担当ディレクターが語る!「落日のメガソーラー 問われる自然との共生」貴重な自然生物の危機が目の前に…いま訴えたいこととは?

北海道テレビ(HTB)が制作し、全国放送されるテレメンタリー2025「落日のメガソーラー 問われる自然との共生」…日本最大の湿原「釧路湿原」。その周辺で相次いでいる大規模な太陽光発電〝メガソーラー〟によって生み出されたさまざまな危機を浮き彫りにし、環境保護や国のエネルギー政策について問いかける番組だ。

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担当したのはHTB釧路支局に去年赴任したばかりの高橋海斗記者。取材を続けることで見えてきたメガソーラーの問題とはどのようなものなのか。番組の放送を前にインタビュー取材を行った。

タンチョウの営巣地に建設予定地!?取材で明らかになったメガソーラーの現状

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Q:今回の取材を始めるきっかけは何だったのでしょうか?

髙橋記者:去年12 月に釧路支局に赴任した時に道を普通に走っていると、道端にあるメガソーラーが目について、「釧路湿原という貴重な環境の中で、どういう決まりのもと建設がされているのだろうか?」と気になったので、調べてみるところから始まりました。

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Q:それまで釧路以外のところではメガソーラー見てもそれほど気にしてなかったということですね。

髙橋記者:そうですね。釧路から根室に行く途中の厚岸町・尾幌という地域に、とても大きいメガソーラーの建設地があって「これって景観も含めてどうなんだろう」と思いまして、特に気になるようになりました。

Q:調べた結果、実態はいかがでしたか?

髙橋記者:調べたところ、希少生物に対する保全がなされてない事業者側の問題もわかってきましたし、行政側もちゃんとした決まりを作ってこなかったっていうところに対して驚きました。このままではいけないと感じました。

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Q:希少生物というのはどのようなものでしょうか?

髙橋記者:釧路市の天然記念物であるキタサンショウウオなどです。業者側が作ったキタサンショウウオの生息調査の書類をみてみると、繁殖期は大体4 月から 5 月ぐらいで決まってるんですけど、その繁殖期でない時の調査をしただけでキタサンショウウオはこの場所で繁殖していないという「調査結果」を市に提出していました。その場所にメガソーラーを建設しようとしていたり。本来環境に配慮したするための再生エネルギーが逆に自然環境脅かすような状態になっていました。

業者は一応市が決めたルールには乗っとって一応進めてはいるものの、希少生物に対する配慮が十分になされているかと言うと、そうではないっていうところがありました。オジロワシの件も含めて、また、近くにタンチョウが営巣している場所を建設予定地にしているケースもあったので、行政側と事業者側でうまく噛み合っていないところが多く見受けられました。

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Q:通常ソーラーと言うと、太陽光発電ということで「自然にいい」というイメージがありますよね。

髙橋記者:そうですね。国が主導して押し進めてきた事業であるため、再生可能エネルギーを進めていきたいという方針は分かるんですけども、自治体ごとの自然環境の状況が違うので、そこに対して自治体がもっと主導していかなきゃいけない。このような事態になる前にどうにか手を打っていかなきゃいけなかったんじゃないかなっていう風に今は感じます。

釧路は新しい市長が「ノーモアメガソーラー」発言をしていましたが、去年から公約の中に太陽光発電に対する規制っていうところを掲げていたので、 1 年の間にノーモアメガソーラー宣言と条例の制定まで進んだ点など、評価できる部分はあると思うんですけど、一方、もう少しスピード感を持って個別の事案に対する対応もできたのではないかと思います。

「釧路だけの問題で終わらせてはいけない」

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Qちょうど自民党総裁選でも討論会などでメガソーラーについて話題になっていました。

髙橋記者:やっぱり釧路だけの問題として終わらせちゃいけない。そのことは取材を受けてくれた皆さんがおっしゃっています。一方で再生可能エネルギー事業っていうのは必要な事業だとは思うので、 CO2 削減だったり、温暖化対策について国はどんな指針を掲げるべきなのか。新しい政権がどのように考えるのか注目しないといけないかなと思ってます。

Q:今回のナレーションが小雪さんということで、とても楽しみです。

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髙橋記者:多くのドラマや映画などに出演され影響力もある方で、ナレーションを依頼した時に「北海道の環境問題にも関心がある」と伺いました。北海道だけの問題で終わらせないというのが大事だと思うので、全国的に有名な小雪さんに読んでいただけることを嬉しく思います

Q:最後に読者にメッセージをお願いします。

髙橋記者:はい。この問題は釧路だけ、北海道だけの問題ではなくて、全国的な問題にもなっています。希少生物との共存という意味では釧路がフィーチャーされていますけれども、ほかの地域でも自然と共生できないようなメガソーラーの建設も相次いでいます。そういった問題を抱えている地域の方にも見ていただいて、どのような解決法があるのか、一緒に考えていただきたいと思います。

テレメンタリー2025「落日のメガソーラー 問われる自然との共生」

北海道での放送:2025年10月18日(土)深夜2時30分

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この記事を書いたのは

SODANE編集部

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