高校生が『絶望した顔になる』日本のジェンダーギャップ125位 いったいどうすれば?さらに最下位の北海道から考える その2

男女格差、ジェンダーギャップ 日本はかなり遅れていて、北海道は危機的

前回、もやもや言葉(マイクロアグレッション)についてはこちら→

https://sodane.hokkaido.jp/column/202403122137004301.html

毎年、国際女性デーになるとジェンダーギャップ指数というのが話題になります。世界でいう見るジェンダーギャップ指数、2023年のデータで日本は125位。

これはいったいどうしてなのか?対策はあるのか?札幌市男女共同参画センターの菅原さんとHTB森さやかアナウンサーのトークからお届けします。

コメント 2024-03-12 215500.png

菅原さん『私、高校の授業とかでもよくこの話するんですけど、元気だった高校生たちに、この話をするともうみんな絶望みたいな顔になるんですよね。ガーンっていう感じですよね。日本って125位なので先進国の中では最下位。例えばG7って言われている中では最下位ですし、今やアジアの中でも日本は最下位です。』

ジェンダーギャップ指数、日本は毎年順位を下げているという。

菅原さん『これって別に日本のジェンダー平等が遅れていってるとか悪化してるっていうわけではなくって、他の国がジェンダー平等の取り組みに危機感を持って進めているがために日本はどんどん置いていかれている。日本は横ばいなんですね。でも世界中はもうどんどんジェンダーギャップ埋めようと色々な意図を持った取り組みをしてる中で日本が取り残されているという状況です。

日本も何かアクションを起こしていかないとこの溝というのはどんどん取り残されていくことになります。』


危機感を持って進めている国と、女性が管理職になりたがらないんだよね、女性が政治家になりたがらないんだよね、そこを無理にしてもねって言ってるレベルの私たちの日本とではやっぱり差ができていくっていう風に感じます。

地域別の都道府県別のジェンダーギャップ指数・・・北海道は47位

政治が11位だけれども、行政・教育・経済が都道府県中47位。少し前は46位だったのに・・・今年、最下位に。

森アナ『北海道頑張ってなかったっけって思いながらも、ちょっとこれは衝撃でした。』

菅原さん『世界の中で日本がかなり下のランクだっていう風にお伝えしましたがそんな日本の中でも最低ランクなのが北海道ということです。これって指摘されないと、わからない。ここでずっと住んでいる、札幌生まれ、札幌育ちで北海道出たことないのでこれが当たり前だって思ってるんですよ。

こうやって数値化されると、あれ、これって当たり前じゃないの?他の道府県は違うの?他の国では違うの?ちょっと疑問がアンテナが立っていくと思います。』

森アナ『この背景はどんな風に菅原さんは読み解きますか?』


菅原さん『この状況を変えていこうと、私、意図を持って社会を変えていくアクションがどれだけできるかっていうことだと思っています。』


菅原さんは1位のアイスランドを例に出しました。

『今も女性が年に1回、仕事をしない日みたいものを作ったりしています。1970年代にまさにその社会的に経済的に危機感があったときに、女性たちが仕事を1日休むっていうことがすごく社会的に 大きなインパクトがあってそこから続けているそうです。アイスランドとかジェンダー平等が進んでいる北欧の方たちに話を聞くとこんな風に言うんです。いやいや、まだまだジェンダー平等が進んでないんです、まだまだ私たちはやってかなきゃいけないんですってていうんです。』


日本のある地方の意識調査を見ると結構ジェンダー平等が進んでますと聞くと、そう思うっていうのが多かったりするそうです。さらにうちの街結構進んでるみたいだねっという声もよく聞く。

ジェンダー平等が進んでるかどうかっていう意識調査はまず、そもそもジェンダー平等を進める必要があるという認識がどれだけ共有されているか、 そこによって
変わってくる、と菅原さんは言います。


森アナ『それで言うとやっぱり日本とか北海道がどのくらいそのジェンダーに関して取り組みをしていこうという、共通認識の部分がまず低いっていうところが1番の課題だと思いますか?』

菅原さん『そう思います。ジェンダー平等、大切なのは分かるけどうちはそういうことやってる余裕がないんだよねっていう企業の経営者さんに会うんですけど、ここの会社はまだ余裕があるんだなって私は逆に思います。危機感がないからがないからだと思います。経営をきちんと持続可能なものにしたいとか優秀な人材を取らなければうちの会社は困るんだっていう危機感があるところはジェンダー平等の取り組み始めてます。』


