北海道あるある!すべらない歩き方 これだった! まさかのヒゲダンス?! さっぽろ単身日記

とうとうこの季節がやってきた。


新潟の豪雪地帯で育っているので雪には慣れているつもりだったが、札幌の雪はまったく別モノだった。

とにかくすべる。

氷点下にさらされたアスファルトは、積雪が無数の靴やタイヤに踏み固められて黒光りしている。こうなると、どんなに最先端のブーツを履いても、すべるときはすべる。

ただ、札幌の冬はこれで2度目。昨冬の間に試行錯誤をしながら、まずすべることはないという歩き方を身につけてしまった。


ずばり、ヒゲダンスである。


ドリフの加藤茶と志村けんがチョビヒゲをつけ、軽快な音楽に乗せて踊るあの動きだ。世代によっては、ホンダのアシモと言った方が通じるかも知れない(どっちも古いか…)。重要な要素は二つ。一つは、ひざをしっかり曲げること。もう一つは、足の裏全体で着地すること。

実はこのヒゲダンス、スリップを発生させない歩き方として理にかなっている。


「静荷重静移動歩行法」といって、山登りの基本的な歩行技術なのだ。
ガイドブックには、「前足で片足スクワットをするようにまっすぐ立ち上がり、後ろ足をそっと地面から真上に浮き上がるように離す」とある。
まさにヒゲダンスではないか。

この動きで雪道を歩くようになってからは一度もすべったことがない。それにピコピコとヒゲダンスの手の動きを加えると結構早く歩けたりする。テーマ曲を口ずさんだらもう完璧だ。ただし、周りの目を気にしない心の強さが求められるが…雪道で特に怖いのは横断歩道。

どんなに頑張ってヒゲダンスをしても、通常の歩き方よりどうしても遅くなる。
そのため毎回、時間内に渡りきれるかと焦ってしまう。
あの横断歩道は大丈夫だろうか。
松葉杖で渡ろうとして中央分離帯に取り残された、創成川通を横切る横断歩道のことだ。
片側4車線、幅49メートルの創成川通を横断する歩行者信号の青時間は、10月の平日昼間で37秒だった。

北海道警に聞くと、歩行者信号の青時間は秒速1メートルで渡りきれるようにするのが基準で、高齢者に配慮した場合はさらに1・3倍する。創成川通の場合、49×1・3の64秒必要なのだが、車の通行量が多いために37秒になった、という説明だった。
(詳しくはこちらの日記をご覧ください https://sodane.hokkaido.jp/column/202210300652002735.html )

さすがに雪道となればもう少し長く設定してるだろう。
そう思って、12月の平日昼間に青信号の時間を計ってみた。
えっ? 37秒。10月と同じじゃないか。
雪道の歩きにくさは想定していないのか。

前回同様、道警のホームページからメールで質問した。
すると翌日、交通管制センターから電話があった。
「交通量によって点灯時間が変わることはありますが、積雪や凍結によって点灯時間を長くする仕組みにはなっていません」レスポンスは早かったが、回答はそっけなかった。


歩くスピードが遅くなるのに青信号の時間は変わらないとなると、中央分離帯に取り残される確率がさらに高まることになる。この季節の道路の真ん中って…。
これは実際に体験するしかない。


ダウンコートに耳あて、手袋という完全防備で立ってみた。中央分離帯といってもここは創成川の橋の上である。しかも幅49メートルの道路からは冷たい北風が容赦なく吹き付けてくる。まるで天然の冷凍庫だ。


歩行者信号が青に変わるまで1分25秒。
マスクの内側では鼻水が止まらない。

ひっきしっ!

カトちゃんのギャグのようなくしゃみが出た。
ヒゲダンスはすべらないが、これは寒い…

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この記事を書いたのは

山崎 靖

元朝日新聞記者、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、温泉学会員、温泉ソムリエ

昭和40年生まれ
新潟県十日町市出身


コラム「新聞の片隅に」
https://www.asahi-afc.jp/features/index/shimbun

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