次の誰かのためにとつづっています。
「がんと働く」
現在、がん対策推進協議会の委員としても活動しています。「がんとの共生」と言われて久しいですが、共に生きていくためには社会とのかかわりが不可欠。
お金がないと治療が続けられないことから、「がんと働く」ことは重要な視点です。がん患者のおよそ3人に一人は【働く世代】。(20代から60代の就労可能世代でり患・・・厚生労働省「がん患者・経験者の治療と仕事の両立支援施策の現状について」より)
がんの生存率は医療の進歩により年々上昇。入院期間は短くなり、私のように働きながら治療するケースが増えています。
こうした現状から、注目されているのが「アピアランスケア」。がんをはじめとする様々な病気や治療の影響による、外見への変化に対するケアのこと。
以前に装着式の人工乳房のお話しもしましたが(https://sodane.hokkaido.jp/column/202208270630002523.html )今回は医療用ウィッグのお話しです。
医療用のウィッグは抗がん剤治療の副作用による脱毛症や、無毛症などの方々のアピアランスケアとして重要な役割も担っています。でもなかなか高価なものも多く、そのお悩みをよく聞きます。高まる医療用ウィッグのニーズからその助成をする自治体も増え続けています。(北海道では音更町など)
そして、そのウィッグにつながりが深いヘアドネーション(髪の毛の寄付)についても、世間の関心が高まっているそうです。ヘアドネーション対応・医療用ウィッグカットができる美容院が少ない(いつもの美容院ではできない)、ウィッグ製造で需要の多い長い髪が不足しているといった現状もあるそうです。
そこで、世の中の医療分野とより良い社会づくりへの参加意欲の高まり、そして医療用ウィッグを取り巻く現状を受け、ファイントゥデイ資生堂さんがヘアケアブランドのフィーノのプログラムとして、医療用ウィッグに関わる360°すべての方々がつながる、【HAIR TOUCH YOU のばせば届く。】をスタート。
今年6月から「finoウィッグ Bank」にてヘアドネーションの受付を開始、サイトも立ち上がりました。
https://brand.finetoday.com/jp/fino/hair_touch_you/donation/
サイトから受付をするとオリジナルのドネーションキットが送られてきます。
寄付された髪の保管、ウィッグ製作、販売業務に関しては、NPO法人「全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)」がサポート。「ふくりび」では、ヘアドネーションの髪を使った医療用フルオーダーウィッグの製作や、髪・肌・爪など外見のお悩みに応えるアピアランスサポートセンターの運営を行っています。
今回の寄付された髪は医療⽤ウィッグとして⼿頃な価格で販売する他、レンタルや体験⽤として活⽤予定。また、医療⽤ウィッグ製作技術のための講義⽤として学⽣や若⼿美容師へ寄贈するなど、様々な⽤途で活⽤もされる予定されているそうです。
ところで世の中の方はどれだけヘアドネーションについてご存じなのでしょうか?
先日、10月20日の「頭皮の日」をきっかけにアンケート(ヘアドネーションに関する意識調査)が行われました。10代~60代男女約2万人に対して事前調査を行ったところ、「ヘアドネーションをしてみたいか」というと問いに対して、全体の 40%、女性に限ると 53.3%が「興味がある」と回答。その反面、「ヘアドネーションを経験したことがある」と回答した人はわずか 3.3%という結果に。こうした結果を受け、「ヘアドネーション関心層が実施しない背景に、その興味を超えられないハードルがあるのではないか」という仮説のもと調査を実施、その詳細が明らかになったそうです。
ヘアドネーションへの興味・関心、その背景には「誰かの、何かの力になりたい」という想い
ヘアドネーションへの興味・関心、その理由は「病気で苦しむ人の力になりたいから」(56%)、「社会の役に立つ活動に興味があるから」(47%)という結果に。
しかし、興味はあるものの、その実情や寄付の条件などの認知には、まだ大きな課題があります。
「ドネーションカットは対応できるサロンとできないサロンがある」(47.9%)という認知がある一方で、ドネーション毛の寄付をする際の一般的な送り方を知らない方が約 8割もいることが判明。 77.9%がヘアドネーションをしたくても、「ヘアドネーションをすることにハードルを感じている」と回答。さらに、最もハードルを感じる点は「伸ばす過程でのヘアケア」、続いて「自身の髪質への不安」と、髪を伸ばす際のリアルな声が明らかとなりました。
確かに長さをどうしたら?とか自分の髪質で大丈夫なのか?など知らないことがいっぱいです。もしも自分が必要とするときにの知識ももちろん必要不可欠です。
NPO法人「ふくりび」事務局 岩岡ひとみさんは
『病気で苦しむ方の役に立ちたいという気持ちを持つ方が多いという結果を受けて、病気などで髪にお悩みを持つ方が身近にもいて決して人ごとでは無いという社会の意識の変化を感じます。一方で実際にウィッグが必要となったときに役立つ知識をあらかじめ知っておいてもらいたいと感じています。ヘアドネーションについては、ふくりびではもともとフルオーダー型ウィッグ製作以外では受付けていなかったのですが、WEBサイトで調べて、問い合わせの電話をいただくこともありました。情報にたどりつけていなかったり、直接聞きたかったりするようなので、もっとわかりやすい相談先があると良いのかもしれません。また、「髪を伸ばす過程でハードルを感じる方が多い」という結果を受けて、やはり伸ばす過程を含めて寄り添う存在が必要だと感じます。ウィッグについても相談しやすい環境や人、特に美容師の存在が重要だと思います。
既存の美容室、美容師のそれぞれの動き、また一つの NPOだけでは、なかなか変えられない動きを、フィーノというブランドとともに活動することで、より多くの方々に情報が行き届きやすくなると思っています。単なるブームでは無く、ムーブメントとなり、多くの皆さまの社会の声として届くことで、社会制度や企業、財団の支援などに反映されることを期待しています。このフィーノの取り組みが、髪に悩みを持つ方々に必要なサポートについて、みんなが考えるきっかけになれば良いなと思います。』と話します。
この医療用ウィッグプログラム【HAIR TOUCH YOU のばせば届く。】では「finoウィッグBank」の設立とオリジナルドネーションキットの配布だけでなく、医療用ウィッグをとりまく方々の取材など、360°で想いがつながる様々な取り組みをしています。さらに今回の調査結果を受け、「ヘアドネーションに参加しやすい環境づくり」とヘアケアを組み合わせた更なるキャンペーンなどの実施を予定しているそうです。
ヘアドネーションへの理解が広がれば、アピアランスケアに悩む患者さんへの理解も深まります。必要なひとに必要なものが届くように。協力の輪が広がることを願ってやみません。
詳しくはこちらのサイトを御覧ください。医療用ウィッグプログラム【HAIR TOUCH YOU のばせば届く。】
https://brand.finetoday.com/jp/fino/hair_touch_you/
阿久津友紀(おっぱい2つとってみた 作者)
取材を先日受けました・・・産経WEB
乳がん患者の自分を取材し発信
https://www.sankei.com/article/20221121-ANQIZJETMZMHBA25TWT5O4FB2A/
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