毎日の献立にお悩みの主婦を応援する企画、プロ直伝「4人家族が喜ぶごちそうレシピ」。
家族4人分、税込1000円以内の材料費(冷蔵庫や台所にある調味料等は費用にカウントしません)で、
プロの料理人が材料費の計算を行いながら、家族4人が喜ぶ絶品料理のレシピを紹介。
今回は、日本料理のプロが参戦。ドカ雪&寒い冬に温まる料理のレシピとは?
今回、この企画に協力してくれたのはさまざまな飲食店が鎬(しのぎ)を削る激戦区エリア・円山にある 「まるやまかわなか」。
さまざまなメディアでも取り上げられ、国内はもちろん海外にもファンを持つ、正統派日本料理のお店です。大将の川中謙介(かわなか けんすけ)さん。
「まるやまかわなか」の名物メニューと言えば、見た目も鮮やかな、「野菜の握り寿司」。
なす、しいたけ、レンコン、オクラ、トマトなど、食材ごとに仕込みを変えて提供しています。なすは、一度焼いて、カツオの一番ダシにつけています。しゃりは、酒粕から作る「赤酢」(あかず)を使うなど味のこだわりは、天下一品。この宝石のように美しいお寿司たちは店内はもちろん、テークアウトでも楽しめます。
国内外にファンを持ち、数々の技能コンクールでも受賞歴を誇るまさに「日本料理の匠」ともいえる、大将の川中さん『調味料の分量さえあっていれば、お家の冷蔵庫にあるもので簡単にできるそういったことをコンセプトにつくりました。ぜひご家庭でも作ってください。』
石川の郷土料理『鶏の治部煮風』
「治部煮」とは本来、鴨肉をメインに、季節の野菜などを煮て作る石川県の郷土料理。
川中さん『「治部煮」という名前には諸説あって、炊く時にジブジブ音がするから「治部煮」になったとか・・・。本来は、鴨肉を使ったり、金沢の「すだれ麩」ですね。味が馴染む「お麩」なんですけども そちらを使うものが「治部煮」と言われるものになります。』
一見、ハードルの高そうなこの料理を和食の匠がとっても手軽にアレンジ!
一品目、4人分の食材がこちら。かかった費用は、調味料を除いて 323円です。
まずはダシ。それと調味料を入れていきます。(出汁は顆粒でOK!)濃口しょう油とみりんを入れ、火にかけます。そこに、「ささがき」にした「ごぼう」を入れて「旨味」を引き出します。
煮立ってきたところに、「しいたけ」をいれますがここで、匠からアドバイスが。
川中さん『生の椎茸を使いましたけども こちら「干し椎茸」の方がいいかもしれません。干し椎茸しか持っていない「グアニル酸」というアミノ酸があるので、そのアミノ酸が溶け出していい合わせダシになります。』
「しいたけ」に火が通ったら、焼き目をつけたネギを入れます。焼かなくてもいいんですけど、香りが欲しいので、予め今回は焼いているそうです。
手に入りにくい鴨肉の代わりに匠がチョイスしたのは鶏肉。そして、最大のポイントはここからです。
川中さん『「治部煮」というのは、お肉に直接粉をまぶして・・・で、直接鍋に落としていきます。後からとろみをつけるわけではないので、失敗しない。今回は、鶏肉でしたけども、本来は鴨肉ですし、お家に豚肉があれば、豚肉でもいいですし、お魚でもいいですね。この粉を打つことによって、旨味がギュッと、中に閉じ込められるので本当に、食材を選ばない、なんでもできる万能な料理なんです。』
鶏肉に火が通ったら、盛りつけです。本来は、「麩」を使いますが、匠はお餅で代用。食べ応えもアップして、家族が満足するように!というアイデアです。
旨味を閉じ込めた鶏肉、そして、とろみがついた煮汁を入れて…、最後に、わさびを添えたら「鶏の治部煮風」の出来上がり!
川中さん『本来、煮物は、一回炊いて冷ます過程で具材の中に味が入っていくんですけども。とろみがつくことで、だしが素材に絡むんですね。これなら、すぐ食べられる。これがメリットですね。』
日本料理のテクニックを簡単に応用した「鶏の治部煮風」。「甘辛い煮汁」が、フワフワの鶏肉を包み込み、焼いたネギとお餅の香ばしさがたまりません!
酸っぱい麺 サンラータンをカンタンに!