森アナ『国もそうですけど、北海道でそのギャップを埋めていく実現をするためにっていうところでは企業が危機感を持ってっていうところの他に具体的にはどんなことをしていたらいいと思いますか?』

菅原さん『例えば去年のランキングで実は政治だけ11位に上がっている。これだけなんでこんなに高いんだろうって思われるかと思うんですけども前の知事、高橋はるみ知事が長く知事を務められたということでそこがぐんと上がってるんですね。去年から1ランク上がったのは女性の地方の議員が増えたっていうことがあります。実は北海道の中には女性議員がゼロという議会がすごく多いんです。一方で 女性の議員が半分近いという議会も増えてきました、例えば江別市とか。そういった自治体も少しずつ出てきてるんですね。なので私は小さな自治体が生き残りのためにジェンダー平等にきちんと取り組むことができるかどうかというのはすごく大きいと思います。』

森アナ『逆に大きいところよりも小さいところの方が動きやすいっていうところも味方につけていけたらいいですよね。』

菅原さん『森さん、今回すごい』


菅原さん『ジェンダーのことって、、ねえ、そんなこと言われてもね、なんか窮屈だよねって思われることをこうやって発信する、なんか私すごい勇気を持ってやられてると思いますし、そのことが本当にたくさんの女性に女性だけじゃなく特に若い世代にすごく勇気を与えてると思います。なのでジェンダーのことを話しやすい環境を作っていくってすごく大切なことだと思います。』

菅原さんはジェンダーの問題を環境の問題と比較、参考にして説明することがよくあるとか。

環境問題の国際調査で、『気候変動対策は私たちの生活の質を向上させると思いますか?』と尋ねる。

これに対して、日本では17%がそう思いますと答える。逆に多くの6割以上の人は気候変動の対策っていうのは私たちの生活の質を下げる、阻害するものだと思っていることになる。例えば寒い中で暖房をたきながらアイスを食べてたら怒られるんじゃないかとか、ペットボトルで飲んでたらなんかあのちょっと居心地が悪いとか、何か、我慢しなくちゃいけないものとして捉える人が日本は多いということのようだ。


一方で世界の6割は、気候変動対策は私たちの生活の質を豊かにするって答えている。例えばフランス、イタリアは8割以上の人が私たちの生活が豊かになると答えるそうだ。

この違いって何なのだろうか・・・。


森アナ『やっぱりその先にある暮らしを見て必要なことだと思っているのか、それとも今を見て我慢しなくちゃいけないと捉えるのか、そこの視点の違いのような気もしてますね。』

菅原さん『短期的にはちょっと窮屈かなちょっと大変かなって思ってしまいますよね。あとはその今、得をしてる人の視点だけかもしれないですよね。例えば次世代の人たちがどうなるかとか、そうなると今、気候変動対策をしない状態っていうことが、実は生活の質を下げるんじゃないかって考えられるかどうかって大きいと思うんです。』


この問題ってジェンダーのことも全く同じだと菅原さんは言う。


テレビの中でもそうだと思う、と。

森アナ『講演などに行かせていただいた時によくコミュニケーションの話になるんですけども、皆さんに言ってるのは、ママ、お母さん、おばさん、おばあさん、男性もありますね、パパ、お父さん、おじさん、おじいさん、こういう呼称は 使う時に非常に気をつけないといけないですね。テレビもそうなんですけれども例えば4、50代の女性を見かけて呼び止める時にお母さんと声をかける方が非常に多かったんですね。でも果たして、その方結婚してるでしょうか?お子さんいるでしょうか?今、女性の生き方様々な選択肢がある中で決してそうではないですよね?それなのにやっぱり呼び止めてしまう時にそういう言葉を使う。

例えば席を譲る時にあのおじいちゃんここ座っていいですよって、おじいちゃんって呼んだその方一体いくつでしょうかね?そしてその方は自分のことをおじいちゃんと思ってるか、どうかですよね?あの年齢とその呼称というのは自分が思っているものと相手が思う
ものは違う時がありますのでやっぱりそういった時の使い方はすごく気をつけて欲しいと思ってるんです。』

