シマエナガに会いたい!② 観察会で学んだこととは… さっぽろ単身日記


あのカワイイ姿をひと目見たい、と参加した旭山記念公園の野鳥観察会。

2月の日曜日、集合場所の「森の家」にはすでに20人ほどが集まっていた。

午前8時、ガイドのMさんの先導で一行は林の中へと進んだ。

(前回はこちら・・・シマエナガに会いたい!① 札幌で見るにはどうしたら…さっぽろ単身日記 )

先ほどまで降っていた雪がやみ、青空が出てきた。

あちこちで鳥のさえずりが聞こえ始める。

見上げると枝から枝に飛び移る鳥の姿も見える。

「シマエナガの鳴き声は、ジュルッです」

Mさんの説明を受けて、耳を澄ましてみる。

ピーッと甲高い鳴き声が響いた。


「あれはヒヨドリですね」


「いま聞こえたのはおそらくアカゲラです。おそらくと言ったのはオオアカゲラかも知れないからです」


「あれはシジュウカラ、ゴジュウカラもいます。今日はカラ類の声が良く聞こえますね」


「あっ、ツグミです」


鳥の声がするたびに双眼鏡をのぞき、瞬時に解説するMさん。

同じような声にしか聞こえないし、双眼鏡をのぞいても枝しか見えない私には神技としか思えない。

この早さだと、シマエナガが出てきたとしても目が追いつけるだろうか…


「あれはハシブトガラスですね。あそこにもいます」


う~ん、この解説はいらないかな。

おそらくMさんにとって野鳥に優劣はないのだ。

雪の中の一本道を20人が一列になって進む。

ときどき登山客や犬を連れて散歩をしている人とすれ違う。

そのたびに一本道の脇に避けるのだが、周りは踏み固められていないためズボッと片足がひざまで沈み込んでしまう。

よく見ると、そんな穴がたくさんできていた。


一行は公園内を移動しながら、ときどき立ち止まって鳥の声に耳を澄まし、木々の枝に目をこらした。

前回観察されたというスポットにも行き、しばらく待った。

「今日は出てきませんね」


公園の中を歩き回ること2時間。


この日観察された野鳥は、アカゲラ、キバシリ、コゲラ、ゴジュウカラ、シジュウカラ、シメ、ツグミ、ハシブトガラ、ハシブトガラス、ヒガラ、ヒヨドリ、ヤマガラの12種。


実はシマエナガも遠くで観察されたようだが、まったく気付かなかった。


このままだと何のためにビデオカメラを買ったのか分からない。


リベンジを決意して次回の観察会を申し込んだ。

3月の土曜日、急速に雪解けが進んだ林の中は、鳥の声がいっそう賑やかになった気がする。

途中たびたびエゾリスが出てきたので、練習を兼ねてビデオカメラを向けてみた。

あれっ

電源が入らない。

なんと、バッテリーが切れているのではないか。


そういえば、買ってから一度も充電していなかった。


情けない。


相手がエゾリスでよかったような…


結局、この日もシマエナガを見ることはできなかった。


Mさんによると、シマエナガはもともと生息数が少なく、一つの群れが広範囲に行動するため、2時間の観察会では出会える確率が低いという。

しかも、群れでの行動がよく見られる時期は12月中旬から1月下旬で、2月を過ぎると巣作りのために主にペアでの行動に移るのだとか。


ちょっと遅かったか。

2月の観察会では、かつてシマエナガが営巣していたという場所にも案内された。


いまは巣がなくなっているので教えられるが、実際に巣作りを始めたら、その場所は非公開になるとMさんは言う。

シマエナガは警戒心が強く、近くに人間がいると分かると巣作りを放棄してしまうそうだ。また、人が遠くから巣を眺めているだけで、それを見たカラスが人の視線の先に何かあると感じ、シマエナガの巣を見つけて壊すこともあるという。


カワイイ姿を見たい気持ちは残るが、巣作りの邪魔をするわけにはいかない。


次の冬までお預けだな。


待ってろよ。ぴよちゃん。

そう自分に言い聞かせて帰宅した。

真っ先に始めたのはもちろん、ビデオカメラの充電だ。

(終わり)

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この記事を書いたのは

山崎 靖

元朝日新聞記者、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、温泉学会員、温泉ソムリエ

昭和40年生まれ
新潟県十日町市出身


コラム「新聞の片隅に」
https://www.asahi-afc.jp/features/index/shimbun

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