消えた男子高校生… 恵山で行方不明になり2年
2022.05.18
#北海道約3年前に、山梨県道志村で行方不明になった女の子のニュースが報じられる中ですが、北海道でも行方が分からなくなったまま今も見つかっていない男子高校生がいます。
【写真1】行方不明当日、山頂で撮られた写真(提供:北海道警察)
当時高校1年生だった函館市の佐藤晶(さとうしょう)さん。
2年前の2020年5月15日、函館市東部の恵山に登り、下山中に行方が分からなくなったまま今も見つかっていません。
当時、函館支局にいた私。捜索活動を取材した時のメモを読み返しました。
恵山ってどんな山
【写真2】恵山
函館市の東部にある恵山は標高618メートルの活火山です。山頂付近は、木々がほとんどなく岩場がむき出しになり、所々から白い煙が出ていて硫黄のにおいが漂っています。標高300メートルのところにある火口原駐車場までは車で行くことができ、駐車場から山頂までは整備された登山道が3キロほど。約1時間で登れることもあり、気軽に登山に挑戦する人も多い山です。
「先に行く」 下山中に行方不明に…
佐藤晶さんはこの山に2年前の2020年5月15日、姉2人と登り、下山中に行方が分からなくなりました。取材で分かっている当時の状況です。
【写真3】行方不明になった経緯
佐藤晶さんが恵山に登るのはこの日が初めて。黒のジャンパーに黒のズボン、白いスニーカーという軽装で、所持金はなく水や食料も持っていなかったといいます。携帯電話も普段から所持していませんでした。
警察が通報を受けたのは午後7時53分。すでに日が暮れていたこともあり本格的な捜索は翌日16日の早朝から始まり、自衛隊や警察、消防などが地上からも上空からも隅々まで捜索しましたが、佐藤晶さんを見つけることはできませんでした。
一体、どこに消えたのか…
木が生い茂っているわけでもなく、岩肌がむき出しの山で一体どこに消えたのか…
当時、警察や捜索に加わった登山愛好家たちも全く手掛かりがつかめず、謎が深まるばかりでした。私も手掛かりを見つけるべく、山頂まで登ったことがあります。
【写真4】登山道の様子
登山道は比較的整備されていて、周辺には草程度の植物しかなく見通しもよい印象を持ちました。しかし、足元には大きな石が転がり、滑りやすい砂で覆われている場所もありました。登る際にはそこまで気にはなりませんでしたが、下りる際には一歩踏み外すと滑落の危険性もあると、少し恐怖を感じたのを覚えています。
【写真5】恵山に詳しい登山愛好家の話
ただ、佐藤晶さんが仮に足を踏み外して滑落しただけであれば、木々も少ない環境ということもあり連日の捜索で見つかってもおかしくないはずです。そこで登山愛好家たちが目を付けたのが、東側に広がる樹林帯です。もしここに、滑落したり転げ落ちたりした場合は木々が生い茂り上空からは簡単には見つけられません。
【写真6】西と東の駐車場
佐藤晶さんが姉2人と車を停めて登山を始めたのは西側にある火口原駐車場です。しかし、登山道からは東側にあるホテルの駐車場も同じように見えることから、駐車場を勘違いして木々が生い茂る東側に降りて行った可能性があるというのです。この東側は急斜面になっていて捜索も手薄になっていたエリアだったため、有志の登山愛好家たちが集まって捜索を実施。しかし、残念ながら手掛かりは見つかりませんでした。
行方不明から2年
【写真7】行方不明当日、山頂で撮られた写真(提供:北海道警察)
一体どこに消えたのか…
佐藤晶さんが行方不明になってから2年。いまだ手掛かりはなく、警察は情報提供を呼び掛けています。
情報提供先:函館中央警察署0138-54-0110