札幌・南区のリンゴを原料にした酒づくり…人口減少と高齢化が進む南区に活気を 脱サラ酒店主の挑戦

人口減少や高齢化が進む札幌市南区。

真駒内にある酒店の店主が地元の果物を利用したお酒作りなどに取り組んでいます。

木のぬくもりを感じるあたたかい雰囲気の店内に並ぶお酒。

200を超えるこだわりの日本酒やウイスキーを取り揃えた「根本酒店」。

札幌市南区真駒内にあるこの店を営むのは根本厚志さんです。

【根本酒店・根本厚志さん(35)】

「日本酒も一升瓶とかで買うとなかなか高いんですけど、それを実際、お手頃な値段で飲んで試したうえで買えるっていうのがいいかなって思うので。」

厚志さんが、代々続く酒店を伯父と父から継ぐため真駒内に帰ってきたのはおととし。

東京の大学を卒業後大手家具メーカーにおよそ12年勤務。全国を転々としていました。

【根本さん】

「すごい悩んだんですけど10年後とかに、僕が継がなくて、代々やってきた酒屋がなくなるっていうのは後悔するんじゃないかなって。最後はそこだけですね。」

真駒内に戻ってまず取り掛かったのは、店の隣にあった倉庫の改築です。

新たな販売スペースのほか店内で買ったお酒が飲める角打ちも併設した日本酒とウイスキーの専門店を去年4月にオープン。

夏には店の前にテントを設置して、屋外でもお酒を楽しめるイベントを行いました。

札幌・南区のリンゴ01.png

角打ちスペースを店内に新設!

【父・根本祐治さん(70)】

「普通の酒屋やってもいま儲からない時代だから年寄りの考えではなくて若い人の考え方で色々やんなきゃ酒屋としても生きてはいけないんじゃない/心配だ、これから先。」厚志さんが真駒内に戻った理由は、「地元に活気を取り戻したい」という思いでした。

20年ほど前までこの辺りはボウリング場や商店、飲食店などで賑わう繁華街でした。

しかし現在、南区は、札幌10区の中で人口減少と高齢化が最も進んだエリアに。

地域を盛り上げる起爆剤として厚志さんが目をつけたのは「リンゴ」。

地元・南区のリンゴを使ったお酒をつくることにしたのです。

【根本さん】

「1本の木から何玉くらいなるんですか?」

【砥山ふれあい果樹園瀬戸修一さん】

「20キロのコンテナで6つとか8つとれますから」

酒店の3代目・根本厚志さんが地元・南区を盛り上げる起爆剤として目をつけた「リンゴ」。

【根本さん】

「祖父の代までリンゴ園を真駒内でやってて。今酒屋なので、シードルだったりとかアップルワインみたいな部分にたどり着いたっていう感じです。根本商店として、商売やっていくプラス地域を盛り上げるっていう」厚志さんが考えたのは、リンゴを発酵させたお酒「シードル」の商品化です。

シードルの原料となるリンゴは、南区で100年近く続く果樹園にお願いすることに。

こちらを営む瀬戸修一さんも20年ほど前に関東からUターンしました。

札幌・南区のリンゴ02.png

南区で100年以上続く果樹園で…

【瀬戸さん】

「続いてきた歴史とかね、産業とかそういうものがね、途絶えちゃったり、なくなっちゃうんで、どんどんやれること、やりたいことはやった方が良いと。一緒にじゃあやりましょうか、となったんですね(笑)」

山も色づいた10月、青かった実も赤く染まり、収穫の時期を迎えました。

【根本さん】

「これくらいの色だったら大丈夫ですか?」

【瀬戸さん】

「うん、大丈夫ですね」

厚志さんが、シードルのメインの品種に選んだのは「ハックナイン」。

北海道で開発された品種で、強い甘みと酸味、果汁の多さが特徴です。

【根本さん】

「北海道の(リンゴ)っていうのと、酸味とかもあった方が美味しいお酒になるみたいなので。」

南区で育ったリンゴ。熟したものを選び、ひとつずつ丁寧に収穫していきます。

札幌・南区のリンゴ03.png

強い甘みと酸味が魅力の「ハックナイン」

12月、果汁をしぼる「搾汁」のため、厚志さんは、長沼町にあるマオイ蒸溜所を訪れました。

【根本さん】

「これが搾汁機ですか?」

【マオイ蒸溜所・村井弥さん】

「はい、これがリンゴの搾汁機になります。ここにリンゴを入れて機械がすりつぶしてカスと液体を分ける機械になっています。」

リンゴの果汁は酵母と一緒にタンクに寝かせて、一次発酵させます。

2か月後、一次発酵を終えた液体は、アルコール度数6パーセントほどのアップルワインの状態に。

今回、厚志さんが持ち込んだリンゴはおよそ600キロ。

最終的にはビン650本分のシードルになる予定です。

【根本さん】

「香りがいいですね!結構辛口になりそうですね」

【村井さん】

「香りがしっかりあるので、仕上がりが楽しみですね。夏、外で飲みたいですね」

【根本さん】

「そうですね(笑)」

【村井さん】

「(根本さんは)すごい熱意のある方なので何か一緒に協力してできたらいいなと思いまして。僕も生まれが南区だったのでこれもご縁かなと。是非、協力して一緒にいい酒つくりたいねって」

ここからさらに酵母と糖を加え瓶の中で二次発酵。シードルが完成するのは、およそ4か月後です。

【根本さん】

「いよいよ製品に近づいているなっていうのでわくわくしてますし、いろんな人に南区の魅力っていうのを、今回のシードルをきっかけに知ってもらえればいいなって。」

札幌・南区のリンゴ04.png

シードルは227月ごろに完成予定

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この記事を書いたのは

HTB北海道ニュース

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