プロ直伝!「予算1000円で、4人家族が喜ぶ、ごちそうレシピ」。
今回、この企画を引き受けてくれたのはミシュランガイドの北海道版でも星を受けたことがある札幌市中央区のフランス料理、「レストラン ミヤヴィ」です。
こんな有名店が、たった1000円の予算で、一体どんなレシピを考えてくれたのでしょうか!?
『どうぞ、今日はいいものできていますので、ぜひ堪能していただけると思います。』
大きなL字カウンターが印象的で和の趣を感じる落ち着いた雰囲気の店内。
オーナーシェフの横須賀雅明(よこすか まさあき)さんは、14歳で、フランス料理の道を志し、東京の有名ホテル(=ホテルオークラ東京)で修業。24歳で、フランスへと渡りました。
現地で5年間、料理の腕を磨き、その後、世界最高レベルと言われる「ザ・ウインザーホテル洞爺 ミシェルブラス トーヤ・ジャポン」では初代の日本人料理長を勤めました。
そんな横須賀シェフのお店「レストラン・ミヤヴィ」は日本の食材や食文化を大切にしながらも和のテイストを尊重したその名の通り「雅やかな」個性派フレンチです。
フレンチと聞いて「難しそう」「手間がかかりそう」と思ったあなた!そんな心配は、ご無用です。
さっそく、1品目のご紹介です。
【牡蠣とリンゴと水菜の春巻き 柚子胡椒とヨーグルトのソース添え】
春巻きの皮 4枚 19円
むき牡蠣 4個 140円
水菜 1/2束 54円
リンゴ 1/4個 17円
ヨーグルト(大さじ4)18円
柚子胡椒 小さじ1
小麦粉適量
オリーブオイル 小さじ1
赤ワインビネガー(小さじ1/2)
カキはもちろん、水菜やりんごなど冬場においしく、お値段もぐっとお手ごろになる
食材ばかり。かかった費用は調味料を除いて248円です。
フレンチシェフのアイデアで家庭の定番人気メニュー「春巻き」が大変身します。
横須賀さん『まずは水菜ですね。おいしい季節になっています。』
下の方をとって、1.5cmくらいに、割と短めにザクザクと切っていきます。
刻んだ水菜に、塩を振り、しんなりして味がなじむまで10分ほど置いておきます。
その間に、メインの食材を下ごしらえ。
横須賀さん『牡蠣ですね。このままだと少し水分が多いのでペーパーで水切りします。一番の失敗が春巻きの皮が破けることなので、破けないように(牡蠣の)水分をしっかりととることですね』
リンゴを小さめのさいの目切りにしたら下ごしらえは終了。
続いてはこれらの具材を皮で包んでいきます。
刻んだ水菜とリンゴ、そして牡蠣をまるごと1個、贅沢に入れちゃいます。
中に空気が入ると揚げる時に破裂してしまうこともあるので海苔巻きを作る要領で、巻く時にしっかり手で押さえながら巻いていきましょう。
まいたものを揚げていきます。
横須賀さん『油の温度は170℃から175℃くらい ちょっと低めから始めてだんだん火を強くしていってください。牡蠣にしっかり火を入れたいのと、破裂を避けるためです。こんがりとしたキツネ色になったら出来上がりのサインです』
こちらの春巻きはポン酢で食べてもおいしくいただけますが、横須賀シェフは予算内でソースも作ってしまいます!
横須賀さん『ソースを作っていきます。ヨーグルトそのままだと柔らかいので1時間くらいペーパーで水切りをしたものです。』
水切りしたヨーグルトに、
・柚子胡椒 ・ワインビネガーまたは酢、そして・オリーブオイルを入れ、よく混ぜ合わせて完成です。
柚子胡椒がなければ、七味を使ってもよく合います。
最後は盛り付け。ソースを小さな器に入れて添えればそれだけで気分も上がるビジュアルに!
今が旬の牡蠣、リンゴ、水菜を一度に味わえる贅沢な一品。特製ソースのさわやかな酸味も食欲をそそります。
続いて2品目は?