言葉遣いから変えていけるジェンダーっていうのもあるかなと森アナは言う。一方でこれが制約になってしまうのではとも言われるという。

ある漫画家さんは表現の配慮が求められて書きづらいことはないか?とインタビューで尋ねられてこう答えている。

『正しさを求める、ポリティカルコレクトネスは物語りの面白さに資する。』

また書ける内容の幅もすごく広くなったと話している。

ジェンダーの問題はその先にみんながより自由であるための生きやすい暮らしを手に入れるための過程だと捉えてほしい。

非常にネガティブなものではなくてポジティブなものだと捉えてほしい。そう思っているという。


菅原さん『女性に対する暴力っていうのもすごく問題になっていて、映画で例えばセックスのシーンを撮影する時にインティマシーコーディネーターていう人が入る傾向が今ある。例えばあらかじめその俳優さん同士のここまではいいけど、ここはちょっと不安なんだって話を聞いて調整をするっていう役割なんですね。その役割について、”今までのね、あの女優なんだからガチでやんないと”みたいな価値観の人もまだいて、いろんな意見がある。ある俳優さんがインタビューの中でこんなことを言ってるんです。

”インティマシ―コーディネーターが入ったシーンのクオリティがグっと上がる。より気持ちのこもった、より自然な演技ができるようになった”っていう風に言ってたんです。やっぱりジェンダーとかその人権とかに配慮することで実は作品の質が上がる。実はその仕事がもっとより良くなるっていうことでとてもこの話にも私は希望を感じました。』

年配、管理職・・・マジョリティこそアクションを!

菅原さん『自分はマイノリティ、女性であったりLGBTQの方だったり、そういう方が社会を変えるっていうことも、声を上げてくってことも大切なんですけど、やっぱり私今それ以上に言いたいのは、今パワーを持ってる側の人、マジョリティ、例えば年配であの企業で言うと管理職であったり役職があったり、そういったすでにパワーを持ってる方たちにこそ、このジェンダーの問題にアクションを起こして欲しいなっていう風に思います。』

とある会社の研修で、とても色々勉強されていてジェンダー平等とかダイバーシティが進んでいくことをとてもいいことだと思われている管理職の方たち。

そこである方がこんな発言をした、『10年前に比べたらだいぶ良くなったよね。だからきっと自分たちが何もしなくてもきっと社会やこの職場っていうのはこれからずっと変わってくよ』と話したという。みなさんはどう思うだろうか。


森アナ『確かに10年前ちょうど私もライフステージ迎えて色々生活変わったタイミングでその頃と比べると今というのは随分変わったと思います。ただ今のお話聞いていくと何もしなくてもこの先変わっていくのかどうかというのはまた違うのかなとも思いますね。』

世界は意図を持ってすごくスピーディに取り組みをしている。やはり今パワーを持っている企業の管理職の方政治家の方たちがだいぶ良くなったからこれからもきっと良くなるよではなくって、意図を持って変えていくために前のめりになってですね、アクションしていくこと。そして意思決定の場にやっぱり女性をもっともっと数を増やして参加していけるような企業、場面がもっと増えたらいいなと話す。

菅原さん『ジェンダー平等をやっていかなければ、先ほどのように世界で取り残されてしまうということであればやっぱり男性たちの中でもですねちょっとこの席を空ける必要があるんじゃないか。自分たちでコントロールして、ジェンダー平等な環境を作っていくっていうことを私たちはもっともっとできることがたくさんあるなっていう風に思っています。』

国際女性デーくらいは女性の権利を主張してもいいじゃないか。


よく言われることがあるという。『国際女性デーとはいえ男性も配慮しなきゃね』これは国際女性デーの企画しているいろんな方たちがもやもやしてるんじゃないかなと思う。

菅原さん『国際女性デー(3月8日)、1年で1日、この日ぐらいは女性の権利を主張したり、女性の声を聞こうっていう日にしてもいいじゃないかと思うんです。この日にまで男性に配慮してとかそんなこと言わなくていいんじゃないでしょうか。

国際女性デー、1年に1日この日ぐらいはですね、是非女性のことを考えていきましょう。そして女性のことを考えるんですけども、それは女性だけが考えるんではなく、男性も全ての性の人たちで女性のことをこの日ぐらいは考えましょうというメッセージにしたいなと思います。』

様々な人が繋がって共感の輪を広げながら”私"にできることを一緒に考えていければ、世界は変わる。

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この記事を書いたのは

SODANE編集部

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