高額療養費制度どうなる?見直し案で患者を救えるのか?
2025.12.24
乳がんという診断を受けたとき、頭の中を真っ白にするのは病気への不安だけではありません。
「治療費はいくらかかるのか」
「仕事を続けられるのか」
という切実な経済的不安が、波のように押し寄せてきます。
2025年12月24日、きょうのきょう現在、日本の医療制度は再び大きな転換点を迎えています。
高額療養費制度の見直しの政府案が出てきました。
これに関して、全国患者団体連合会のみなさんが再び声明を出してくださっています。
誰もが直面する「経済的毒性(Financial Toxicity)」
乳がんをはじめとしたがん治療は、手術して終わりではありません。術後の抗がん剤、放射線、そして5年〜10年に及ぶホルモン療法や、最新の分子標的薬、治療が長期化するほど、家計を圧迫する状態を、専門用語で「経済的毒性」と呼びます。
この毒性を和らげる最大の盾ともいえるのが「高額療養費制度」だと私は考えています。
1ヶ月の医療費が一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた分が払い戻される(あるいは窓口で支払わなくて済む)仕組みです。所得に応じた区分・ 年収に応じて「月額約8万円」や「約17万円」など、支払いの天井が決まっています。さらに 過去12ヶ月以内に3回以上上限に達すると、4回目からはさらに上限額が下がる仕組み、多数回該当があることも救いであり、再発治療や長期の薬物療法を続ける乳がん患者にとって、命綱とも言える制度なのです。その制度が変わろうとしている、、私たちは大きな変化の中にいます。
2025年は制度改定に向けた議論の一年
今年の初めに公になってきた高額療養費制度の負担増(上限額の引き上げ)は、多くの患者に衝撃を与えました。全がん連などが働きかけを行い、多くの患者さんの声を届けてくださったおかげで議論は、3月、一旦、振りだしに戻りました。
患者の声:
「月々数千円の増額でも、それが5年、10年続けば数十万円の差になる。治療を諦める選択肢が、冗談ではなく現実味を帯びてきている」
その後5月に専門委員会が立ち上がり、ヒアリングや議論が続き、12月15日にとりまとめが行われました。
結果、「多数回該当」は現行水準の維持。新たに「年間上限」を設けること。すでに現行制度においても所得の低い区分の患者を中心に、WHO(世界保健機関)が定義する「破滅的医療支出」水準となっている現状に配慮した「多数回該当」の引き下げなど患者等の意見が反映されることになりそうです。
一方で70歳未満の月ごとの限度額については、いわゆる現役世代がすでに高い社会保険料を負担しているにも関わらず、「応能負担」に基づいて引き上げ額が大きくなっているため、特段の配慮を行うようなど求めています。
「月毎の限度額については十分に抑制されていない」
当初案から半額程度になったものの、引き上げ、、です。
「高額療養費制度があるから大丈夫」という言葉は当てはまりません。
当事者を追い詰めることがある、とすら思います。
もう一歩の声が届くよう、議論を見守るとともに、汗をかいてくださった、患者会のみなさんに敬意を表します。
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