実験施設ZOKZOK。
建築やファッション、音楽やダンスなど、様々なアーティストやクリエイターが交差しながら、次世代のクリエイターを育て、様々な表現や価値観をアートで共有できる場所となりそうです。
札幌の街をもっと楽しく、自分が自分らしく過ごせる場所にしていきたい。クリエイティブな力が発揮しやすく、様々なイノベーションが起こせる北海道を目指したい。私もそう思います。
実験施設ZOKZOK お披露目イベント
2025年8月23日・24日・25日
10月の本格始動を前に、一般の人にも施設を公開するお披露目イベントを開催。
施設の公開の他、子ども向けのワークショップや、一般の人がアートや芸術を体感できるプログラムなどを予定しています。