毎日250人が乳がんと診断を受ける
今、日本人女性の9人にひとりが乳がんになる時代と言われています。年間9万人がり患。1年で割るとおよそ250人の患者さんが毎日増えています。クリニックなどはかなり混みあっていると聞きます。
連載の中で今も3年たとうとしていますが毎月5000人くらいの方が読まれている記事があります。
https://sodane.hokkaido.jp/column/201910181718000024.html
告知から手術に至るまでのもろもろの日々を描いたものです。
検診で再検査と言われてから、再検査の予約を取り、詳細な検査を受け、さらに針生検や細胞診などを受けるとその病理の結果まで2週間程度待つことも多いです。すると・・・あっという間に一か月がたってしまいます。コロナ禍で手術の制限なども行われているところもまだあり、手術まで2か月、という例も聞いています。
私は両側でしたので、片方ずつ確定して言った形だったり、仕事の調整で手術日を選んだことから、会社の検診でほぼほぼがんかも、と告知されてから手術まで3か月かかりました。通常でも1か月はかかるのではないかと思います。一刻も早く、取り去りたい気持ちがはやりますが、検査を受けて現状を把握することも大事なことなのではないかと思います。(検診などで要再検査になってもそのうち確定診断される方はその一部です。)
参考にしていただきたい動画があります。
※がんはどうやってできるの? (BCTube:乳がんの専門家の先生方が作成・乳房健康研究会とのコラボ動画 やわらかい動画なので怖くないです。)
https://youtu.be/OmFQEvVnTA8
がんはある程度時間をかけてできたものだと理解できます。ある日突然告知を受けますが、前の日と次の日はそう変わらないのだと医師の友人に説得されました。だからあなた自身は何も変わらない、と。できるだけ通常どおりに過ごしてほしい、と。
もちろん、がんの進行の速度は人それぞれなのですが、先生は緊急性を要する方ならそのようにそうでない方は適切に対応されると思います。
がんとわかったら、手術、、、というイメージかもしれませんが、手術先行かもしれませんし、抗がん剤や分子標的薬先行の方もいて、それもその方の細胞次第、です。
いろいろな選択や説明を理解してかみ砕いて、自分で納得できるようになるまではもちろん時間がかかると思います。自分で抱え込まず、頼っていい、頼るべきと思いますので医療従事者やピアサポート(がん経験者)にお話ししてみることもいいと思います。 トンデモ医療には耳を傾けないでほしいです。
自分の体のことは先生にある程度お任せできますが、次に仕事をされている方は会社へ知らせたり、取引先など関係者にどこまで伝えるのか悩ましい問題がやってきます。
また、ご家族やご友人にも、誰にどこまでどの程度伝えるか、これも人それぞれ。こちらも悩ましい問題です。
私の場合は母も乳がんだったことから手術後の病理検査で治療が見えるまで伝えても心配かけるだけなので言いませんでした。というか言いにくかった、が正しいかもしれません。
信頼できる友人たちには早めに伝えて、少々悩みを聞いてもらいました。ただすべてを相談できるわけではなく、見守ってもらっていた、という印象です。
ある程度、治療が進み、本調子で働き始めたあとに、あのときかける言葉が難しかったと言われたこともあります。これは非常に正直、かつ誠実な答え。みんな悩んでいると思います。(でも悩ませてしまうのでは?と悩む必要はありません。自分ごとにして検診に行ってくれる可能性が高いです。)
お仕事をされている方はなんだか気を使われすぎていることにかえって恐縮して居心地が悪い思いをした、という方も多くいます。私の場合は人はずっとそこまで自分のことを心配しているわけではないし、全部を理解してもらうのは難しいと半ばあきらめ、後に引きずるのをやめてから楽になりました。究極、こんな状況で一番苦しいのは誰よりも自分だったりしますので、ここは自分最優先。自分が楽だと思える状況にすることが一番ではないかなと考えます。
患者さんとお話したときに出てきた告知されたばかりのときのお話をシェアします。
ショックだった言葉
『友達に伝えたら職場に同じ病気の人がいて、今はピンピンしているよ、と言われて萎えた。』
『一生懸命何かを絞り出して言ってくれなくてもいい。知り合いの知り合いが脳腫瘍で今もお元気で、、、だから大丈夫だと思います。。と言われても脳腫瘍ではない。』
