「札幌市民は雪まつりに行かない」は本当なのか!? さっぽろ単身日記

3年ぶりのリアル開催となる「さっぽろ雪まつり」。

その雪まつりが札幌市民の間で話題になると、必ずと言ってもいいくらい出るフレーズがある。それが・・・

 

札幌市民は雪まつりに行かない

 

「都民は東京タワーに登ったことがない」は〝東京あるある〟だが、こちらも立派な〝札幌あるある〟だろう。

 

確かに周りの札幌市民に聞いても

 

「子どもの頃に行った記憶があるが最近はない」

「親戚や知り合いが来たときに一緒に行くことはあるが、そうじゃなければ行かない」

「大通り公園の雰囲気はよく分かっているのでテレビで十分」

といった反応だった。

 

世界的に有名なイベントが目の前で開催されているのに見に行かないなんて。

札幌ビギナーとしてはちょっと信じられないのだが。

 

この〝札幌あるある〟は本当なのか。

本当だとしたら、なぜなのか。

 

10年前の調査になるが、参考になりそうなデータがあった。

 

札幌市の広告会社インサイトが実施した「さっぽろ雪まつり」についてのアンケート。

2013年1月22~25日に、札幌圏内在住の15歳以上の男女600人を対象に行ったインターネット調査で、その結果が公開されている。

 

Q:あなたは昨年のさっぽろ雪祭りに行きましたか?

 

A

「行った」29%

「行かなかった」71%

 

なんと7割が「行かなかった」と回答していた。

でも逆に3割は行っている。

〝札幌あるある〟の信憑性は「七掛け」といったところか。

 

ではなぜ7割の人は行かなかったのか。

アンケート結果を見てみよう。

 

Q:あなたが行かなかった理由をすべてお選びください(複数回答)

 

A

①見ていると寒そうだから(37%)

②混んでいてゆっくり見れなさそうだから(32%)

③テレビや新聞などで十分だから(27%)

④風邪をうつされそうだから(24%)

⑤つまらなそうだから(19%)

⑥見るのに疲れそうだから(19%)

⑦行きたかったが都合がつかなかったから(16%)

⑧行きたかったがご自身または一緒に行く人の体調が悪かったから(5%)

⑨行きたかったが天候が悪かったから(2%)

⑩開催していることを知らなかったから(1%未満)

 

なるほど。

確かに札幌市民の同僚も「寒い中わざわざ行く気にならない」と言っていた。

 

男女別、年代別の分析もある。

「行かなかった」割合は男女別では大きな差はなく、年齢別では20代以下が最も高くて76%。ちょっと意外だったが、「行かなかった」理由に納得した。

「見ていると寒そうだから」(42%)に次いで多かったのが「風邪をうつされそうだから」(37%)。

そうか、雪まつりの開催時期は受験シーズンなのだ。

そういえば北海道のコロナ禍は3年前の雪まつりが出発点だった。

 

アンケート結果の最後には自由回答が並んでいる。

 

「足元が悪いことを改善した方がいい」(30代女性)

「歩行スペースだけでも融雪して歩きやすくして欲しい」(20代女性)

「横断歩道付近がとにかく滑るのでどうにかしてほしい」(50代女性)

 

足元の悪さは覚悟した方が良さそうだ。

 

「暖かい場所の休憩場所をたくさん作ってほしい」(20代女性)

「外で待つのはとても寒いので休憩できる室内の建物をもっと増やしてほしい」(60代女性)

「温かい飲み物の販売店が少なすぎる」(30代男性)

 

寒さ対策も万全にしないと。

 

こんな意見もあった。

 

「札幌市民でも楽しめるイベントになってほしい」(20代女性)

「住民が楽しめないお祭りは本当の意味から外れている」(40代女性)

「地元なのであえて行きたいとは思わない。前日くらいに市民だけが参加できる時間を設けて欲しい」(50代男性)

 

〝札幌あるある〟だからと片付けてはいけない課題だった。

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この記事を書いたのは

山崎 靖

元朝日新聞記者、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、温泉学会員、温泉ソムリエ

昭和40年生まれ
新潟県十日町市出身


コラム「新聞の片隅に」
https://www.asahi-afc.jp/features/index/shimbun

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