地域をつなぐ。東区のコミュニティスペース「つぐの間」と「ぱんやみのり」の挑戦

3月8日の「国際女性デー」は、ヨーロッパでは女性にミモザの花をプレゼントする習慣があり、ミモザの日とも呼ばれています。黄色をテーマカラーに彩られた「HTBミモザマルシェ」の会場から、オンラインとリアルで生配信されたトークセッション。その最終回のゲストとして登場したのは、北海道の女性のお仕事をテーマに、札幌市東区でコミュニティスペース「つぐの間」と「ぱんやみのり」を展開する永井さんです。彼女の取り組みと、地域に寄せる温かい思いをご紹介します。

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野菜を練り込んだ、優しさいっぱいのパン

「ぱんやみのり」のパンには、大きな特徴があります。それは、あえてハード系の硬いパンは作らず、子供たちに食べてもらいやすい「柔らかいパン」にこだわっている点です。さらに、少しでも美味しく野菜を食べてほしいという思いから、生地に野菜を練り込んでいるそうです。
かぼちゃ、じゃがいも、そして長いもといった野菜が生地に練り込まれており、じゃがいもを入れるとモッチモチに、長いもを入れるとフワッとして歯切れが良く、且つしっとりとした仕上がりになるのだとか。水分量の調整が難しいパン作りに野菜を取り入れるのは至難の業ですが、それぞれに面白い特徴が出ると永井さんは語ります。
猫の形をしたクリームパンや亀のメロンパンなど、見た目にも可愛らしいパンが並び、買いやすい優しい価格設定も魅力です。

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また、他店とのコラボレーションにも積極的で、カレー屋さんとのコラボパンなども人気を集めています。「つながること」を大切にし、お互いの店を知ってもらうきっかけ作りも行っています。今後はオニオンを練り込んだおつまみにもなるパンなど、さらに種類を増やしていきたいと意気込みを見せています。

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誰もがフラッと立ち寄れる居場所「つぐの間」

パン屋の屋号の前に冠されている「つぐの間」という名前。これには、「人が繋がる」「未来に繋がる」という2つの意味が込められています。この「つぐの間」という大きな空間の中に、「ぱんやみのり」が存在しているというイメージです。
店内はパンの香りが漂うカフェのような空間になっており、こだわりの座敷スペースにはおもちゃや本が置かれています。これは、子育て中のお母さんが小さな赤ちゃんを連れてきても、ゴロンと寝かせながらゆっくり美味しいコーヒーを飲めるようにという、永井さん自身の経験から生まれたアイデアです。
また、お店を持たない作家さんのハンドメイド作品が販売されていたり、駄菓子コーナーがあったりと、多様な魅力が詰まっています。放課後には小学生たちが集まり、人気のスクイーズのくじ引きを楽しんだり、流行りのシールを買ったりと賑わいを見せます。さらにはお花の教室やアロマ教室の開催、子ども食堂のような活動まで、地域の人々の得意分野を持ち寄れる貴重な場所となっています。

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地域のお母さんたちのパワーが支える店

このお店を力強く支えているのが、地域のお母さんたちで構成されたスタッフです 。永井さんは「地域のお母さんたちは本当に色々なことができるパワーがある」と語ります 。
芋づる式に人のつながりで集まったというスタッフたちは、PTAの経験者も多く、子どもたちへの対応にも長けています 。訪れるお客さんへの親切な対応は、永井さんの大きな自慢でもあります 。「女性は繋がるのが上手」という言葉通り、地域のパワーを結集して地域のために活動する姿がそこにあります 。

まちづくりから福祉へ。広がるビジョン

れまでのキャリアが関係しています 。建設業でまちづくりや都市計画を専門としていた永井さんは、「地域の交流の場所が大事」と言われる中で、それが本当にどういうことなのかを自ら実践してみたいと考えていました 。
愛着を持てる自分の地域でやる必要があると感じ、自宅から徒歩2分ほどの、交差点にある分かりやすい空き物件を見つけてスタートさせたのです 。
現在、永井さんは福祉施設や保育所も手がけています 。「町で安心して暮らすためには、福祉や保育、介護がすごく大事な要素。そこも含めて町を支えるということを、残りの人生をかけてやっていきたい」と、そのビジョンはさらに広がりを見せています 。

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国際女性デーに寄せて。一歩を踏み出す勇気を

多忙な日々を送る永井さんの元気の源は、「家族」と「お客さんの笑顔」です 。「一人でも笑ってくれる人が増えるのなら何でもする」と語る彼女の姿勢からは、地域への深い愛情が感じられます 。お店のキャラクターである「つぐにゃん」も、お店によく来ていた地域の小学生が提案し、名付けてくれたものだそうです 。
最後に、国際女性デーに合わせて、働き方に悩む女性たちへこんなメッセージを送ってくれました 。
「子育てのために働けないと我慢するのは、子どもにとっても少し違うかもしれません。お母さんもやりたいことをやっている方が、子どもも嬉しいはず。短い時間で働く方法や家でできることもたくさんあります。働きたいと思ったら、躊躇せずに飛び込んでみてほしいです」

一杯のコーヒーと美味しい野菜パン、そして温かいコミュニティ。身近な場所にあることで、誰かと繋がり安心できる居場所になるのではないでしょうか。
自分の住む町を自分たちの手で暮らしやすい場所にしていきたい。そうした想いや行動を応援し、みんなで育てることが、きっと子ども達の未来に繋がるはずです。

トークセッションの様子は、こちらでご覧いただけます。


YouTube「【SODANE】HTB創世ミモザマルシェ」ライブ配信アーカイブ:

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この記事を書いたのは

森さやか(HTBアナウンサー)

夕方の情報番組「イチオシ‼」MCを担当するなど20年出演。
ラーメンの食べ歩き歴25年。2児の母。
絵本セラピスト、防災士、ワークライフバランスコンサルタント、笑顔のコーチング指導員としても活動中。

コミュニケーション・話し方/接遇マナー/アンコンシャス・バイアス/ハラスメント研修など、講演活動も多数行う。
ジェンダー平等の課題解決を目指す「ジェンダーコレクティブ北海道」にも参画。

地域課題の取材を通して、子育てや介護、病気などの事情を抱えていても、自分らしく生きられる社会を目指し、北海道の地域や企業の事例・取り組みを紹介している。

<これまでに制作したドキュメンタリー番組>
■平成28年日本民間放送連盟賞 特別表彰部門「青少年向け番組」優秀賞を受賞
「おはよう。いただきます。さようなら。~弁華別小学校最後の一年~」
https://www.htb.co.jp/hn/log/2016/04021053/

■北海道映像コンテスト2019 番組部門(放送)で優秀賞
「ごはんだよ。~にじ色こども食堂~」
https://www.htb.co.jp/hn/log/2018/05051000/