札幌 → 新潟 帰省を阻む4つの関門 往復で突破しないと帰れない さっぽろ単身日記

基本パラダイスな札幌単身生活だが、大変なこともある。

その一つが年末年始の帰省だ。

 

特に私の場合、帰省先が新潟県十日町市という豪雪地帯なので、この時期に雪国から雪国へと計画通りに帰省して戻ってくることは奇跡に近い。実際、昨年は新千歳空港からの飛行機が欠航となり帰省できなかった。

 

さて、今年はどうなるか。

 

私の帰省計画はこうだ。

1月1日朝にJR札幌駅から快速エアポートに乗り新千歳空港へ。そこから新潟行きのプロペラ機に搭乗。新潟空港からはバスでJR新潟駅に。東京行きの上越新幹線に乗って越後湯沢駅で下車。そこから第三セクターの「ほくほく線」に乗り換えて十日町駅に到着する。

ここまでざっと7時間。実家で2泊して1月3日朝に出発。逆のルートをたどって札幌のマンションに戻るという弾丸帰省である。

 

奇跡に近いと言ったのは、いくつもの難所が待ち受けているからである。

第一の関門は快速エアポートだ。北海道の二つの玄関を結ぶ大動脈なのだが、これが意外と雪に弱い。大雪となった昨年の冬は、除雪が追いつかず、晴れているのにJRだけが動かないという日が続いた。新千歳空港で足止めを食らった乗客から「社長を出せ」の怒号が飛ぶ様子が報道されるなどJRへの信頼はガタ落ちに。かつてのCMのキャッチフレーズ「冬こそJR」がブラックジョークとなってしまった。

ただ、私が働く会社も似たような構造的問題を抱えているので、JR北海道の社員のみなさんにはとても同情します。お互い頑張りましょう。

 

第二の関門が新千歳・新潟間の航空便だ。冬に欠航率が高くなる二つの空港を結ぶ路線なのだからリスクは相乗的に高まる。さらに最近、冬の日本海側に集中的に雪を降らせるJPCZという線状降雪帯が発生しており、この冬も新潟県では車の立ち往生がニュースになった。年末年始に発生したら帰省は絶望的だ。

 

第三の関門は上越新幹線。ただし雪にはすこぶる強い。線路脇からは強烈なスプリンクラーで温水を噴射し、雪をはじき飛ばすのだ。新幹線が雪で動かなくなるようなときはすべての交通が麻痺するような状況だと考えていいだろう。

 

第四の関門は「ほくほく線」。実は「ほくほく線」自体は雪には強いのだが、越後湯沢から「ほくほく線」につながる在来線のJR上越線がめっぽう雪に弱い(ローカルな話ですみません)。理由はJR北海道と同じで、除雪が追いつかないためだ。最近JRは天気予報で大雪になりそうなときは計画運休することが多くなった。計画運休すると実際には大雪にならなくても運休してしまうので、それだけ運休の確率が高くなる。

 

これだけの関門を、しかも往復で突破しなければ帰省は実現できないのだ。

 

 

さて、どうなったのか。

 

昨年12月に発生した寒波は年末には収まり、2023年元日の札幌は穏やかな朝になった。第一関門の快速エアポートは難なく突破。新潟空港は雨で、第二関門のプロペラ機も正常通り運航。第三関門の上越新幹線も問題なく出発。越後湯沢駅に着くと雨から雪に変わっていた。最終関門の「ほくほく線」に乗り換えようとした、そのときだった。

 

駅の案内板に「運転計画について」の文字が。

恐れていた運休の知らせだった。

よく読むと「大雪が見込まれるためJR上越線は午後6時以降の運転を見合わせます」

現在の時刻は午後4時半。午後5時8分発の「ほくほく線」は予定通り運転するという。

 

ぎりぎり助かった。

 

問題は帰りだ。

1月3日から年明け寒波が来ると言われていた。

予報通り、2日夜からしんしんと雪が降り始め、積雪は一晩で10センチを超えた。

朝起きると風景が一変している。

 

頼む。動いてくれ。

 

祈るようにネットで運行状況をチェック。

するとJR上越線は除雪作業のため3日午後6時から運休すると案内されていた。

 

なんとか間に合った。

 

新潟ではその後も雪が降り続き、JR上越線は4日始発からの運転も取りやめた。

1日違いだった。

 

札幌に戻ってきたのは3日午後5時。

札幌単身生活で初めて年末年始の帰省に成功した。

 

仕事より疲れました…

 

ということで本年も「さっぽろ単身日記」をよろしくお願いいたします。

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この記事を書いたのは

山崎 靖

元朝日新聞記者、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、温泉学会員、温泉ソムリエ

昭和40年生まれ
新潟県十日町市出身


コラム「新聞の片隅に」
https://www.asahi-afc.jp/features/index/shimbun

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