ああ、憧れの薪ストーブ③マルゲリータが「マル○○ータ」に… さっぽろ単身日記
2023.04.15
#北海道
江別市にあるログハウス展示場で1泊2日の宿泊体験がスタート。
生まれて初めて薪ストーブでの料理に挑戦した。
(前回はこちら・・・「ああ、憧れの薪ストーブ② 原理は掃除機? さっぽろ単身日記」)
全国各地で単身赴任生活を繰り返してきた私だが、恥ずかしいことにまともに自炊をしたことがない。
料理が苦手なのだ。
キャンプの経験もないので、薪ストーブで料理と言われても、何をやったらいいのかさっぱり分からない。
スタッフのTさんから薪の炊き方は教えてもらったが、料理の方法までは聞かずじまいだった。
まあ、何とかなるだろう。
と開き直ってみたものの、下ごしらえは全てパートナーのMさん任せ。
私は薪ストーブ担当に徹した(というか他に何もできません…)。
本日のメニューは、ミネストローネと鶏肉のオーブン焼き、それに定番のピザの3品。
まずはミネストローネ。
大きな鍋にオリーブオイルとニンニクのみじん切りを入れ、薪ストーブの上にのせた。ガスコンロだったら数十秒で香りが出そうなものだが、なかなか熱くならない。ストーブの鉄板からステンレスの鍋に熱が伝導するのに時間がかかるのだろうか。10分以上たってもあまり変化が見られない。それでも鍋を触ったら熱かったので、Mさんが刻んでくれた食
材を投入。ストーブの上でかき混ぜながら野菜がしんなりするのを待った。
う~ん、大丈夫かな。
鍋が大きすぎたのだろうか。
いつまで経っても柔らかくなる感触がない。
ストーブの薪はガンガン燃えているのだが…
ではその間に、と鶏肉をフライパンにのせて薪ストーブ下段のオーブン室に入れた。
ここで想定外の事態が発生。フライパンの柄が長すぎてオーブン室の扉が閉まらないのだ。
まあいいか。炉の中は熱くなっているだろうし。
一方のミネストローネ。
まだ野菜は硬いままだったが、十分時間がたったので、缶詰のホールトマトと水、固形コンソメスープを投入した。
このまましばらく様子を見ることに。
……
30分以上経っても、ミネストローネの鍋はグツグツ言わないし、鶏肉が焼ける様子もない。
やっぱりダメか。
オーブンでの調理は諦めて、鶏肉のフライパンをミネストローネの鍋の横に移動した。
薪ストーブの鉄板の上に鍋とフライパンがのっている。
これだとガスコンロと一緒だな…
空いたオーブン室には、冷蔵ピザを鉄製のお皿にのせて入れた。
今度はしっかりと扉が閉まった。
ピザは大丈夫そうだ。
さらに数十分、ようやくミネストローネの具材がグツグツ言い出した。
鶏肉も焼き目が付いている。
もう少しだ。
ミネストローネのハーブと鶏肉の香ばしい香りが部屋中に漂い始めた、そのときだった。
しまった!
ミネストローネと鶏肉の状態ばかり気になっていて、オーブン室の存在をすっかり忘れていた。
恐る恐る扉を開けてお皿ごと取り出す。
カチカチになった生地の真ん中に、のっているはずのチーズはただの茶色い塊になっていた。
商品名は「マルゲリータ」だが、これではマルコゲータだな…
デーブ・スペクターも言わないようなダジャレが浮かんだが、口にしなくてよかった。
料理を始めてから2時間。
薪ストーブで暖められた食卓に、たっぷりのミネストローネとよく焼けた鶏肉、それに煎餅のような「マル○○ータ」が並んだ。
ああ、幸せな瞬間。
「マル○○ータ」以外は美味しくいただきました。
鍋やフライパンと格闘して疲れたせいか、この日はストーブの余熱だけでぐっすり眠った。
翌朝、鳥のさえずりで目覚めた。
外気は1度。
さすがにストーブは冷たくなっていた。
さあ、着火だ。
料理は散々だったが、薪の扱いは前日にしっかりレクチャーを受けている。
火室の扉を開け、白樺の薪を2本立てかけた。さらに棒状の細い木を数本追加した。
この焚き付け用の端材にカセットコンロのバーナーの火を吹き付ければ、燃えるはずだ。
あれ?
バーナーのレバーを引いても炎が出ない。
そういえば、バーナーの使い方を教えてもらっていなかった。
う~ん、素人丸出しである。
恥ずかしながら、「ガスバーナー カセット 使い方」でスマホ検索。
バーナーのお尻にある空気弁を回して調整するとある。
おっ、着いた。
火は空気でコントロールするって、習ったばかりだったが…
応用ができない自分が情けなくなる。
扉の隙間から空気を送り込み、焚き付け用の端材の火を強める。
薪に火が移るとストーブの鉄がみるみる熱くなった。
炎を眺めていると、あっという間にチェックアウトの時間がやってきた。
薪を焚いて料理して、寝て起きて、また薪を焚く。
テレビもパソコンもない、ただそれだけの時間だった。
「薪は三度人を暖める」ということわざがある。
心も体も暖まった。あとはピザだけだ。
宿泊施設ではないので、ゴミはもちろん持ち帰り。
「マル○○ータ」の残骸が入ったビニール袋を見つめながらリベンジを誓った。
(終わり)