避難所での生活を想像しておくっていうことが非常に大事
もしも乳がん患者が被災したら、どうすればいいのだろうか。みなさんそんなこと、考えたことがありますか?
一旦考えられれば日頃の生活にもいいかもしれない、そう思ったイベント後記。
前回まではこちら・・・
https://sodane.hokkaido.jp/column/202403142027004315.html
『避難所での生活を想像しておくってことが大事』
そう、HTBの森さやかアナウンサーはいいます。(防災士)
副作用や後遺症などで自分が避難所に移動する時に援助が必要なのかどうか。
何を飲まないといけない、逆に何かを食べてはいけないっていう方もいらっしゃいます。
阿久津『避難所での食事ってどうしてもおにぎりとかパンとかがごはんになっていきますよね。カップ麺とかね。やっぱり普段から吐き気があったりすると、食べられないものが多くて実はフルーツしか食べられないとか飲み物しか飲めないっていうことで非常に苦しい思いをする方もいらっしゃるかなと。』
自分の防災用のリュックの中に、これなら食べられるものっていうものを常備できるものをいれておいてほしい。
ゼリー飲料とか野菜(フルーツ)ジュースの紙パックが役立ったという声も多い。
いざとなった時にこれがあるから大丈夫かもしれない、1日ぐらいだったら大丈夫かもしれないとかっていう安心感を持つということが非常に大事なのかなと思う。
普通の方はそうでもないかもしれないけど、やっぱり病にかかっていたりするとそういったものの方が口にしやすかったり、喉を通りやすい。
そういった個別の好みにあったものが届くまではやっぱり時間がかかってしまうので自分の中で常備、もしできるようなものがあるのであれば用意しておいた方がいいかなと思う。
森アナ『感染症対策もしなければいけないのでマスクですとかアルコール消毒とか、自分の安心できるもの、自分がこれを用意してあるからとりあえず3日間は頑張れるよねっていうものを用意しておくっていうことが非常に大事なのかなという風に思います。』
阿久津『あとは下着ですとか、リンパ浮腫でむくんでる方だと弾性スリーブって言う、ちょっと手袋みたいな、サポーターみたいなものがあって、常備袋に予備を入れておいた方がお守り代わりになるそうです。』
停電への備えも忘れずに置きたい。
森アナ『(がんに限らず)やっぱり人工呼吸器で在宅で治療されてる方、酸素吸入されてる方とかもいらっしゃいますからそういったものも含めて停電の時にどうすればいいのかと いうことをないことが一番いいんですよ。一番いいんだけれどもそういったことで準備しておくっていうことが非常に大事かなという風に思います。』
確かに主治医の先生とかに今私こういう病気があって、いざ災害起きた時でどうしたらいいですか、って質問ってあんまりしてないと思う。患者さんってどうしてもよりマイノリティになる。より困り事が増える。
阿久津『お医者さんも言われていることなんですが、数日間は病院の受け入れ体制もストップします。道路だめです。交通障害があります 通院する日だったのにとかあるわけですよ。今日見てもらう日だった今日、本当はその日に薬をもらう日だったとか通院の日だったってびっくりしちゃうよね。行けなくなっちゃった。行けなくなっちゃったってそういう時の場合ですけれども1週間から2週間は治療先延ばしをしても心配ないよっていうことを皆さん覚えておいてほしいなと思うんです。』
2週間ぐらい経てば、病院に通えるような目の前の解決方法が出てくる。緊急時、1週間から2週間は今薬を飲んでないけれども、なくなっちゃったけれども別に大丈夫だっていうことを1度覚えておくっていうことが非常に大事だ。
そこで慌ててしまうと、必要以上に不安になるし、本当に心配になる。そうすると避難所での生活も余計不安になって、どんどん、気持ちがゆらいできてしまうからその方が良くない。
ネガティブ・ケイパビリティ。自分ではどうしようもないことはそのままにしておく。
手元にお薬がある限り服用方法が分かってる時には普段と体調が変わらないのであれば服用は続けてほしい。
実はこうしたことも国立がん研究センターの情報サービスや日本乳がん学会の市民の方向けのページなどにも書いてある。
自分ではなかなか知らないとたどり着かないのでこれを機に、こういったところが役に立つのかなという風に考えてもらう機会になればと思う。
見た目ががん患者に見えないから・・・避難所で手伝いを断れない でも知られたくない
やっぱりまだまだがんであるということとか病気であるっていうことを周囲に実は隠してる方ってすごく多いんじゃないかなと思う。
私自身はずっと乳がん患者さんを20年以上取材をしてきてそういった方々からのお話を聞いてきたので私が自分が隠れるわけにはいかないと思ってこうして発信はしているが・・・。
まだまだ言いづらいっていう環境は必ずある。
避難所にいくと、病気のことを周囲に、不特定多数の方に知られる可能性があって気になる方もいるはずだ。
そうした方は、ぜひ、『具合が悪い、副作用がある、後遺症がある』何らかの配慮が必要の場合は救護に当たっている医療従事者の方にお伝えをしてほしい。
実は治療中でこういった薬を飲んでるんですけどもあと3日しかないんですとかということをお伝えしておくと何かしらの解決策をついでくださる可能性もある。
森アナ『どうしても言いづらい場合どうしたらいいですか?』
阿久津『メッセージカードがいいと思います。(冊子)後ろ側についていて切り取って使う仕組みなんですけど、人前ではなかなかちょっと言いづらいよっていうことを医療従事者の皆さんに伝えたいなと思うと、その周りに人がいたりする場合はあるじゃないですか。そうすると誰か聞いてるんじゃないかなって思っちゃうでしょ。なので紙に書いて、そっと、ちょっとこうした事情がありましてってだけをお伝えする。そうするとその人にしか見えないから。
あとは、自分自身があらかじめ、このことまではできるっていうことを伝えておくことも大事です。』
私の友人が能登で被災をした。その方も治療中の方だった。だが、見た目に乳がん患者さんってわからない。私も普通に話して仕事をしているので説明しない限りはわからないって状況になっている。
だから避難所で手伝ってくれって言われる。被災者なんだけども。人数に限りがあるから。さらに女性だからおにぎり握ってって言われたらしい。
その数はひとりで250個だ、短時間に。
彼女自身はしかも自分がお世話になった地域のことだから高齢者の方のために自分もやっぱりなんかをしたいから働きたいって頑張って、頑張ったんだけど自分は手術してるわけですよ。おにぎりの250個、にぎるともう腕だるくなる。1日中で、しかも体力も元に戻ってるわけじゃないから、体調を崩す。
配慮してもらおうと思っても私自分の周りの人しかも田舎だから言いづらいって言っていてお伝えもしていないし、そこで周りの高齢者の皆さんにも心配かけたら申し訳ないなと思うし自分見た目は大丈夫だからと思って頑張って手伝っちゃった。相当。もういられない、と疲れて帰ってきた。手伝って、地域のためにと思っていたけれど、もう気持ちも含めてどうしようもなかったことは想像に難くない。
やっぱりそういう時に切りもりしている避難所の防災担当の方とかにそっと例えばメッセージカードとかで私こうなんですっていうのを伝えられれば、じゃあなたはこちらでこういうことしてくださいっていう風にもしかしたらできるようになるかもしれないなと思う。
とはいえ、その担当者にもよるところで不安かもしれないが、そういう1つ1つの出来事がやっぱり起きてしまう。
何かしらの配慮は必要なのかなと思うので、避難所の運営をされている自治体のみなさまには感謝をしつつ、そういった側面もあることを知ってほしいとも思うのだ。
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