むかわの宝 コンサ・中村選手が語る「J1への帰還」とサッカー観戦すると幸せになる!?
2025.12.24
プロサッカー選手としての葛藤、故郷・むかわ町への想い、そして心身を整える独自の哲学。
北海道コンサドーレ札幌の背番号4、中村桐耶(なかむら とうや)選手を迎えて、HTBonちゃんテラスで行われたトークイベントの模様から。
サイエンスフェスタ2025のサテライト会場だったHTBonちゃんテラスには多くのサポーターが詰めかけました。爽やかな笑顔で現れたのは中村桐耶選手!身長186cmの圧倒的なオーラの一方、その語り口は非常にソフトで親しみやすく、会場を一気に温かな空気で包み込みました。
「苦しかった」シーズン、そしてケガとの闘い
まず今シーズンを振り返り、中村選手は率直な胸の内を明かしました。
「正直に言って、本当に苦しいシーズンでした。サポーターの皆さんに勝利を届けられない期間が長く、個人的にも怪我で戦列を離れる時間が長かった。本当にもどかしかったです」
練習復帰まで2ヶ月。さらに実戦復帰までには長い時間を要しました。プロの世界で「2ヶ月間運動をしない」ことは、想像以上に過酷な現実を突きつけます。
「復帰直後は、自分では全力でダッシュしているつもりなのに、周りからは『走り方が変だね』と言われるほど。スピードも出ず、体のキツさを痛感しました。でも、そんな自分を支えてくれたのは、イベントやスタジアムで直接声をかけてくれるサポーターの皆さんの存在でした」

故郷・むかわ町との深い絆
中村選手のルーツは、北海道・むかわ町にあります。人口約7,000人のこの町で、彼は「誰もが知る有名人」であり、「町の宝」として愛されています。
- 温かな交流: 近所の農家さんが「これ食べな」と野菜を贈ってくれる日常。
- 恩返し: 帰省の際は手土産を持って挨拶に回るが、「それ以上にまた食べ物をもらって帰ってきてしまう。一生お返しができない」と苦笑い。
- サッカーの原点: ユースに入るために寮に入るまでは、この温かな町でのびのびとボールを追いかけていました。
会場にはむかわ町から駆けつけたファンの姿もあり、中村選手がどれほど地元に根ざした選手であるかが伺えました。
むかわ町のおススメのグルメ、ということであげてくれたのは「インカのめざめ」でした。
レジェンド小野伸二が授けた「1本のパス」の重み
中村選手のプレイスタイルに大きな影響を与えた人物。
それが、日本サッカー界の伝説・小野伸二さんです。
「伸二さんは、僕が1年目、2年目の若手の頃、真摯に僕のことを見て言ってくれたんです。『アップのパス1個1個を大事にしなきゃ、本当にこれからやっていけないよ』と」
それまで「アップだから」「遊びだから」と、どこか無意識に流していたパス。
しかし、レジェンドの言葉は中村選手の心に深く突き刺さりました。
「上手い人たちは当たり前に基礎のレベルが高い。基礎に終わりはない」。
今では練習前の何気ないボール回しでも、1ミリのズレも許さない集中力でボールを止めることを意識していると言います。
休むことの大切さ・「ルーティーンを作らない」哲学
186cmの長身を支えるメンテナンス方法について聞かれると、中村選手は「休むこと」の重要性を話してくれました。
また、意外だったのは「試合前のルーティーンをあえて作らない」というスタンスです。
ゲン担ぎや決まった行動パターンをとる選手が多い中、彼は「
「アウェイ遠征などで予定がズレた時、ルーティーンができないことで不安になるのが嫌なんです。なら、最初から何も作らず、ただのんびり過ごす。その方がどんな状況でもリラックスして試合に入れますから」
チームメイトとの素顔:白井陽斗選手との「30分パスタ」
チーム内の交友関係についても話が及びました。今年、特に仲が深まったのは同期に近い白井陽斗選手です。
「練習終わりによく二人でパスタを食べに行きます。ただ、二人とも食べるのがめちゃくちゃ早いんです。お店の滞在時間はわずか30分くらい(笑)。パッと食べてパッと帰る。その気楽さが合っているんでしょうね」
移動中のバスや飛行機でも、ゲームをしたり、他愛もない会話を楽しんだり。そうしたオフの時間のコミュニケーションが、ピッチ上の連携を生み出しているようです。
【研究データ】サッカー観戦は「幸せ」への近道?
イベントには明治安田の北海道地域リレーション本部長の森口高志さんも登壇。
明治安田厚生事業団が発表した、非常に興味深いデータが紹介されました。
スポーツ観戦が健康に与える影響
| 観戦スタイル | 期待される効果(1年後の調査結果より) |
| スタジアム現地観戦 | 心理的ストレスの低下、生活習慣の改善、脂質異常症の抑制 |
| メディア(TV等)観戦 | 幸福感の促進、活動不足の解消、朝食欠食の防止 |

森口さんは「テレビで見ていても、ゴールシーンで足に力が入ったり、感情が動いたりすることで刺激されるのではないか」と分析。
これに対し中村選手は、「北海道の人たちは今年、ストレスどうだったんだろう、と思いながら気になりますね」と笑いを誘いました。
「僕たちのプレイひとつひとつで、ヤジを飛ばすのもいいと思いますけれど、ゴール決める瞬間だったりとか、誰かがいいプレーをして盛り上がるとか、ゴール前だったら頑張れと思ってもらえるような感じで見てもらえるのが一番平和だと思いますけれど。」
森口さんは「声を出したり、タオルを振ったりするから、現地の方が活動量は増えているんだと思います。ヤジも失礼にならない程度だったら。」
中村選手「声は出ているので、発散しているんだと思うのでいいかもしれないです。」と話しました。
森口さん「北海道だったら雪が降ると外で運動できないとかがあると思う。スポーツを見たり、応援することで、また現地にいって応援することで少しでも健康になる、ということであればスポーツを応援する会社としては、すごくいい結果だなと思って、引き続き盛り上げていきたいと思います」
J1への帰還とサポーターへのメッセージ
最後に、中村選手は来シーズンに向けた力強い誓いを立てました。
「チームとしての目標は、言うまでもなく確実にJ1に戻ること。これは目標というか、成し遂げなければならない使命だと思っています。僕自身もそこに全力で貢献したい」
「そして、現地で観る方がより健康に良いというデータも出たので、ぜひドームに足を運んでください。皆さんの声が僕たちの力になりますし、僕たちのプレイが皆さんの日常を少しでも明るくできれば最高です」


