FFFFF編集後記、前回(鈴木遼太郎投手&高山優希投手編)に続いて、今年の沖縄キャンプこぼれ話です。
今回はまず、肘の手術からの復帰を目指すプロ4年目の右投手、田中瑛斗投手から。
清宮幸太郎選手を1位で指名した2017年のドラフト会議。田中投手も3位という高い評価を受けて、大分・柳ヶ浦高校からファイターズに入団しました。当時の登録は、184センチ70キロ。すらっとしたスタイル抜群の…。ん??ちょっと細すぎないかな??という印象を抱かせるほど細く見えた田中投手。その辺り、ルーキー時代の本人に確認したところ、あっさり白状しました。「ほんとは62キロです」。小学校時代から食トレに励んできたものの、全く成果は上がらず。カリッカリの体でプロの世界に飛び込むことになりました。それでも、現在は79キロまでジャンプアップ。やっぱりその人その人で体が大きくなる時期はあるものですね。
去年7月の手術から半年が経った沖縄キャンプ。田中投手は、初日からブルペンに入り、投球練習を行いました。1月の自主トレ期間中は下半身が上手く使えず球速が出ないと悩んでいましたが、キャンプに入った途端、140キロ近いスピードをマーク。間もなく、“田中瑛斗、実戦復帰”のニュースが飛び込んできそうです。
今シーズンの目標は「3月に実戦復帰して、4月はしっかりファーム。5,6月ぐらいから一軍に上がって5勝!」と答えてくれました。もうちょっと一気に駆け上がってくれてもいいのになと、おじさんは思っています。
田中投手と同じく右肘にメスを入れた石川直也投手は、復帰までもう少し時間がかかりそうです。
今シーズンがプロ7年目。150km/hを優に超えるストレートを武器に、入団3年目の2017年、37試合。その後2018年52試合、2019年60試合と、着実に一軍での登板数を増やし、チーム内での存在感も大きくなっていきました。しかし、去年8月、右肘の靭帯再建手術、いわゆる“トミージョン”手術を決断。実戦復帰は、術後1年が経過する今年の8月後半を目指しています。「試合復帰に向けていい状態に持って行って、怪我をする前よりもパワーアップして戻って、どのポジションをやるか分からないですけど、そのポジションで力を発揮できればなと思います」。
余談ですが、このインタビューを撮影した日、練習を終えた石川投手を発見した時にはカメラマンが近くにいなかったんですね。その旨お伝えしたところ、「待ちますよ」とさらっと一言。いい人です。
さらに余談ですが、トミージョン手術って怪我した腕の手首から靭帯を移植するんですよね。あれ、不思議じゃないですか?投げない手の方がいいんじゃないの?って思っていたんですよ、私は。どうやら同じ手の方が靭帯が馴染みやすいんだそうです。石川投手が教えてくれました。いい人です。
続いては、今シーズン11年目を迎える外野手、谷口雄也選手。
春のキャンプは、若手選手に交じってファームで汗を流していました。そのことに関して本人に聞くと、溢れる思いが返ってきました。
「自分の立場というのものは自分が一番知っている。誰が何と言おうと。一日一日を自問自答しながら、今日はやったなとか明日に備えようとか、もうちょっと出来るかなとか考えながら一日を過ごせたらいいと思う。野球選手である以上、頭から出るとか散々今まで言ってきましたけど、一人の人間としての価値を高めるための取り組み、周りから良く見て欲しいという、そういう思いは全く無いので、そういうこだわりをもって、国頭スタート(注:二軍スタートの意)という立場も含めて、今は過ごしています」。
昨シーズンは、二軍の試合で3割5分を超える高い打率を残しながら、一軍でのチャンスは僅か9打席しかありませんでした。
「自分の悔しさというか、それが今年の燃料となっているだけなので。あとは、去年以上の数字を残すだけ。ファームの数字もそうだし、一軍に上がったら一軍の数字もそうだし。去年のシーズンより上回った数字を残すことが今シーズンに繋がると思います」。
繋がるのは、来年ではなく今シーズン。強い覚悟が臨む一言でした。
それぞれの思いと、それぞれの立場。ファイターズという一つのチームの中で様々なドラマが動きながら、今年もプロ野球の季節が始まろうとしています。
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