『いいこと言ってほしいわけじゃない。普通にしてほしい。無理に励ましてもらわなくてもいい。』
『頑張って、、が一番嫌だし、困る。応援しているよ、ということに自分はしている。』
『本能的にこの人には聞かれたくない人、言いたくない人がいる。でも何らか言わないと成立しない場面がある。自分の中でレベルをつけながら話していたら、そのうちの一人に誰がどこまで知っているかわからなくなるからそれ辞めて、、と言われた。どうしたらいいのかまた悩んでしまった。』
『この本読んで、って渡された。細胞に感謝すれば治る、的なものだった。もうこれ以上話したくなくなってしまった。』
『うれしかったのはただごはんを一緒に食べてくれたこと。同じ乳がん患者さんだったが、ただ同じ時間を過ごして、治療についての質問をしやすくしてくれた。いろいろ質問もできて落ち着いたことを思い出す』
『変な発言を未然に防ぐのも大事なんだけど、絶対に傷つくことはある。告知当時、会社員。直属の上司の奥さんも闘病中で”つらいんだってさ”、と詳細聞かされた。今そんな話は聞きたくないよ、と。こういうデリカシーのない人からは逃げた方がいいと思う。仕事を辞めた。』
2000年では30人に一人が乳がん。2010年には20人に一人、2020年には11人にひとりで2022年の今は9人にひとり。検診の受診率が当初の20%から40%台になったので見つかる人が増えたということもありますが患者はいまだ増加傾向です。一方で発見時の腫瘍の大きさが小さくなってきていることもあり、生存率は上昇しています。それだけがんと共存できる人が増えているのです。
だからこそ・・・もう周りにいると思って自然な対応をとってもらえる、自らもとれるような世の中が理想、です。
とはいえ、自分のココロを支えるのは正直、誰もが大変です。
(30代でり患)『どんだけ泣けるんだ、というくらい泣いた。本当に泣き続けてごはんも食べられなくて、会社にいっているときは仕事をしていたけれど、戻ってきたらすぐにふとんに入って泣く生活が2週間くらい続いた。もういいか、というくらい泣いたらある日晴れた。病気になるかというくらい泣いたので主治医に素直にいったら、睡眠薬、という選択肢もあるよ、と提示された。そういう方策もあるんだ、とわかって少し楽になった』
手術が終わると少し気持ちが落ち着きますが、次は病理検査の結果が出るまでがなかなかの精神状況。ネットへのググりも一番のピークとなります。
ここは落ち着いて、正しい医療情報が書かれているサイトをご参考に!
国立がん研究センター がん情報
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/index.html
日本乳癌学会 患者さんのための乳癌診療ガイドライン
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2019/
BC Tube 乳腺科医が作る乳がん大事典
https://bc-tube.com/
(病理検査についてやホルモン療法・放射線治療・抗がん剤などの解説、簡単かつわかりやすいです)
手術決まったら準備しておきたいこと
まずは、高額医療費証の申請。入院費など多額の費用を窓口で払わないようにするために!働いている方はこれに加えて傷病手当金がもらえるかどうかの確認。そして、保険に入っている方はどこまで適用かを読み込んで、申請用紙を請求しておきましょう。
入院時に預けると退院のときまでに、診断書などある程度仕上げてくださるのでその後が楽。保険会社さんは慣れていらっしゃるので不明な点はクリアになるまで確認を。その保険の種類によって、適応される範囲が違います。通院、入院、一時金など種類も多様。病気になるまでどこまで適用になるか、規約がどうだ、なんて見ないと思いますがここはじっくり、引っ張り出して確認してください。
告知されても、告知前とは自分自身は変わらないのでやれるときにいろいろやっておいた方がいいと心から思います。がん友のみなさんからは今振り返ると、悩んでも、泣いても、悔しくても、笑っても、前向きになっても全部”おんなじ時間”だと。だったら悩んでばかりいるよりも何かほんの一歩でも前に進んだ方がいいことがあるかも、とのことでした。なるほど、です。でもそのときはそこまで割り切れないもんなんです。でも今回、お話を寄せてくださったみなさん、その道を通って今があるんだと思います。
入院が決まると用意すべきもののリストをもらいます。(病院によっても違う)
