響く歓声!2,000人が動き出す「探究」のステージ 〜札幌市立高等学校 進路探究セミナー2026〜
2026.05.21
高校生活という新しいステージに立った若者たちの熱気に触れることができました!
2026年5月8日(金)、北ガスアリーナ札幌46にて「札幌市立高等学校 進路探究セミナー」が開催されました。この日、アリーナに集まったのは、札幌市立高等学校8校(旭丘320名、藻岩240名、新川320名、清田223名、平岸320名、啓北商業173名、大通271名、開成中等155名)の新1年生、約2,000名です。
本セミナーが目指すのは、ただの合同オリエンテーションではありません。
「市立高校同級生2,130人が『市立ファミリー』としてのつながりを感じ、これから始まる未来の一歩を共に踏み出すこと」。
広大なアリーナに一堂に会した高校生たちを見渡すと、その壮大なスケールと、これからの札幌、ひいては社会を担う若者たちのエネルギーに、私自身も胸が高鳴るのを感じました。

第1部「これが札幌市立高校」〜先輩たちが語る等身大のメッセージ〜
第1部のメインイベントは、「市立高校プレゼンテーション大会出場生徒によるトークセッション」です。広いアリーナの中央にステージを設け、登壇者が円になるというスタイルで行いました。その周りをぐるりと囲む2,000人以上の新入生たち。360度、どの角度からも熱い視線が注がれる中、先輩高校生たちの口から語られたのは、飾らない「等身大のメッセージ」でした。
モデレーターを務めた私がこのセッションを通して一番伝えたかったこと。
それは「『何をすべきか?』と思い悩むよりも、まずは『今できること』を積み重ねていくこと。その小さな行動の連鎖が、いつか想像以上の未来へ導いてくれるはず」ということ。
今、輝いて見える先輩たちも、最初からやりたいことが明確にあったわけではなく、彼らがどうやって「探究学習」と出会い、一歩を踏み出し、そこで何に気づき、どう世界を広げていったのか?
トークセッションに登壇した8校を代表する先輩たちの珠玉のメッセージを、ここでお伝えします。

札幌開成中等教育学校(6年・高校3年相当):堀 みひろ さん
堀さんは、起業家教育プログラム「ミラスキ」やビジネスコンテストに積極的に参加してきた経験を語ってくれました。留学などを通して自身の価値観やアイデンティティと深く向き合ったそうです。「学校の外で様々な人と繋がる面白さ」を知り、そこから「自分の強み」を発見したと語る姿は非常に堂々としていました。
「最初は、絶対に実現したい何かがあったわけではありませんでした。でも、いろいろな人との出会いのおかげで、自分の中の『あたりまえ』が何度も更新されていったんです」。この言葉は、まだ目標が見つかっていない多くの1年生の心を軽くしてくれたはずです。
札幌平岸高校(3年):栄田 杏 さん
栄田さんは、2年前のプレゼンテーション大会にも登壇した経験の持ち主です。まちづくりプログラム「まなびまくり社」に参加した彼女ですが、実は「入学当時は高校で何をやりたいか、全く決まっていなかった」と正直に打ち明けてくれました。
彼女が変わるきっかけは、まさに自身が1年生の時に参加したこの進路探究セミナーだったそうです。先輩の発表を聞いて前向きになり、澄川や平岸地区をより良くするための「大人100人会議」の開催や、地域の子どもたちと関わる活動に奔走しました。「ただ学校があるから通っている場所」だった平岸が、活動を通して「自分もこの地域の一員なんだ」という当事者意識に変わったといいます。多世代との交流が教えてくれたコミュニティの大切さは、彼女にとって大きな財産となっています。
札幌啓北商業高校(3年):佐藤 日向太 さん
サッカー部の部長を務める佐藤さんの探究の形は、非常に地に足のついたものでした。彼が後輩たちに送ったメッセージは「何かを頑張るって面白い」という真っ直ぐなもの。
地域の課題解決といった外に向けた活動ではなく、彼は部活動を通してコツコツと走り込み、体作りに励みました。そのひたむきな努力を仲間が見ていてくれたからこそ、信頼を得て部長を任されたのです。「運動やプレーの中から課題を見つけ、対応していく力。好きなこと、打ち込んでいることに精一杯『頑張る』ことも、立派な探究活動になるんです」と佐藤さんは語ります。
さらに、「新しく何かを始める前に、今の習慣を見直してみることも大切。朝ごはんは食べているか?スマホを見ない時間を自分で作れているか?日常の改善も探究の第一歩です」というアドバイスは、今日からでも実践できる素晴らしいエールでした。
札幌藻岩高校(3年):伊藤 日和 さん
高校進学を機に、地元である道北の遠別町を離れて札幌へやってきた伊藤さん。その理由は「探究活動がしたかったから」だと言います。現在もさまざまな探究学習に挑戦中で、市立高校コンシェルジュの役割を担う株式会社すみかにインターンとしても所属しています。
彼女が強調したのは「コミュニケーションの力」でした。たくさんの学生や大人と積極的に関わること。色々な人との交流から得られる気づきや、周囲からの温かい応援があったからこそ、自分ひとりの力では実現できなかったことがどんどん形になっていったと、実体験を交えて熱く語ってくれました。
札幌旭丘高校(2年):川口 翔 さん
身近な大人に憧れ、小学生の頃から起業に興味を持っていたという川口さん。彼もまた、起業家教育プログラム「ミラスキ」に挑戦している一人です。
彼は1年生に向けて、二つの視点からエールを送りました。まだ探究したいことが見つからない人へ、そして、すでに明確な目標がある人へ。どちらの立場であっても、「札幌市立高校という大きな繋がりの中にいることで、さまざまなプログラムに参加できるチャンスが目の前に用意されている」と語りかけました。この恵まれた環境に感謝し、与えられたチャンスをぜひ最大限に活用してほしいという強いメッセージは、新入生たちの背中を力強く押したことでしょう。