【タラのロースト カリフラワーのスープ仕立て キャベツ添え】
タラの切り身 4切れ 220円
カリフラワー 1/4個 129円
長ネギ 1/2本 25円
牛乳 400ml 60円
昆布 5g 17円
キャベツ 1/4個 25円
レモン1/2個 15円
オリーブオイル適量
4人分の食材でかかった費用は、調味料を除いて491円です。
今がまさに旬の魚・タラを使ってどんな料理ができあがるのでしょうか。
横須賀さん『では、まず長ネギをうすくスライスします。今はリーキという洋ネギも手に入りやすくなりましたのでリーキでもいいですし、タマネギでも代用は大丈夫です。』
まずはこの長ネギを炒めていくのですが、ここでポイントがひとつ。
横須賀さん『「炒め煮る」というかフランス語では「スエ」 といって汗をかかせるというんですが弱火で野菜から水分が出てくるようにゆっくり火を入れて行きたいと思います。そうすることで、ネギの甘みが生かされる』
続いて、カリフラワーを小さく刻み、こちらも一緒にフライパンの中へ。弱火のまま、じっくり、ゆっくり火を通していきます。
ある程度、熱が通ったら、昆布だしと牛乳を入れ、弱火のまま煮込んでいきます。昆布の代わりにかつお節でもOK。20分ほど煮込めばこれで「ソース」が完成です。
横須賀さん『きょうのメイン食材、タラです。こちらは塩を振って30分間ぐらい置いてください。美味しくなるポイントでもあります。』
タラは水分の多い魚、しっかりとふき取って、弱火でじっくりと、皮の面を焼いていきます。
横須賀さん『こんな感じで焼き色がでています。ここで「落とし蓋」をして、火を止めちゃいます。ここがポイントで決してタラをひっくり返しません。このまま皮面だけ焼いて、身までしっかりと、しっとりと火を入れたいと思います。』
そして、いよいよ仕上げに!煮つめたソースはそのままでもOKですがミキサーにかけるとさらに滑らかな味わいに。
千切りキャベツを塩でもんだら軽く炒め、レモン汁を加えます。レモン汁の代わりにお酢を使ってもOKです。
横須賀さん『魚ですね。魚はだいぶ火が入りましたね。』
強火で皮に焼き色をつけたら調理は完了。仕上げの盛り付けです。
器にソースを注ぎ、つけ合わせのキャベツを入れてその上にメインのタラをのせれば完成…
でもOKですが、
あればレモンの皮をすりおろすか、レモン汁を軽く絞って
一品目で残った水菜を飾れば・・・
2品目は4人分、たった491円という費用でまるで本格的なフレンチのようなビジュアルのメインディッシュが完成です。じっくり火を通した旬のタラに、ミルクソースとキャベツが絡んでおいしそう!
ここまで2品で、かかった費用は、合計739円。
残りの予算は、わずか261円です。
なんと横須賀シェフ、フレンチには欠かせないシメのデザートも予算の中で作っちゃいます。
【豆乳のフラン リンゴのコンポート 酒粕 のクリーム添え】
フランスの家庭ではよく作られる伝統的な蒸し菓子、『フラン』を作ります。
家族4人分の食材で、費用は259円。
豆乳 360g 64円
生クリーム 50g 50円
リンゴ(1個)67円
酒粕 15g 12円
卵4個 40円
牛乳 50ml 23円
ゼラチン 2g 3円
砂糖 20g
まずは、豆乳とグラニュー糖を中火にかけます。これはグラニュー糖を溶かすためだけなので沸かす必要はありません。人肌に温めてください。
次に、卵の卵黄だけを取り出すのですが、実は、これがポイント。
横須賀さん『私のフランは卵黄だけを使います。そうすることで卵くささがなくて、より濃厚なクリーミーなフランに仕上がります。』
取り出した卵黄に、先ほど温めた豆乳を加えたら泡だて器でよくかきまぜます。それを器に入れて、蒸し器の中へ。裏ごしをすると、一層なめらかに仕上がりますよ。
横須賀さん『湯せんをしてオーブンで火を入れることもできますし、ご家庭の電子レンジで茶碗蒸しの機能を使ってもできます。』
フランと一緒に角切りにして、砂糖を加えたリンゴも蒸し器に入れておきます。後ほど盛り付けの際に使います。
横須賀さん『続きましてゼラチンですね。私たちは板ゼラチンを使いますが、スーパーで売っている粉ゼラチンでも大丈夫です。2gを水でふやかしてください。』
続いては「フラン」の味の決め手となるソース。横須賀シェフは今回、敢えて和の食材“酒粕”をチョイスしました。
鍋に材料を入れたらひと煮立ち。火を止めたらゼラチンを加えてさらにかき混ぜます。
そしてここにホイップクリームを加えます。手早く済ませたい方は市販のものを使ってもOK。
生クリームを泡立てるときのポイントとしては、水にあててあわ立ててください。
冷やしながら混ぜることによって気泡が細かくなりますので、すごくしっかりした泡になります。
そして、酒粕のソースとよく混ぜ合わせてください。
さきほどのフラン、火を入れてから、よく冷やしたものになります熱を通したリンゴは、シロップを十分に切り、フォークなどで粗めにつぶします。 その狙いは・・・。
横須賀さん『 少しつぶしたほうが、フランと一緒に食べたとき、口の中でうまく混ざりあいますね。』
一緒に蒸し器に入れておいたリンゴは少しつぶしながらフランに盛り付け、最後に酒粕のクリームをトッピング。
こちらが、〆のデザート、豆乳のフラン。なめらかな舌触りのフランに、甘酸っぱいリンゴの酸味と酒かすクリームの甘さがマッチ!
かかった費用は、4人分で259円です。1000円以内に収まりました!
横須賀さん『 大変でしたけども、季節の食材を使った、ミヤビィの特色をうまく表現しながら家庭でもできる料理が出来たかと思います。ぜひ皆さんに、試していただければ光栄に思います。』
「Restaurant MiYa-Vie」
札幌市中央区北3条西26丁目3-8. N2ビル地下1階
営業時間
●ランチ12:00〜14:30(土・日・月)
●ディナー 18:00〜22:30(水〜月) ※毎週火曜・第4水曜 定休