みなさん、ブレストアウェアネス、という言葉をご存じですか?先日、人気YouTubeチャンネル BCTubeの乳腺外科医の先生方とお話ししました。
伏見淳先生 慈恵会医科大学外科学講座、BC Tube代表理事
山下奈真先生 ダナ・ファーバー癌研究所、トリプルネガティブ乳癌の研究に従事
田原梨絵先生 北海道大学医学部出身、アメリカ在住、Instagramにて乳がんの情報を発信
寺田満雄先生 名古屋市立大学乳腺外科、Twitterで乳がん最新情報を発信されておられます。
https://www.youtube.com/channel/UCg4n...
伏見先生『ブレスト・アウェアネスを日本で広めたい、とクラウドファンディングに挑戦しています。乳房の健康のための生活習慣を身に着けてほしいという思い。YouTubeで普段正しい情報を発信していますが、それ以外にも広げたい。あと一週間でネクストゴールの300万円までもう少し、です。』
乳がんに興味ない方や知らない方に届くように、少しでも関心持ってもらった人の大切な方に手紙を送ってもらって関心ない人に届けたいと計画されています。リーフレットやDVDを様々な施設においてもらって
情報を届けたいと準備されています。最終ゴールは500万円。小学生の子供たちへのがん教育まで目指しておられます。10月31日までですのでサイトも是非ご覧ください。
あなたの手紙で、大切な人にもブレスト・アウェアネスを
https://readyfor.jp/projects/bctube_2021
ブレストアウェアネスとは何なのか? "ブレスト・アウェアネス"=「自分の乳房の状態に日頃から関心を持ち、乳房を意識して生活すること」4つのアクションとして分類してわかりやすくされています。
まだ興味の薄い方にどう届けるかにトライされています。
寺田先生『しこりを探すだけでなく、変化に気づくことが大事。自分の乳房の状態を知るのがスタート地点です。手のひらでののじ、、なのですが、詳しいやり方などは動画を(笑)https://youtu.be/bMBGL5T22pY』
伏見先生『どういった変化を知る。乳房と乳頭の形、左右差、くぼみ、ひきつれ、赤みなどなど・・・。詳しくは動画をチェックいただきたいのですが、変化があったから即、乳がんではない。自分じゃ見つけられないです、というひとがいるけれど、乳房には日々変化がある、ということを知ってほしい。生理がある方は生理後、数日後がベター。生理がない方は、毎月日付を決めてもいい。定期的にやってほしいです。
田原先生『通常の生理周期の変化と違う変化に気づいたら、放っておかずに医療機関。もうすぐ検診だから待って居よう、、はダメ。変化があって気になったら医療機関へ。検診と検診の間の中間期乳がん、もあるし、検診だけ受けているのでいいや、ではなく、検診と検診の間にセルフチェックしていないと変化に気づかない。両方やるのが大切です。術後の方も反対側の乳がんも、温存の方も残っている乳がん、手術のあとのまわりに局所再発など、全摘でも残った皮膚に局所再発もあるので、両方の胸、全体、わきの下含めてセルフチェックは大切です。』
山下先生『日本は少し他の国より早いのですが、40歳になったら定期的に受けていただきたい。人それぞれ、誰にでもなりうる病気なので、検診は大事です。』
日本は40%程度の検診率で特に北海道はよくありません。欧米は7,8割なのに比べると一時期よりは上昇してきているものの差は歴然です。この埋まらない差を先生方はどう考えておられるのでしょうか?
