北海道の未来を変える!「地域ジェンダーコレクティブコーディネーター養成講座」がキックオフ
2026.07.21
こんにちは、森さやかです。
2026年7月4日「地域ジェンダー・コレクティブ・コーディネーター養成講座」がキックオフを迎えました! 本講座は、ジェンダー課題を地域のみんなで解決したい人たちに向けたもので、全8回(うちオンライン6回)にわたる本格的なプログラムです。今回、私は初回のセッションで特別ゲストとして講師を務めさせていただきました。

なぜ今、北海道で「ジェンダーコレクティブ」なのか?
皆さんは、2026年の都道府県版ジェンダーギャップ指数において、北海道は「行政」が最下位の47位、「教育」「経済」の分野で47都道府県中46位という深刻な状況にあることをご存じでしょうか。 さらに、コロナ禍以降(2020~2024年)における北海道の女性の転出超過数(社会減)は、なんと男性の約7.1倍にものぼります。未婚の若い女性が流出することで、北海道の人口問題はまさに「ジェンダー問題」と直結しているのです。
だからこそ、地方のジェンダー課題を多様な団体・機関と協働で解決するための「コーディネーター」の存在が今、強く求められています。
孤立させない!ジェンダーへの警戒心をほどく「伝え方」の戦略
私のセッションでは、第一歩として「ジェンダーへの警戒心をほどく『伝え方』(巻き込みの戦略)」と題してお話をさせていただきました。
参加者の方々とお話しする中で、「『意識高い系の話でしょ』と敬遠されてしまう」「そもそも周りに課題だと感じている人が少なく、共感を得られない」といった、地域や組織で活動する上での切実な声が多く聞かれました。現場から突きつけられる「ダイバーシティは孤独」という悩みです。

なぜ人は「ジェンダー」と聞くと身構え、警戒してしまうのでしょうか? それは、「あなたが悪い」と責められているように感じる防衛本能や、「正しい知識がないとダメ」という正論の圧に対する疲弊があるからです。また、従来の役割で努力してきた人にとっては自分の生き方を否定されるような恐怖があり、一部の過激な事例を見て「関わると面倒」という忌避感を持ってしまうことも心の壁になっています。
では、どうすれば対話のハードルを下げられるのか。私は、日々の言葉を届けるアナウンサーという立場から、そして一般の方々にも広く関心を持ってもらう仕組みづくりとして「NEW RAIL AWARD」を企画した経験から、マインドセットと戦略をお伝えしました。
現在、私たちが立ち上げている北海道ジェンダーダイバーシティアワード「NEW RAIL AWARD」も、まさにこの戦略から生まれました。これまで取り組んできた好事例や自分らしい生き方を実践している人(ロールモデル)を募集・評価し、広く情報を発信していく仕組みです。SNSも活用し若い世代に波及させることで、「ジェンダー=窮屈なもの」ではなく、北海道で働く・暮らす選択肢や可能性を広げるポジティブなムーブメントとして届けることを心がけています。
https://gchokkaido.syaa.jp/award2026

社会課題を「根本解決」するためのフレームと資金調達
続いてのセッションでは、株式会社すくらむの久保匠さんから、「社会課題を“根本解決”するための考え方と、協働アプローチについて」お伝えしました。
久保さんからは、社会課題へのアプローチは大きく4つの段階(フレーム)に分けられるというお話がありました。
1.ダイレクトサービス:目の前のゴミを拾う
2.大規模なダイレクトサービス:みんなでゴミを拾うムーブメントを起こす
3.システミックチェンジ:ゴミが出ない仕組みを作る(ゴミが出ない素材・制度改革など)
4.フレームワークチェンジ:ゴミという概念自体がなくなる(古い自動車から自動車を作るなど)
ここで重要なのは、「大規模なダイレクトサービス」と「システミックチェンジ」の間には大きな壁があるということです。ゴミを拾う活動をいくら大規模にしても、ゴミが出る速度には追いつかず、根本的な課題はなくなりません。時に活動者が燃え尽きてしまうこともあります。 もちろんダイレクトサービスに意味がないわけではありませんが、そこから「システミックチェンジ」へと壁を越えるためには、企業、NPO、行政などのマルチセクターが共通のビジョンを持ち、連携する「コレクティブ・インパクト」のアプローチが必要不可欠なのです。
また、多くの方が課題に感じる「資金調達(ファイナンス)」についても具体的なお話がありました。 「ダイレクトサービス(現場の活動)は得意だけれど、それを仕組み化・事業化するのが苦手」という声をよく聞きます。この講座を通して、「ジェンダー課題の解決」と「事業化(仕組み化)」をセットで学べる場にできたらと考えています。

基礎理解から実践まで!全8回のプログラム構成
本講座の大きな特徴は、ただ学ぶだけでなく「ジェンダー課題への理解と、プロジェクト実施のための知識とスキル習得」を明確に目指している点です。
約3ヶ月半をかけて、以下のようなステップで着実に学びを深め、形にしていきます。
- 第1回: オリエンテーション/地域ジェンダー・コレクティブ・コーディネーターと目指す未来
- 第2回: ジェンダーとは何か?何が課題か?
- 第3回:交差性の視点とマイノリティ性について
- 第4回: 地域のジェンダー構造を見つめる
- 第5回: コレクティブ・アクションを設計する
- 第6回: プロジェクトを設計する
- 第7回: 資金調達と持続可能性
- 第8回: 実践発表とコミットメント
前半でジェンダーの基礎知識や構造をしっかりとインプットし、後半ではアクションの設計や資金調達といった具体的なマネジメント手法を学び、最後は自分たちの実践発表(コミットメント)へと繋がる、非常に実践的な構成となっています。

「説明できる側」になるために――ジェンダーコーディネーターの役割
今回の講座には、定員を超える20名以上の方々にご参加いただきました!札幌周辺だけでなく、旭川、根室、苫小牧など道内各地から、さらには遠く岐阜県からのご参加もありました。 行政、企業、NPO、教育機関、ユースなど、多様なステークホルダーが集まっただけでなく、各地で抱える地域ならではの課題や目線が数多く集まりました。ひとことで「ジェンダー」と言っても、それぞれが課題だと思う視点や入り口は本当に多様です。
ジェンダー・コーディネーターとは、地域や職場などそれぞれの場所や立ち位置で活動していく上で、ジェンダーに関する基礎的な知識や見解をしっかりと学び、そのベースを力に変えていける人たちのことだと考えています。
学ぶ過程でとても重要なのは、「自分自身の中にもマジョリティ(多数派)の側面がある」と気づくことです。人は誰しも、マイノリティ(少数派)の部分とマジョリティの部分、その両方を持ち合わせています。それに気づくことで、初めてフラットな目線に立つことができます。
もちろん、背景や立場の異なる多様な人たちが集まる中で、「共通言語を合わせる」ことは決して簡単ではなく、本当に大変な作業だと改めて感じています。しかし、多くの人が日々の生活や職場で何かしらの課題やモヤモヤを抱えている今、「それを言葉にして説明できる側」になれる人が、この北海道の各地で増えていくことが、社会を変える大きな一歩になります。
10月の最終回に向けて、受講生の皆さんが多様な視点からどのようなコレクティブ・アクションを設計し、どんな「コミットメント」を掲げるのか。私自身も教えるだけでなく、ともに悩み、学ぶ姿勢で伴走していきます。
ここから始まる一人ひとりのアクションに、ぜひご期待ください!

