初夏の風物詩・夕張メロン初競り 過去最高値580万円に歓声!札幌市中央卸売市場
2026.05.23
北海道に初夏の訪れを告げる特産品「夕張メロン」の初競りが5月22日早朝、札幌市中央卸売市場(札幌市中央区)で行われました。今年は、「秀品」2玉1箱に580万円の過去最高値がつき、市場は活気に包まれました。

北海道に本格的な初夏の訪れを告げる、夕張メロンの初出荷。
今朝、札幌市中央卸売市場で行われた令和8年度の初競りに、私も足を運んできました。
朝7時。
競り人の威勢の良い掛け声とともにスタートした会場は、独特の熱気に包まれていました。さあ、今年はいくらの値がつくのか?
「580万円!」
ひと際大きなどよめきと、割れんばかりの歓声が沸き起こりました。
2玉1箱の夕張メロンにつけられた、驚きの価格。これは、令和元年に記録したこれまでの最高額である500万円を大きく塗り替える、堂々の「過去最高値」です。ただのご祝儀相場という言葉では片付けられない、市場の期待と熱い想いがその数字には込められていました。
最高のスタートを切った今年の夕張メロン
今年の夕張メロンがこれほどまでに高い評価を受けたのには、しっかりとした理由がありました。
競り落とされたばかりの最高値のメロンを目の前で見つめると、見事な球体を描く丸々とした姿からは、手に取らずとも中身がぎっしり詰まった、ずっしりとした重量感が伝わってきます。表面を覆うのは、細かく均一に入った美しい網目。そして何より目を引くのが、ピンと上を向いた力強く太いT字の茎(ツル)です。甘く芳醇な香りをまといながら堂々と鎮座するその姿は、まさに「夕張の宝」と呼ぶにふさわしい圧倒的な存在感を放っていました。

夕張市農業協同組合によると、今年は夕張地域でも積雪量が少なく、2月、3月の天候にも非常に恵まれたそうです。そのおかげで、ハウス施設のビニール被覆作業や苗床の管理が順調に進み、まさに「計画通り」の生育を見せました。4月上旬にしっかりと実をつけ、生産者の皆さんが我が子のように大切に育て上げたメロンが、満を持して本日の出荷を迎えたのです。
本年度は、85戸の生産者の方々によって作付け面積152ha、52.6万株が栽培されています。販売計画としては数量3086トン、金額にして21億1697万円(前年実績対比101.6%)を目標に掲げています。数字だけを見ても、夕張メロンというブランドがいかに大きく、そして力強く北海道の農業を牽引しているかがわかります。
借金完済という大きな節目。市長が語る「感謝」
会場には、厚谷司・夕張市長の姿もあり、我が子の晴れ舞台を見守るような、優しく穏やかな眼差しで初競りの熱気を見つめていらっしゃいました。
厚谷市長にお話を伺うと
「今年は雪が少なかったので生育が順調で、特に蔓(つる)が太く育って、本当に立派で大きな玉のメロンが実ってくれたんですよ」
と、並べられたメロンを嬉しそうに見つめます。そして、特に今年の夕張メロンの初競りへの想いを語って下さいました。
「実は今年末、夕張は20年の借金を完済するんです。これまで本当に苦しい時期もありましたが、このマチを支え続けてくれたのは、夕張メロンのブランドをしっかりと守り、育ててくれた生産者さんのお陰でもあるんです」

夕張市が財政破綻という未曾有の危機に直面してから20年。
険しい道のりを、市民の皆さん、そして地元の方々が「夕張をもう一度盛り上げよう」と一丸となって乗り越えてきました。どれほど厳しい状況にあっても、「夕張メロン」という世界に誇るブランドの品質を決して落とすことなく、汗水流して畑に向かい続けた生産者の皆さんのプライドと努力。それが、夕張というマチそのものの「希望の光」であり続けたのだと、市長の言葉からひしひしと伝わってきました。
580万円という過去最高値は、そんな夕張の皆さんの20年間の計り知れない苦労と頑張りに対するエールにもなったのではないでしょうか。

未来へ繋ぐバトン。「僕たち、生産者です」
初競りの熱気も少し落ち着きを見せ始めた頃。私の元に、少しはにかんだような笑顔の若い男性たちが声をかけてきてくれました。
「あの、僕たち生産者です」
そう声をかけてくれたのは、今年の初競りの様子を自分たちの目で見守るために市場を訪れていた、夕張の若手生産者の皆さんでした。彼らの溌溂とした表情には「夕張メロン」という伝統を引き継いでいくのだという誇りがにじみ出ているようでした。
農業の高齢化や担い手不足が全国的な課題となる中で、こうして次世代のリーダーとなる若き生産者さんが夕張の地でしっかりと育ち、前を向いている。そんな期待と希望を感じられたことも、今日の取材での嬉しい出来事でした。
食卓へ届け、夕張の「甘い初夏」

夕張メロンの本格的な出荷は、これから6月下旬から7月上旬にかけてピークを迎えます。
初競りといえば「580万円」という驚きの価格にばかり注目が集まりがちですが、熱気あふれる競りの現場で市長や落札者の言葉を聞くと、その数字は単なる話題作りではないことがわかります。
雪深い冬からハウスの温度管理を徹底し、手塩にかけて育てた生産者への「最大の敬意」であり、そして何より、これからの夕張の農業を背負って立つ若者たちへの「壮大なエール」になるのだと思います。
この日競り落とされたメロンを皮切りに、これから全国へ出荷が本格化します。夕張メロンのあの芳醇で優しい甘さは、今年も全国の皆さんに最高の笑顔を届けてくれるはずです。
今年の夕張メロンの深い甘みを、ぜひ多くの人に味わってほしいと感じる朝でした。