寺田先生『根本的には差が開くのはシステムの違いもある。アメリカだとかかりつけ医がいて、そこに定期的に通うだけで今年はマンモグラフィなど検診の案内をしてもらえる。かかりつけ医に受診すれば効率的に受けやすい環境が整う。日本は40歳になったら市町村から案内届くけれどそれで予約して、準備していくぞ、というのは自分でアクションを起こして受けにいかなければならないのは大きな違い。ひとりひとりの意識を変える必要があるのです。』
田原先生『アメリカの10月のピンクリボン運動が圧倒的に違いがある。スーパーひとついってもピンクだらけ。アメリカで乳がんは女性の間で多い病気。家族だったり親戚に患者さんがいて、知識や支える意識などがある女性、男性も多い。急に増えてきた日本との大きな違いがあるのではないかと思います。』
伏見先生『ピンクリボン運動は、ブレストキャンサーアウェアネス(乳がんを知る)の象徴。そもそも出発点が社会全体で乳がんのことを知りましょう、というのが核となるところなのでアメリカでは進んでいる。
街中歩いていても、ピンクリボンのタンクローリーが走っていたりする。日本も社会全体で知る必要あるよね、と進んでいってほしいと思うのです。』
自分は18年前から乳がん患者さんを取材をさせていただいていて、何人も出会ってお別れして今があります。この18年、変わってないことがやっぱり『がん=死』だという無意識の偏見。
言った瞬間にいろんな人に”無言”になられてしまったり、ちょっと空気を悪くしちゃったり。がんに対するその意識が皆さん、よくないと感じています。医療の進歩でそんなに悲観するようなものではなくなってきていますし、乳がんへの理解を深めるとそれだけでちょっと不安が減ったりとかすることもあるかもしれません。本当に乳がん患者へのあたたかな理解が広まると嬉しいなと私自身も思っています。
”そんな目で見ないで” 患者だって温泉に入りたい
今回、患者さんの皆さんと温泉に来ておりました。
(Link of Smiles のイベント 後日ご紹介予定)
私は温泉好きで、今も隠しながらではありますが、温泉に入ることがあります。一方で乳がん患者さんで傷があるということで温泉に入ることを諦める方が非常に多くて楽しみを減らしてしまっているのではないかと考えています。
この日、宿泊していたお宿は釧路の山花温泉リフレさん。ピンクリボン活動の応援もされておられて、働いているみなさんがリボンをつけたり、入浴着も積極的に受け入れておられる施設です。
入浴着OKというポスターも貼ってありまして、非常にピンクリボンフレンドリーな温浴施設です。
一緒に泊まっている患者さんとそのお仲間のみなさんと一緒に入浴着を着て入りました。いつもはロングタオルで隠して、洗い場に行ったり、出入りを気遣ったりするのですが、今回は入浴着が心地よく、傷を気遣わずに入ることができました。
★畿央大学・GSIクレオスさんが共同開発されたバスタイム・トップスについては以前の記事・・・
https://sodane.hokkaido.jp/column/202109102030001351.html
先生方も入浴着を試着
田原先生『実際つけて入ってみたんですけどまず最初お湯に浸かる前に着て思ったのがもうすごく着心地が良くて、このままワンピース型で夏とかお風呂上りにちょっと着るのにもこの生地すごくいいなと思いました。
胸の部分が両側ふんわりして膨らむんですよね。なので片方手術した方でも左右さを感じないような作りで自然になっているのはとてもいいなって思いました。お風呂に入って洗うも、あちこちから手が入りやすくて洗いやすかったですし、脱ぐのも簡単でお風呂上がってから絞っても簡単にぎゅっと片手でも絞れるくらいすごくコンパクトで絞って干して、今朝見たらしっかり乾いてるっていう・・・素晴らしいの一言でした。』
『私が本当に思ったのは特にその乳がん患者さん用の店とかじゃなくてもう全国的にどこでもいろんなところで売って欲しいなと。胸だけではなくてバスローブ型とか。もう隠す必要はないって言うんですかね。誰でもつけてよくて、誰でもそれをつけてお風呂に入るものみたいなものになったらいいんじゃないかなとすごく思いました。』
共に温泉に入った患者さんにもお話しを伺いました。まずは、2年前にり患してから一度も温泉に入っていなかった恵理さん。
