摩周湖 立入禁止の水中に潜入!生き物が!

 「神秘の湖」と言われる道東の摩周湖。新型コロナウイルスの影響が広がるなか、いまソーシャルディスタンスが取りやすい自然豊かな観光地に注目が集まっています。

 HTBは去年、普段立ち入りが禁止されている摩周湖畔で行われた水質調査に同行しました。美しい摩周湖の水の中に広がっていた驚きの世界を紹介します。

【映像】知られざる摩周湖の湖畔、水中映像(2019年9月)

「摩周ブルー」を触った!

 透明な水に空の青色が映り込んで生まれる「摩周ブルー」。摩周湖の水は透明度日本一、世界でも2位を誇ります。水面は展望台から200メートル以上も下の場所にあり、断崖絶壁で簡単には近づくことはできません。

 その摩周湖では毎年9月ごろ、研究者らが水質調査を行っています。湖畔にたどり着くためには草を掻き分け、険しい崖を30分以上も歩く必要があります。

 HTBは去年、この水質調査に同行。道中でクマと遭遇しないように、クマ笛を吹いてから森の中に入ります。しかし予想を超える悪路で湖畔にたどり着いたころにはヘトヘトでした。

 湖畔に広がっていたのは美しい景色。水面には緑色の木々が美しく映ります。そして許可を得て、摩周湖の水の中に手を入れてみました。それは今まで経験したことがない透明度でした。

 また水中カメラを入れてみると、そこには透き通るような美しい世界が広がっていました。

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摩周湖で生き物発見!

 摩周湖の中を覗いてみると生き物を見つけました。ウグイやフクドジョウなどの魚のほか、ウチダザリガニも。このウチダザリガニはアメリカ原産ですが1930年ごろ、食用として摩周湖に放流されたということです。

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 地元の人の話によると、昔は摩周湖で泳いで遊んでいたそうです。しかし道中が危険なこと、摩周湖の水質を守る目的などから現在は湖畔周辺の立ち入りが禁止されています。

摩周湖が透明な理由

 周囲20キロある摩周湖が日本一の透明度を誇る理由は、湖に流れ込む川がないからと言われています。汚れた水や栄養分が流れ込むことがないため、湖でプランクトンが発生しにくいそうです。なお摩周湖には流入・流出する川が無いので、法律上は「湖」ではなく「大きな水たまり」と定義されています。

「日本一の証明を」調査は地元主体に

 摩周湖の深さは最大で212メートル。調査は最深部付近で深さごとに水をくんで水質や微生物などを調べます。

 この調査は37年にわたり国が行ってきましたが、2018年に予算などの関係で打ち切られました。そこで「透明度日本一」であることを証明し続けるために、去年から新たに周辺の自治体が主体となって実施しています。

 水質調査は今年も8月末に行われる予定で、費用はクラウドファンディングを活用して寄附を募る予定ということです。

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この記事を書いたのは

HTB報道部記者・佐藤裕樹

佐藤裕樹
HTB報道部記者。
釧路駐在(2018年11月~2020年12月)。
HTBノンフィクション『秋刀魚が消えた サンマのまち』
https://www.htb.co.jp/hn/log/2020/12281114/

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