次は、「カンタンサンラータン」を作っていきます。
4人分の食材がこちら。かかった費用は、273円です。
「酸っぱ辛い」スープがヤミツキになる「サンラータンメン」。今回は、「麺」の代わりに「くずきり」を使います。
まず、水を鍋に入れて、火にかけてください。そこに、市販の鶏ガラの顆粒だしを入れていきます。
そこに、千切りにした「ニンジン」。さらに、水で戻した「きくらげ」を入れます。「きくらげ」がなければ、「しめじ」や「しいたけ」などの「きのこ」を入れてもOKです。
川中さん『今年の冬は、結構寒いので、体を温めるのに辛いものがいいんじゃないかなと…。
なんとなく思いついたのが「サンラータン」だったという・・・。』
スープが煮立ってきたところで、調味料を入れていきます。濃口しょう油、そして、酢です。
酢を入れたところで、麺を投入します。
「しらたき」でもいいですし、麺の形状のものであれば、何でも「サンラータンメン」風に。
ここで、「長ネギ」を入れたあと、さらに「ラー油」を入れて、味を引き締めます。辛いのが苦手な方は、「ごま油」で代用ください。
煮立ってきたところで溶いた卵を回し入れていきます。ひと煮立ちしたら完成です。
『やっぱり青味がある方が見た目にも引き締まるので、今回は「チンゲンサイ」を使いましたけども、お家にある青菜であれば、「ほうれん草」でもいいですし「小松菜」でもいいですし、なんでも大丈夫です!』
あっという間に2品目が完成です。かかった費用は、273円。
「くずきり」を使うことでヘルシーに仕上がり、「酸っぱくて辛いスープ」が冷えた体にとっても嬉しい「カンタン・サンラータンメン」。
ここまで、ご覧の2品で、かかった費用の合計は596円。
残りの予算は、404円となりました!
『悪魔の混ぜごはん』って何?
では最後、メインの「悪魔の混ぜごはん」を作って行きたいと思います!
えっ。悪魔…?なんだかコワイんですけど、川中さん、それっていったいどんな料理なんですか~~!?
ここまでご覧の2品で、かかった費用は596円。
残り 404円の予算で、日本料理の匠が作るのは…「悪魔の混ぜごはん」
家族の笑顔が想像できるようなユニークなネーミング!果たして、その料理の正体は…!?
天かす、のり、ごま、が混ざった混ぜご飯。今回それを少しゴージャスに作るとか。
「低カロリー」で「ヘルシー」が和食(日本料理)料理の魅力ではありますが今回は、その正反対!匠をして「悪魔」と言わしめる、パンチ力のある混ぜご飯が完成します!
材料は旬の食材「春ます」をメインに至ってシンプル。4人分で、403円。
研いだお米は大体1時間くらい浸水。お米を入れたら、同じ量のだし汁。
そして、調味料で味を整え、火にかけ、炊飯していきます。
お米が炊けるまでの間に、匠は、「混ぜごはん」の具材を準備。
なんと、ここで!「てんぷら」の下ごしらえを始めました!
川中さん『衣を作るポイントとしてはですね・・・、ダマなんて、まったく気にしない。完全に混ざってないようなくらいの感じの方がサクッと揚がります。今回、天ぷらに使う食材として、匠が選んだのは、旬の「春マス」ですが・・・実は、お魚に限らないんですね。お肉でも野菜でも 実は、悪魔の混ぜご飯になるんです。』
そして、ここでもう一つポイントが。
川中さん『本来、「天ぷら」って、少し衣を薄めに作るかなって思うんですけれども、今回、混ぜご飯のメインになるので、少し厚めの衣で揚げていきます。』
「春マス」は、低めの温度でじっくり揚げます。中まで火が通ったら、天ぷらの出来上がり・・・。
ご飯が炊きあがったら・・・
混ぜご飯の「薬味」を混ぜます。この混ぜご飯は、薬味が決め手になりますので、たっぷり使いましょう。
匠は、「小ネギ」や「ごま」を使いましたがシソや生姜など、お好きな薬味を用意すればOK。
悪魔の混ぜご飯はいよいよ仕上げにさしかかります。
溶かしバターを回しかけていきます。ご飯と相性抜群のバターをかければ風味がぐんとアップ。
あとは、豪快にかき混ぜれば、出来上がりです。
「悪魔の混ぜごはん」。かかった費用は、403円です。だしの風味と、天ぷらの風味がベストマッチ!ボリューム満点の一品です。
今回も調味料を除いて、1000円以内に見事、収まりました!
川中さん『最初に話を伺った時は、1000円ももらえるんだなって思いました。料理のコンクールという世界で戦ってきて、実は、そのコンクールっていうのも和食の「一汁三菜」という中でいくらいくらでやれっていうのが、そもそも決められているので、決められた金額の中で何かを作るというのは慣れているというか…』
さすが、日本料理のプロ!
川中さん、ご協力ありがとうございました!
【ご協力いただいたお店】
日本料理まるやまかわなか
https://maruyama-kawanaka.owst.jp
2011年、飲食店の激戦区・円山エリアにオープンした「日本料理まるやまかわなか」。割烹・会席など、正統派の日本料理をリーズナブルに楽しめるお店。オーナーで料理長の川中謙介さん(40)は、数々の技能コンクールで受賞歴を誇る料理人。今回も材料費1000円という「お題」は、苦にならなかったという。多数のメディア出演など、ユーモラスなキャラクターで人気。
営業【ランチ】 11:30~15:00
【ディナー】18:00〜20:00 火曜定休
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