恵理さん『手術したあと、がんになってから温泉に入れなかったんです。傷を見られるって言うよりも、お子さんがみた時に何か心に傷がついちゃうんじゃないかとか。お子さんがあ!ってなったときにお母さんが見るんじゃない!とかそういうのを想像してしまって、なかなか入れなかったんです。
これを着ると、気分も上がるし、もっとオシャレ着みたいな感じでなんかこの入浴着っていう感覚はなかったんですよね。さっき梨絵先生がおっしゃったようになんかもうこのまま歩けるんじゃないか、みたいな。よかったです。』
例えば、左右差があったり私の場合は両側ないものですからペタンコなんですよね。そういったところも膨らみがあって見えるって言うところでも違和感がすごく少ないなあというふうに思いました。
一方で5人で入りましたが、私たちの方が入浴されている人数が多かったので勢いで(!)今回はいけてしまいましたが、一人で入るのは抵抗がある方も多いかもしれません。
いつも出張の際に温泉に長いタオルで挑戦している、というまどかさん。
まどかさん『一人だけ服着て入っているような風に見えるので抵抗がある人もいるかもしれないですけど
この価格帯であれば例えば友達と一緒に行ってみればと。ひとりが手術をして、一人がお友達で。2人でお揃いでいれば、お風呂を楽しめると思いました。皆で入れば誰だかわからない。誰がどういう状況なのかもわからないし、ここまで可愛いとみられることもないと思うので非常に今日は楽しく入りました。』
実は私だけではないと思うのですが、患者は脱衣場でどうやって着替えるかとすごく考えるのです。やっぱり傷をあまり見られないようにどうやったら着替えられるかなっていうふうに思う。物陰を探したり、鏡の反射で見られない位置を探したり・・・。
昔、小学校のとき、体操着をどうやって見られないように着替えるかに近い。
山下先生『シャワーで2年くらい湯舟に使っていないので温泉がうらやましい。胸のところギャザーがすごくいい感じに入っていてとてもファッショナブルだなって思ったんですよね。もう手に取った感じなんか、わざわざっていう感じがなくてすごく良いなっていうのと軽いのとあとはすごく脱ぎ着がやっぱりしやすいっていうのがポイントかなと思うんですけれど。』
『温泉のその入るスタイルっていうのがもう今後変わってしまったらいいのにって私は思っていてお胸の手術を受けたからとかそうじゃなくても、やっぱり見せて入るのが嫌な時期がある。ティーンエイジャーでもやっぱりそういう子って結構いると思うのです。何の気なしに500円払ったら着られる。そんな温泉文化もアリなんじゃないかなと思って、なんなら文化を変えてしまってもいいのかなっていう感覚で私はつけてみました。』
本当にそうだと思います。それこそ外国の方で肌があまり見せられないという方とかでもきっと使っていただけることができるし、入浴着はレンタルがありましたがこのコロナ禍。使い切りにニーズがあります。
伏見先生『この(畿央大学の)村田先生の入浴着を初めてニュースで見たときにすごく感動して。ツイッターで上げたら僕のツイッター史上で一番リツイートされるぐらい反響があって。やっぱりデザインが素敵。
その胸に傷がある方って、乳がんの術後の方だけじゃなくてたとえば心臓の手術であったりとか、やけどとか、結構いろんな形で胸に傷がある方って多かったりするんですね。そのような方も温泉を楽しめるようになるっていうのはすごい大事なことです。
温泉が好きだった人が乳がんの手術をためらったりするっていうことも実際やっぱりあるのでそういった意味でもこういった入浴着が広まるっていうことは乳がんの術後の人にとってもすごくハッピーなことだと思いますし、これから治療を受ける方にとってもかなり勇気づけられるものだと思うので。どんどん広がっていくといいかなっていうふうに思います。』
ブレスト・アウェアネスと入浴着、実は密接です。乳がんや胸のことを自分事としてとらえられるかどうか。誰もが誰もを思いやり、誰もが過ごしやすく・・・温泉一つ、って言われる方もいるかもしれませんが、普通に行ければ、何かいろんなことができることにつながるのではないかと私は思うのです。
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