札幌新川高校(3年):先名 癒和音 さん
中学校時代に自ら書道部を立ち上げたという驚きの行動力を持つ先名さん。高校でも「書道」を軸に活動の幅を大きく広げ、卒業式では部員たちと共に巨大な卒業証書をしたためるパフォーマンスを企画・披露したそうです。
彼女は、新川高校の校訓である「開拓者たれ」の精神を引き合いに出し、力強い言葉を贈りました。「我が前に道はない。目指す地に達する道はない。その道を我々は自ら切り開かねばならない」。この開拓者の姿勢こそが、探究活動であり、高校生活における様々なチャレンジに繋がっていくのだという彼女の熱弁は、会場の空気をキリッと引き締めました。
札幌清田高校(2年):小笠原 健琉 さん
バスケットボール部に所属しながら、なんとJBA公認のC級審判資格を取得した小笠原さん。自分が熱意を持てるものに全力で取り組む面白さと同時に、彼が訴えかけたのは「仲間を作ることの大切さ」でした。
同じ目標に向かう仲間、先生、そして周りの大人たちの話にしっかりと耳を傾けること。彼自身、周囲の勧めや後押しがあったからこそ、審判の資格取得という新しいハードルに挑戦できたのだと語ります。独りよがりにならず、周囲との関係性の中で自分の可能性を広げていくというアプローチは、多くの生徒の参考になったはずです。
札幌大通高校(3年):小沼 宗太郎 さん
小沼さんは、過去のプレゼンテーション大会で大通高校の名物でもある「ミツバチプロジェクト」や自身のキャリア探究について発表した経験を持ちます。
「まさか自分が、こんな2,000人もの人前で発表するような人間になるなんて、入学した頃は思ってもみませんでした」と振り返る小沼さん。彼がたどり着いた結論は「とにかく、やってみること」。結果を恐れずにまず一歩を踏み出し、チャレンジした経験そのものが、自分自身の大きな『自信』に繋がっていくのだという実体験に基づくアドバイスは、説得力がありました。
第2部 世代を超えた対話と未来へのエール!
第2部の交流ワークショップでは、学校間連携指定事業の関係者や、社会の第一線で多様な挑戦を続ける「探究人」と呼ばれる大人たちと、高校生たちによる熱気あふれる対話が行われました。今回、私もその「探究人」の一人として参加させていただきましたが、実際にワークショップが始まると、目をキラキラと輝かせた高校生たちにぐるりと囲まれ、その熱量に圧倒される思いでした。
最初は少し緊張した面持ちの生徒もいましたが、対話が進むにつれて前のめりになり、核心を突くような真っ直ぐな質問が次々と飛び交いました。普段の学校生活という枠組みを飛び越え、親でも先生でもない大人たちと交わす、世代を超えたコミュニケーション。
真剣に耳を傾け、時にハッとしたような表情を浮かべる生徒たちに「新しい未来の選択肢」が広がるといいなと感じます。
私たち大人にとっても、彼らの無限の可能性に触発される素晴らしい時間となりました。

フィナーレを彩る音楽ライブでは集まった2,000人が「市立ファミリー」としての強い絆と一体感を分かち合いました。
さらに、スペシャルゲストとして体操女子の元日本代表であり、2021年東京オリンピック種目別ゆかで銅メダルを獲得、現在は強化本部長を務める村上茉愛さんが登場。世界を舞台に戦い抜いたトップアスリートからの言葉は、これから未知の世界へ飛び込む生徒たちにとって、最高のエールとなりました。

日々の小さな「探究」の先にあるもの
モデレーターとしてステージの中央に立ち、2,000人の高校生たちの熱気を肌で感じられた「札幌市立高等学校 進路探究セミナー2026」。
最初から完璧な目標を持つことは、大人だって至難の業です。日々の小さな習慣を少し変えてみる。部活に夢中で打ち込む。自分の住む地域に目を向けてみる。そして、壁にぶつかったら周りの大人や仲間に思いきり頼る。その一つひとつが、立派な「探究」なのだと思います。
北ガスアリーナで共有した、8校の枠を超えた「市立ファミリー」としての繋がり。この日、先輩たちから受け取ったバトンを胸に、彼らはどんな道を切り拓いていくのでしょうか。
札幌、そしてこれからの北海道を担う高校生たちを、私も一人の大人として心から応援し続けたいと思います。
地域の取り組みを発信するメディア人として、また子を育てる一人の母として。
高校生たちが自由に夢を描き実現できる社会を大人が作っていかなければと、彼らのまぶしい姿を見つめながら私自身にも実りのあった進路探究セミナーでした。

