洋食のプロ直伝。予算1000円で4人家族が喜ぶ ごちそうレシピ。今回も「家計にやさしく手軽でおいしい」料理をご紹介します!
今回この企画に協力してくれたのは、札幌市中央区 すすきのにある洋食の名店「ビストロ ポワル」。
こちらのオーナーシェフ、早貸大吾(はやかしだいご)さんは、15歳でこの世界に入り、札幌パークホテルなどでも腕を振るってきた、一流の料理人。
さらに料理を生かしたイベントのプロデュースも。
畑で出張レストランを開いたり、フランスのシャンパン会社の雪まつりでのイベントなど、食に関する仕掛け人としても有名です。料理の専門学校で料理を教えているプロ。
そんな早貸シェフが作る料理の中でも特に人気が高いのは、具材がないのに、まるで野菜を食べているようと表現されるコンソメスープ。“ダシが命”の料理です。
早貸さん『料理は和食でも洋食でもダシやソースで決まりますから。』
まさに“ダシの達人”が今回考えてくれたのは・・・
早貸さん『洋食だけど、和食でいう一汁三菜を春をテーマに鍋一つで作ってみたいと思います。』
おウチにある調味料を除いて、たった1000円以内でという節約予算で、いったいどんな ごちそうができるのか。
『鍋一つで食材を煮詰めながら、煮あがった食材から取り出して4品作っていきます。この料理法をするメリットは一品一品料理しながらできるので
時間が無駄にならないのです。』
さすがはダシの達人!用意した食材を一つの鍋で一緒に煮込むことで、うま味の詰まったダシを取れるだけではなく、鍋の中で柔らかくなった食材を使い料理を仕上げていく、ちょっとした時短のアイデアです。
鍋ひとつで4品作る!?
まずは大きめのお鍋にお肉と野菜を煮ていきましょう。
最初に豚バラを入れます。そしてスープ用鶏ガラとして売られている格安の手羽先のツメの部分。
早貸さん『これが入るとコラーゲン豊富でコクが出る。鶏の手羽元は味が出やすい・・・昆布はうまみの相乗効果で短時間に、、、水を入れた後、必ず塩を入れてください。食材に味をしっかり入れるため。』
強火で沸騰させたらアクを抜きます。白くなっていたものがどんどん透明になっていきます。透明になったら、水面にポコポコポコと泡ができる程度の火加減で煮ます。そこにじゃがいもを入れて茹でていきます。
他の作業をしながら50分ほど火を入れ、 鶏肉、豚肉に竹串がスッと刺さるようになればOK。
お鍋に入った食材を全て取り出し、達人による“命のダシ”が完成。これを使って、まず一品目の料理から作っていきます。
「春キャベツと手羽元のサラダ仕立て」
使うのは、手羽元と春キャベツ、塩昆布。
手羽元をほぐしあらかじめ塩もみしたキャベツと塩昆布を合わせ、そこに鶏の手羽元を加えて混ぜます。
最初に煮込んでおいた手羽元は、ほろほろと崩れるほど柔らかく、調理も簡単。仕上げに塩とマヨネーズ、オリーブオイルを加えて味を整えたら、1品目が完成です。
塩昆布の塩味が春キャベツの甘味をより一層引き立たせ、甘じょっぱくてうま味たっぷりな、大人も子供も大好きな鶏サラダに仕上がりました。
鶏のほぐし身のふんわり感と春キャベツのシャキシャキ感がたまりません。かかった費用は調味料を除いて163円です。
『新玉ねぎと玉子を使ってアクアコッタ風』
アクアコッタとはイタリア語で「水で煮る」という意味。使うのは、新玉ねぎとトマト、卵、粉チーズです。
“命のダシ”にまず入れるのは・・・
このおいしい煮汁の中にニンニクです。新玉ねぎは煮えて柔らかくなるので、、、ここに香りをつけたいのでハーブですね、、、今回はタイムを。
新玉ねぎが煮えるまでこのまま置いておきます。新玉ねぎが透き通るぐらいになったら黒コショウと塩を少し入れて味を整えます。
スープをカップに入れ、その上に玉子をのせますが、、、
早貸さん『アクアコッタは本来ポーチドエッグとか温泉卵を使いますが、今回は簡易的にゆで卵を使います。最後にその上に粉チーズをお好みで。今回はパルメザンチーズを使いましたが、粉チーズなら何でもOK』
「新玉ねぎと玉子のアクアコッタ風」スープの完成です。
最初に作った“命のダシ”をベースに具材を入れるだけなので、かかった時間はわずか5分。新玉ねぎの甘味とトマトの酸味、そしてタイム のさわやかさ、さらに玉子とチーズのまろやかな味わいが加わり、口の中で味が何層にも広がります。調味料を除いて160円で、こんなスープが家庭で簡単にできちゃうのはうれしいですね。
次はメイン!最初に煮込んだ豚バラ肉を使って、わずか10分で完成します。
「豚バラ肉のブレゼ春菊ソースと新ジャガイモを添えて」
使うのはすっかり煮込んだ豚バラ肉に新ジャガイモ、春菊。大人も子供も大好きな豚バラ肉を使ったメイン料理は洋食のプロならではのレシピ。
豚バラ肉は、一人分のサイズに切って、マスタードをうすく塗ります。
早貸さん『基本的に煮る料理なので、どうしても食感的に、もの足りない部分が出てくるにので、焼いたパン粉をかけていきます。そうすることで、香ばしさと食感が良くなります。』
そしてそこに、味が染みておいしくなったジャガイモを添え、最後にかけるソースが・・・
『春菊と醤油、レモン汁とオリーブオイルをハンドミキサーで混ぜて作った春菊ソースです。今時期なら大葉やバジルで代用
できます。このソースは、冷蔵庫で保存して頂ければ、2週間持つので、ほかの魚料理や鶏モモ焼きにかけてもおいしい・・・』
完成したメイン料理「豚バラ肉のブレゼ 春菊ソースと新ジャガイモを添えて」は、
こんなに厚みがあるのに柔らかく、トロトロな豚バラ肉のうま味がたまりません。
意外にもクセが、全くない春菊ソースが相性抜群です。このひと皿で、家族4人がお腹いっぱいで幸せな気持ちになれます。
かかった費用は調味料を除いて524円です。
早貸さん『スープに盛った後に汁が残ると思うので、ピリ辛煮を作ってみたいと思います。』
手羽先のピリ辛煮
最後に教えてくれた四品目は、手羽先のツメの部分を 命のダシで煮詰めたピリ辛煮。
残った早貸さん特製“命のダシ”に鷹の爪、お酒、みりんを入れます。もちろん辛い物が苦手な方は鷹の爪がなくてもOK。
早貸さん『みりんとお酒は同量で、半分の量の醤油です。沸いたところに、取り出していた鶏のツメ肉を入れていきます。すべての材料を入れたら、あとは5分ぐらい、ゼラチン質が出て、トロンとしてくるまで、煮詰めてください。』
これですべてが完成。
最初にしっかり煮込んでおいたおかげで鶏のつめ肉 は先っぽの部分まですっかり柔らかいとろとろの状態に。味わい深く、コラーゲンもたっぷりでおかずとしてはもちろん、おつまみとしても最高です。家族全員が楽しめる嬉しいひと皿に仕上がりました。かかった費用は、調味料を除いて78円です。
調味料を除いて1000円以内に見事おさまりました。
早貸シェフ、ありがとうございました。
ご協力いただいたお店
「ビストロ ポワル」
札幌市中央区南4条西3丁目第2グリーンビル2階