洗面道具(クレンジング)、洗髪道具(前日とその後はお風呂にはなかなか入れないので洗面台で格闘しながら洗うorお風呂で裸にならずに洗う)、食事道具(お箸、スプーン、コップ、湯飲み)私の場合は先が曲がるペットボトルなどにつけるストローも、コップなども軽いものがおすすめ。(口をゆすぎたくても難しい、起き上がれないとき助かりました)。フェイスタオルとバスタオルは多めに。室内履き、お薬手帳なんかもいります。ウエットティッシュ、ティッシュペーパーはボックスで。小型のスーツケースにがらがらしていった方がいいと思います。(帰りが楽)スーツケースには暗証番号で鍵もかけられるので。
体温調節のためにカーディガンは便利です。
パジャマは前開き(私は一枚ももってませんでした)。胸帯(病院や薬局で買える可能性大 胸の傷をガーゼで保護していますが、それを支える網目のトップス)。T字帯(これも買える 名前のとおりのもの)、足先が出る弾性ソックス(メディキュット)。入院着(病衣)は基本パジャマだったりするのですが、たまに病院を借りた方が洗濯が楽。汚れも気にならない。(ただ一着につきお金がかかり、それは自費なのでその病院の値段を確認すること)
手術後家に戻るときに、前開きじゃないとうまく洋服が着れない可能性があるので、相当、ざっくりしたかぶりものか前開きの洋服の準備。
(前開きの下着は傷が治ってからなので、入院時にはいりませんが、その後は必要なので入院中に調査しておくことは必要かも。患者さん用のものも最近は多いです。)
さらにその後車に乗られる方はシートベルトから胸を守るクッションを車にいれておくことを超おすすめします。、
そのほか、患者さんからのアンケートによりますと・・・
■自分の枕・・・私はまくらが変わると肩こりが悪化するので、必須。体のバランスが変わるので好みも変わる可能性もあるのですがあると安心。かつ、あとでも出てきますが、好みのアロマを枕につけてリラックスしたり、するときも自分のもののほうが安心。
■ウエットティッシュ・・・これはボックスで用意。何かと超便利。アルコールあり・なしあるとさらに用途が広がる。
■延長コード・・・自分の好みの場所に電源を。
■S字フック・・・電源コードや袋などなどいろんなものを狭い場所で操るのであると便利。
■抱き枕・・・寝返りうちずらいのであると楽。(私は両側だったのでタオルぐるぐるして背中に置いたりしてました。いずれにしても横向きで寝れなかったので)
■ミニクッション・・・長時間携帯とかやると手がしびれたりもするのでできるだけカバーするため。背中にも入れると楽。
■タオル多め・・・バスタオルが意外といろいろ重宝します。私、両側でしたので電動リクライニングのお世話にならないと最初の数日まったく起きられず。ずっとそれもマズいので腹筋鍛えておけばよかったと後悔。タオルがあると、それにつかまって起きやすかったりもします。
■調味料・・・アンケートによりますと、”塩”が多く。乳がん手術した翌日からごはん食べることができますのでたいてい白かゆが登場します。味のない白かゆは厳しい、という方には、塩、ごま油、そして鶏ガラスープの素、なんてのもおすすめだそうです。
■WiFi・・・病院になければ、ポケットwifiのレンタルも有効。
■イヤホン・・・いつでもネトフリとかTVerとか見れるように&音楽聞けるように
■耳栓・・・集合部屋ですと非常に有効なことも。イヤホンである程度代用可能。
■自立する時計・・・なかなか携帯フォルダで立てておくとかもいいかも。時間がわからないのが不安だったという声。
■安眠系のもの・・・まくらもとのスプレー・寝る前のハーブティ・ハンドクリーム(香水などはNGですので、ほんの自分の周辺が香るように、がベスト)
ちょっと目からウロコだったのが・・・
■お肌のパック(シート)!気晴らしになるのと香りもよく、病院は乾燥しているし、何よりちゃんとケアできている気持ちが大事だとか。
通常、手術の前の日に入院。最後の検査や先生の診察などをして翌日の手術順によって、何時から絶食か、点滴スタートするか、などが決まります。
入院すると、退院までのロードマップ的な資料も配られます。当日の手術の順番によって、食事・水分補給の制限時間が違います。
あとは先生にお任せして”ワープ”するだけです。大丈夫。ひとりじゃないよ!(手術後のもろもろはまた次回)
(協力:BCTube 乳腺外科医 田原梨絵先生)
がんとともに、、、。
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決して1人ではありません。