ツルをシンボルにしたまちおこしが生んだ「奇跡」 ~自然と共生して生きる、第一歩~
2020.06.25
#HTBノンフィクション空き地だった遊水地に国の特別天然記念物タンチョウを呼び寄せるという、
世界でも例のない取り組みを追ったHTBのドキュメンタリー「たづ鳴きの里」。
この番組のPRに打ってつけな名前のHTBスタッフが、おとといに続いて、見どころを紹介してくれました。
HTB編成部の鶴羽舞子(つるはまいこ)と申します。
タンチョウの生息する釧路湿原のそばで幼少期を過ごしました。
HTBノンフィクション「たづ鳴きの里~タンチョウを呼ぶ農民たちの1500日~」は、
私にとって、他人事とは思えない番組です。番組の取材にあたった沼田博光ディレクター、小山康範カメラマンに、印象に残ったことを聴きました。
札幌のすぐそばにある、幻想的な風景
ドキュメンタリーの舞台の長沼町は、札幌から車でわずか50分ほどの場所。
「こんなにもすぐそばに、幻想的な風景があったなんて」。取材で初めて長沼町を訪れたとき、小山カメラマンはとても驚きました。
長沼町に舞い降りたタンチョウが見せる、自然体の姿。美しさをそのまま伝えるため、風景とタンチョウが1つの構図に収まるように工夫をしたといいます。
風が揺らぐ中、ゆったりと過ごすタンチョウ。輝く水面のそばで、大きな鳴き声をあげるタンチョウ。時間を積み重ね、子孫を残していくタンチョウ。
小山カメラマンは、ありのままの姿を見つめ続ける中で“命の重み”を感じたそうです。
ツルをシンボルにした「まちおこし」が、奇跡を生む
「これはね、ツルをシンボルにしたまちおこし、地域おこしなんです」と、
5年間取材にあたった沼田博光ディレクターは話します。
“遊水地をタンチョウが住める環境に作り替えて、100年以上前に長沼町に生息していたタンチョウを呼び戻そう”という、一見無謀とも思える挑戦。沼田ディレクターは、挑戦の背景に、人口が減りマチの置かれる状況が深刻さを増し続ける中『なんとかこのいい地域を残したい』と願った町民たちの想いがあると感じています。
タンチョウを呼び戻す環境を作るためまちの人たちが1つになっていく様子、タンチョウが訪れるようになると今度は「ペアで来るようになったね、早く結婚してほしいね」と“ちょっと先の未来”を気にかけ続ける様子・・・。
みんなの気持ちがどんどん高まっていく様子を、一緒にわくわくしながら見つめ続けられたことが、沼田ディレクターにとって一番心に残りました。
自然と人が共生するということ
「ツル、来ていない?」「ツル、いる。ここがいいのか離れないの。ここはいいねえ、いい所だねえっていいながら2羽で歩いているんだねえ」
町民の方々が話す様子を見ていると、タンチョウの存在を、同じ土地に暮らす“町民”として受け止めていることが伝わってきます。
豊かな自然と一緒に暮らす。そのために、隣人たちを良く知り、彼らと関わり続ける。
“自然との共生“が、長沼町で始まりました。
自分たちのすぐそばにある自然に目を向けて、知っていくこと。「たづ鳴きの里」は、
その大切さに気が付かせてくれる番組です。
「たづ鳴きの里~タンチョウを呼ぶ農民たちの1500日~」
6月27日(土)午後1時30分~(北海道ローカル)
<ナレーター> 森さやか 藤村忠寿 嬉野雅道
<番組サイト>https://www.htb.co.jp/hn/
*たづ(鶴)はタンチョウのこと 万葉集で数多く詠まれている
例)若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴(たづ)鳴き渡る